曇天に哭く修羅
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第四部
知らぬが華
前書き
紫闇が上位存在の所に行ってる間のこと。
_〆(。。)
《立華紫闇》が《白鋼水明》の【練氣術】で眠りに就き、己と融合した上位存在と戦う為の世界へ向かった後のこと。
《永遠レイア》は毎回のように紫闇の体へ『結界』を張り、寝ている彼をその場へ留めるようにしていた。
「無駄なことは解ってるんだけど、やらないよりはましだからね」
なお紫闇の体に対してだけではなく、紫闇を眠らせた地点を中心に一定範囲を結界で囲って外に出られないようにしている。
「必要なのかレイア?」
「紫闇の宿す上位存在は普通の上位存在とは明らかに違う。雰囲気も格も桁違い。乗っ取られた紫闇が来たら水明でも死ぬんじゃないかな」
「……果たして、ウチ等だけの力で止められるのかそいつハ……?」
水明は珍しく不安そうだ。
「その為に助っ人を頼んでおいたんだよ。紫闇と会わせると煩いことになりそうだから隠れてもらってたけど」
水明が首を捻る。
「紫闇に会わすと不味いのか?」
「直接会ったことは無いけども、紫闇がよく知っている人物だからね」
何処からか二人の学生魔術師が現れてレイアの方に近付いていく。
「あれが例の子ですか」
「生徒会長が自ら付き合うとは」
その二人を見た水明は納得。
確かに彼等を見たら戦いを挑むかもしれず、収集が付かなかったかもしれない。
「わざわざ近畿領域から関東領域まで足を伸ばしてくれてありがとう」
レイアは二人の【魔術師】に頭を下げる。
「ハハッ、止して下さいよ会長。むしろ私達は嬉しいんですから」
「貴方は他人に頼りませんからね。殆ど一人でやってしまいますし」
助っ人に来た二人はレイアと同じで奈良の【鳳皇学園/ほうおうがくえん】に所属。
昨年の【全領域戦争】において【団体戦】で優勝したメンバーでもある。
女性と見紛うような美貌を持った青年《セリーヌ・エマ・ブレンダ》
ツインテールで小学生にも間違われてしまう女子《龍宮斗浪/たつみやとなみ》
日本以外の【魔神】なら普通に勝ってしまう戦略兵器なみの実力者。
「過剰戦力だろウ。レイア一人だけでも十分な気がするんだガ……」
水明の言うことも解る。
幾ら紫闇の上位存在が強いとは言っても史上最強クラスの魔術師であるレイアと彼に追従するレベルのセリーヌと斗浪の3人が対処に必要とは思えない。
「私もそう思わないわけじゃないよ。でもまあ、かなり危険な存在であることに間違いはないから良いんじゃないかな」
レイアがそう告げると結界が張られた中で眠っていた紫闇の体が電気ショックでも受けたかのように跳ねる。
「お、早速きたか。どうやら紫闇が上位存在と戦い始めたらしい」
4人が見ている前で紫闇の体は何度も跳ね、そしてピタリと動きを止めた。
「治まったのかな?」
「いえ、違います」
斗浪はセリーヌの意見を否定。
「ここからですよ」
紫闇の上半身が起こされて彼の手が自身を閉じ込める結界に触れた。
しかし壊せず出られない。
「ウガアアアアアアアッッッッ!!!!」
紫闇でも上位存在でもなく、両者の闘争本能が体を満たし、衝動となって意識の無い筈の肉体を暴走させる。
紫闇が黒い魔晄の防壁に包まれた。
右腕に魔晄外装を顕現。
右拳が黄金に輝く。
どうやら理性が吹き飛んだ暴走状態であっても普段通りの力を振るえるようだ。
「禍孔雀だな。しかし破れるか?」
レイアは結界を破壊される想定はしているが禍孔雀では無理だと思っていた。
【神が参る者】の能力や【超能力】なら兎も角として、通常攻撃の延長線上に有る禍孔雀でレイアの結界は破れない。
何故なら結界を張ったレイアと封じられた紫闇の力量差が隔絶しているから。
本能が赴くまま金色に光る拳を結界に打ち込むが、案の定びくともしない。
「その結界から出て来られたらセリーヌか斗浪が相手をしてくれる。紫闇も内面世界で頑張って上位存在に勝ってくれ」
後書き
セリーヌも斗浪も設定だけで出番が来ることは無いと思ってたんですけどね。
_〆(。。)
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