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麗しのヴァンパイア

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第二百六十四話

             第二百六十四話  見たこともない美人
 亜美はネックレスを付けた状態で街に出てみた、傍から見ると何でもないものであったがそれでもだった。 
 外に出る時に使い魔達に言った。
「凄い緊張するわ」
「ネックレスを付けられては」
「それはですか」
「ほんまにな」
 こう言うのだった。
「ドキドキするわ」
「そこまで緊張されずともいいのでは」
「見ればガチガチになっておられますが」
「何か注目されるかってな」
 その様にというのだ。
「思うとな。怒られたりせんやろか」
「怒られることは」
「ないかと」
「法律にも校則にも違反していません」
「それなら」
「それやとええけど」
 亜美は使い魔達に言われてそれならと思ってだった。
 外に出た、すると別に誰も何も言わずほっとして言った。
「よかった、別にな」
「注意されないですね」
「言われたりすることは」
「ネックレスをちらりと見る人はいても」
「それでもですね」
「よかったわ」
 それならというのだ。
「見られてるだけやと」
「はい、言われないとですね」
「いいですね」
「それやとな、それと」
 ここでだ、亜美は。
 ふと前を歩く金髪の美女を見て使い魔達に言った。見ればドレスも豪奢である。
「あそこの人後ろ姿だけやけど」
「はい、それでもです」
「お奇麗ですね」
「それだけでもわかる位」
「凄い美貌ですね」
「後ろ姿だけでもわかるって」
 それはというのだ。
「凄いで」
「左様ですね」
「お顔はどれだけでしょうか」
「それも見ようか」
 こう言ってだった。
 亜美はすっと前に出てその美女の顔を見た、すると。
 恐ろしいまでの美人で息を飲んだ、それで思わずこう言った。
「人やないみたいや」
「全くです」
「人を超越したものさえ感じられます」
 使い魔達も言う、彼等は気付いていなかったがこれはカーミラだった。だが今カーミラはただそこにいるだけだった。


第二百六十四話   完


                   2020・5・14 
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