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ドリトル先生の野球

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第四幕その一

               第四幕  有望な人 
 先生は研究室で精神科の論文を書き終えました、そうして次の論文を書く準備に入りますがその時にでした。
 ふとです、研究室に遊びに来ていた王子に言われました。
「野球部の正捕手の人だけれど」
「その有望な人だね」
「そんなに凄いんだ」
「キャッチングがよくてね」
 まずはこのことからお話する先生でした。
「強肩で自分のチームや相手チームのこともよく研究していてね」
「それでなんだ」
「しかもバッティングもいい」
「凄い人なんだね」
「間違いなくね」
 こうも言う先生でした。
「プロ野球選手になってもね」
「通用するんだね」
「そこまでの人だよ」
 まさにというのです。
「その人はね」
「そうなんだね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「監督さんが言うには」 
 大学の野球部のその人がというのです。
「足は遅いらしいよ」
「そうなんだ」
「まあキャッチャーだとね」
「走る方はね」
「走り回るポジションじゃないね」
「そうだね、確かに」
 王子が見てもです、このことは。
「そうしたことはしないね」
「他のポジションよりもね」
「キャッチングとかフライの処理とかで素早い動きは必要でも」
「外野手やショート、セカンドの人と違ってね」
「速く動いてね」
 そうしてとです、王子も答えました。
「ボールを捕るってことはね」
「ないね」
「だからだね」
「足が遅くてもね」
 そうであってもというのです。
「そこはある程度はね」
「仕方ないんだね」
「そもそも完璧な人間はいないね」
 こうも言う先生でした。
「サッカーでもフォワードの選手にブロックやパスカットは求められないね」
「ドリブルやシュートがメインでね」
「だからね」  
「それぞれのポジションで求められるものが違うね」
「野球ではね、そしてキャッチャーはね」
 このポジションの人はといいますと。
「ピッチャーのボールを捕球して」
「リードしてだね」
「敵チームのランナーが盗塁してきたら刺す」
「やることが多いね」
「だからバッティングは二の次になっている人もいるんだ」
「まずはポジションの仕事だね」
「そう、本当にチームの守備の要だから」
 それだけにというのです。
「難しいんだ」
「そうなんだね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「キャッチャーとしての能力も高くて」 
 キャッチングやリード、そして肩といった能力がというのです。
「打つ人もいるよ」
「そうなんだね」
「そう、そんな凄い能力の高い人もいるよ」
「古田さんとか?」
 すぐにです、王子はこの人の名前を出しました。
「それだと」
「あの人もそうだし野村さんもね」
「あの人も凄かったんだね」
「四番キャッチャーとしてね」
「活躍したんだったね」
「そうだよ、南海でね」
 このチームでというのです。 
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