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第四章
「何があっても」
「そうですか」
「真美のことは」
「そうします」
「あの、お父さんとお母さんは私とお姉ちゃん一緒に旅行に連れて行ってくれたし」
真美が村上に言った。
「それにご飯も服も買ってくれたし学費も出してくれたし」
「だからか」
「育ててくれたから」
だからだといいうのだ。
「だから悪いことは」
「真美・・・・・・」
両親は真美に申し訳ない顔で応えた。
「真美の才能を気付かずにずっと無視していたのに」
「馬鹿にしていたのに」
「そう言ってくれるのか」
「何を言われても仕方ないって思っていたのに」
「俺は仕送りの必要はないと言っています」
また村上が真美の両親に言った。
「真美にしたことを思えば」
「それでもですか」
「真美はですか」
「仕送りをしています」
「毎日十万も」
「そうしてくれてるんですね」
「俺は一銭もと言ってますけれど」
それでもというのだ。
「そうしています」
「だから家族だから」
真美が仕送りする条件はそれであった。
「だからよ。いい思い出も一杯あるし」
「あるのか」
「凄くね。だからね」
「君がそう言うなら」
村上もよかった、そしてだった。
真美は自分達を家に入れてくれた両親に姉の早紀のことを尋ねた。
「お姉ちゃんは」
「今日も仕事だ」
「今会社が忙しくてね」
「総合職だからな」
「余計に大変なの」
「休日だけれど」
それでもとだ、真美は両親の話を聞いて言った。
「お姉ちゃんも大変ね」
「稼ぎはいいけれどな」
「本当に今会社が忙して」
「普段は普通に働いてるけれどな」
「そうなの」
「ただいま・・・・・・」
ここで真美にとては懐かしい村上にとってははじめての声が聞こえてきた、そして。
すっかりやつれた早紀がスーツ姿で帰ってきた、早紀は真美を見ると彼女から視線を逸らしてそのうえで言った。
「真美、帰ってたの」
「うん・・・・・・」
真美は姉に答えた。
「お姉ちゃん久し振り」
「そちらの人が交際している人ね」
「はじめまして」
村上もここで挨拶をした。
「真美さんとは親しくさせてもらっています」
「そうですか」
「それで貴女がですね」
「真美の姉の早紀です」
村上に疲れきった声で答えた。
「早希はずっと馬鹿にしていました」
「そうですね」
「その、あの時は」
「お姉ちゃん、何か食べたいのある?」
真美は申し訳なさそうな姉に問うた。
「何か作るわ」
「そう言われても」
「お姉ちゃんカレー好きよね」
姉の食べものの好みを覚えていて尋ねた。
「だったらね」
「カレー作ってくれるの」
「少し待ってね、その間休んでいてね」
「それじゃあ」
真美はすぐに言えの台所に入ってだった、カレーを作りはじめた。姉の分だけでなく自分と両親そして村上の分も作った。
そして姉にカレーを差し出した、姉はそのカレーを食べると。
疲れきった顔にぽろぽろと涙を流して言った。
「美味しい・・・・・・」
「そう、よかったわ」
「私ずっと真美を馬鹿にしていたのに」
それなのにというのだ。
「疲れてる私にカレー作ってくれるのね」
「だってお姉ちゃんだから」
真美は姉にもこう言った。
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