魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第二百五十話
直江津駅。改札口前。
一夏と千冬はラウラとクラリッサの見送りに来ていた。
「ここで一旦お別れだな。兄様。姉様」
「そうだな。俺は来年の春までは会えそうにない。すまんな」
「私も今年は忙しいからな…」
一夏と千冬が申し訳なさそうに言う。
「大丈夫ですよ。隊長には私がついてますから」
クラリッサが任せろと自分の胸を叩く。
「そうか。任せたぞクラリス」
「はい。勿論です」
クラリスが眼帯の上に手を当てる。
「一夏君が信頼して預けてくれた力ですから。使いこなしてみせます」
黒い眼帯の下。金色に輝く瞳に刻まれた血の紋章が僅かに熱を帯びる。
「む? クラリッサにもルーンを刻んだのか?」
「ええ、まぁ。ルーンと、それより濃いのをここに」
クラリッサが自分の下腹部に手を当てる。
ラウラが首を傾げるのと千冬がクラリッサをどつくのは同時だった。
「ラウラ。ここは丹田と言ってな。気を巡らせる時に重要になる。
覚えておいて損はないぞ」
「わかりました姉さま!」
クラリッサが復帰した後、一夏がラウラに一つ、クラリッサに二つ指輪を渡す。
幅5mmの透明な素材に紫のラインが入った揃いのリングとシルバーの普通のリングだ。
「これは?」
「揃いのリングは御守り。クラリスのもう一つの方はお前が東京で買ったあれこれとガーディアン用装備の入ったストレージリング」
一夏が言うと、千冬が自分の指に填めた指輪を指す。
「これの機能縮小版だ。とは言え劣化版という訳ではなく魔法演算装置がオミットされているだけだ。
お前達は魔法が使えないからな。その分サイコマテリアルとフォールドクォーツが増えている。そっちに関しては上位互換かもな」
「一応言っておくと現代科学で解析は不可能な二つの素材で出来ている」
「しませんよそんな事。そんな人に力を与える貴方じゃないでしょうに」
はぁ、と一夏がため息をつく。
「お前達がしなくても他の奴がどうかはわからんだろう?
なるべく肌身はなさず持っていてくれ。それがあれば俺はお前達を守れるからな」
サイコシャードを削り出したそのリングは元をたどればカンヘル起動実験時の暴走で生成された物だ。
それはつまり一夏の体の一部でもあり、血印と組み合わせれば離れた場所からでも強力な魔法を投射できるということだ。
「ああ、あと」
一夏がちょいちょいとクラリッサを手招きしてしゃがませる。
「なんです?」
一夏がしゃがんだクラリッサの頬にチュッとキスをした。
「え?」
クラリッサが驚いたのはキスに対してのみではない。
キスと同時に自分に何かが絡み付くような感覚を覚えたからだ。
それも物理的な物でなく、今までなら感じる事すら出来なかったであろうオカルティックな感覚。
「ラウラも」
一夏がラウラの頬にキスをしようとしたが、ラウラはふと出来心で横を向いた。
唇同士が軽くふれ合うだけのキス。
「舌はいれないのか。兄さま」
「入れて欲しいのか?」
「うむ」
「そうか……」
再び唇を重ね、今度は舌を絡め合う。
それに対して千冬は米神を押さえ、クラリッサはガン見していた。
「ん……オースという魔法だ。お前達が万一にも秘密をばらさないようにするための、一種の洗脳魔法だ。許せ」
「そういう理由なら仕方ないな」
ラウラが一夏の頭を撫でる。
「うにゅっ……」
「だから兄さま、そんな悲しそうな顔をしないでくれ」
わしゃわしゃっとラウラが一夏の頭をかき回す。
ラウラが一夏を愛でていると、電車が駅に着くとアナウンスが響く。
「ん。来たな」
ラウラが撫でるのをやめる。
「では、またな。兄さま。姉さま」
「ドイツで待ってますよ。教官、一夏君」
「ああ、冬には行けるよう仕事は片付けるさ」
「悪い、二人とも。俺は行けそうにない。春まで待っててくれ」
ラウラとクラリッサが改札を通り、歩いていく。
姿が完全に見えなくなった時点で千冬が一夏に尋ねる。
「………冬は無理そうか?」
「んー…………わかんない。わかんないから身内はこの街に居て欲しくない」
千冬と一夏も駅を後にする。
「シルヴヴァインまで西サハラにやるつもりだろう?。
箒の守りが薄くなるんじゃないのか?」
「もうシルヴヴァインは護衛じゃないからねぇ……」
一夏がシルヴヴァインを護衛以外に使うようになってかなり経つ。
「そうなのか?」
「うーん。結局敵アジトへの突入とかさせてるし、直接の護衛に使うのは割りと早い段階でやめてる。
言ってなかったっけ?」
「聞いてないな。私はそう言うのは苦手だしな」
「そ」
千冬が一夏を抱き上げると、即座に獣化した。
「にゃぁーぉ」
「たまには歩くか」
「んにゃぁー」
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