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猫嫌いな父も

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第一章

                猫嫌いだった父も
 濃い茶色の毛を長く伸ばした小学五年生の少女最上由真はこの時母の圭子と雨の日の買いもので近所のスーパーまで傘を指して出た。そして帰りは買ったものを持って家に帰っていたが帰り道の講演でだった。
「ニャア~~」
「あれっ、この鳴き声」
 由真が先に気付いた、見れば母娘で実によく似ている。穏やかな顔立ちで目は優しい。母の背は一五五程で娘は一四〇程だ。
「猫ちゃんの」
「公園の方ね」
 母もその鳴き声に気付いた。
「これは」
「ちょっと見に行こう」
 由真が行ってだった、そうして。
 実際に公園の中に入ると木々の下に一つの段ボール箱があり。
 そこを開けると一匹の白い子猫がいた、由真はその猫を見て母に言った。
「お母さん、雨降ってるしこの子弱ってるし」
「うちで飼おうっていうのね」
「そうしよう」
 母に頼み込む顔で言うのだった。
「この子このままじゃ死んじゃうし」
「けれどお父さんがね」
 母は夫であり由真の父親である夏男、背は一七〇程で黒い短い髪の毛で痩せている彼のことを話した。彼は猫が嫌いなのだ。
「猫はね」
「お父さん犬好きで」
「うちにはもうコロがいるしね」
 父は茶色と白の雄の柴犬を飼っているのだ。
「だからね」
「けれどこの子放っておいたら」
「仕方ないわね、じゃあこの子はお父さんと離してね」
「それでなのね」
「お母さんと由真ちゃんが世話してね」
 そうしてというのだ。
「飼いましょう」
「じゃあね」
 こうした話をしてだった、由真は猫を保護して家まで連れて行った。そうして父にも話して飼いはじめたが。
 猫嫌いの父は娘に憮然として言った、傍にはそのコロがいる。
「お父さんはコロの世話するからな」
「ワン」
 そのコロも鳴いていた、父にぴったりと寄り添っている。
「そういうことでな」
「じゃあね」
「拾ってきたなら仕方ないしな」
 母と娘、家族三人のうち二人が言うならとなってだった。
 父は受け入れたがあくまで仕方なくでだった。
 実際にその猫、雌猫でシロと名付けられたその猫の世話をするどころか全く近寄らなかった。だがシロは。
「ニャア~~~」
「また来たのか」
 父が家にいるとすぐに傍に近寄ってきてそこで丸くなった、猫嫌いの父はそうなるとすぐにコロのところに行くが。
 シロはコロとも仲良くなった、それで父とその時は二匹一緒にいる様になった。父はその状況になって娘に言った。
「全く、お父さんはな」
「猫嫌いなのね」
「だから傍に来てもな」 
 それでもというのだ。 
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