ヘタリア大帝国
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TURN44 インド独立その五
「ですからくれぐれもです」
「刀を抜くなというのか」
「銃を抜いても」
「本当にお願いします」
秋山の言葉も顔も実に切実はものだ。
「特に平良提督は」
「私が?」
「前の様なことがあっては困ります」
韓国において両班を成敗したのはいいが背中を見せそこから刺されたことを言っているのだ。これは帝国海軍にとっては結構な痛手だったのだ。
「ですから」
「ううむ。しかし身分というものは」
「それぞれの国の文化があります」
「だからか」
「はい、くれぐれもです」
秋山の言葉はさらに切実なものになっている。
「お気をつけ下さい」
「わかった。それではな」
「エイリス貴族についてもです」
彼等もいた。インドにおける問題は実に多かった。
「このことはもうお話させてもらいましたね」
「それはその通りだ」
「彼等は本当に憲兵達に引渡し」
そしてだというのだ。
「やがてエイリスに送りますので」
「成敗するまでもないか」
「所詮彼等は植民地に寄生しているだけです」
秋山はぴしゃりと言った。
「その寄生先から追い出せばどうということはありません」
「大した話ではないというのか」
「所詮エイリス貴族は小者です」
秋山は実際にそう思っている。辛辣だがその通りだ。
「どうということのない者達です」
「小者というか。しかしだ」
「民を虐げていることですね」
「それは確かに悪だが」
「悪は悪でも所詮は小悪です」
「では大悪は何だ」
「そうした存在を許している制度です」
それが問題だというのだ。
「人ではないのです。この場合は」
「制度がか」
「はい、大きな悪なのです」
「では私達が相手にするものは」
「民を苦しめる制度です」
ここではエイリスの貴族制度だった。そして植民地そのものだ。
「提督にはその制度の成敗をお願いします」
「わかった。ではな」
「はい、お願いします」
平良と福原はこれで話が終わった。純粋だがやや視野の狭いところがあることは否定できない彼等を何とか昇華させようという秋山だった。
そしてその彼に東郷と日本が言った。
「考えたものだな」
「お疲れ様です」
二人で言うのだった。
「獅子団は確かに正義感は強いがそれが暴走するからな」
「そこが問題ですが」
「ああして正義感を向ける対象を示すか」
「そのうえで昇華も促されるのですね」
「色々考えました」
心配性の秋山らしい考えだった。
「それでなのです」
「成程な。政治的でもあるな」
「制度への改革を考えを向けられるというのは」
「これでかなり違うと思います」
「少なくともマハラジャに刀を抜くことはないな」
「それは大変なことになりますから」
獅子団の考えではマハラジャは多くの奴隷を圧迫し自分達だけが肥え太っている存在となるからだ。マハラジャにもそうすることが考えられたのだ。
「しかしそれは止められるな」
「政治的な考えを入れるとなると」
「戦争は政治の中にあります」
秋山は言った。
「ならば政治として考えなければなりません」
「そういうことだな。だから戦争は帝が決断された」
開戦を決意したのは国家元首である他ならぬ帝だった。
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