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曇天に哭く修羅

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第三部
  教示

 
前書き
パッパと水明を倒そう。 

 
紫闇の体を操って戦うことになったレイアの疑似人格は先ず具合を確かめてみる。


(今の紫闇はAランクというところかな? 水明のランクはAOくらいか)


レイアは呼吸した。

鬼息(きそく)に始まり鬼気・鬼脈・鬼骨と段階的に身体強化を重ね掛けしていく。


「さて、これで何処まで行けるか」


レイアは紫闇の体で魔晄を使って防壁を展開し、同時に身体強化も行う。

紫闇自身は魔晄でしか身体強化できないのでレイアとは雲泥の差が有る。


「立華紫闇の体を永遠(とわ)レイアが使うとそこまで変わるものなのカ……。魔晄操作のレベルが違い過ぎるせいで別物ヨ」


白鋼水明が白い髪を振り乱してレイアに突撃し、踊るように必殺の一撃を繰り出す。

しかし当たらない。

惜しいところまでは迫るのだが、あと一歩のところで攻撃が届いてくれない。

レイアは水明の攻撃を躱しつつ今の状況を分析していくことにした。


(鬼息・鬼気・鬼脈・鬼骨に加えて魔晄の身体強化を重ねたことで紫闇の身体能力は水明と並ぶ域に至ったけど僕の技術と経験を利用すれば常に水明の一歩先、一枚上手を取れる。問題は決め手と佐々木凜音の安全確保だ)


レイアは自分から攻めに回って水明に重圧をかけ、精神的に追い込んでいく。


「何で他人の体を使ってそんな風に動けル!? インチキも良いところだロッ!!」


水明は周囲の事に気を使わず全力で殺しにかかるがレイアの動きに着いていけない。

水明の白い服はあっと言う間にボロボロとなり、ところどころに血が滲んでいる。


「水明が禍孔雀(かくじゃく)盾梟(たてさら)音隼(おとはや)まで使っても紫闇の防壁は破れない、か。やはり上位存在が影響しているのかな」


レイアが紫闇の体を操っているとは言え紫闇よりも圧倒的に格上であるはずの水明が一方的にやられるというのは考えにくい。


(今使っている身体強化と魔晄操作を駆使しても水明と互角程度なはず)


ならば原因はレイアでも紫闇でも水明でもなく紫闇と融合した上位存在しかない。


「ますます楽しみになってしまったな。紫闇が【神が参る者/イレギュラーワン】として完成する日が来るのが」


邪魔をさせてなるものか。


「終わりにしよう水明」


紫闇(レイア)の両手が光り水明に向く。


「【雷鳴光翼(ケリードーン)】」


手から放たれた光は水明の四肢を爆ぜ裂き戦闘不能へと追い込む。

手足を失った水明は地面に落ちるも【氣死快清】を用いて直ぐに再生させる。


「アタシの魔晄防壁を紙の障子みたいに軽々と抜いてくるとは恐ろしい威力ね……。やっぱりアタシじゃあレイアには勝てないのカ」

「今の光は紫闇が使えるようになる予定の一つだから何時かは今くらいの性能にはなるよ。ところでまだ僕と続ける気かい?」

「いや、アタシの負けだ。好きにしたら良イ。言う通りにさせてもらうヨ」

「じゃあ水明はここで待ってて。凜音さんを助けてくるから。紫闇、体を返すから凜音さんを助けてここに戻ってくるまでは任せた」


レイアの気配が消える。


「……俺がレイアさんの見せた強さに追い付けるかもしれない日が来るというのが信じられないな。けど今は凜音が先決だ」
 
 

 
後書き
_〆(。。) 
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