ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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決意の時
ハンターベース
「・・・・・・・・」
マーティは、ハンターベースに戻ってきた後自室に籠っていた。
エックスと別れた後、戻ろうとした彼女たちは、運よく増援で駆け付けたイーグリードたちと合流し、デスログマー改でハンターベースに帰投することができた。
その後、ドップラーとゼロはケインの元へ、玉美はメディカルルームで集中治療が行われている。どちらもかなりの重傷で自分が着ていたアーマーも修理中だ。
「・・・・・・・副隊長?」
そんな彼女のところへビートブードは、ノックしながらそっと入り口から入ってきた。
「・・・・・・・」
「その・・・・・かなりエネルギーを消耗しているんですからせめてエネルギーボトルでも飲んで補充してください。体に毒ですよ?」
ビートブードも彼なりの気遣いで間食とエネルギーボトルを一緒に盆に乗せて彼女の机の上に置いておいた。
「・・・・・エックス隊長、きっと帰ってきますよ。だから・・・・・元気出してください。」
ビートブードはそれだけ言うと部屋から去って行った。
「・・・・・・」
マーティは顔を上げてエックスの言葉を思い出す。
『はっきり言って今の君は俺にとって邪魔にしかならないんだ!!』
「っ!」
彼女は、また頭を抱えて泣き出す。
『俺は別に君が弱いとか宛にならないとか思ったことは一度もないよ。それどころか信用しているし、いつも仕事をサポートしてくれることに感謝しているよ。』
「エックス・・・・・うぅ、うう・・・・・」
昔言ってくれた言葉は嘘だったのか。エックスのあの目を見て彼女は自信を失ってしまっていた。
メンテナンスルーム
一方、メンテナンスルームではゼロとドップラーの二人が治療を受けていた。ドップラーは、現在応急処置が終わり、スリープモードに切り替わっていたがゼロに関してはケインは険しい表情をしていた。
「ICチップは愚か、バスターの回路がほとんど使いものにならなくしまったのう・・・・・」
ケインは、ジャイアンたちが拾ってきたゼロの右腕の状態を見て言う。
「・・・・修理できそうにないのか?」
「いや、普通の動かすぐらいにはすぐに修理は可能じゃが・・・・」
「それでいい。すぐに付け直してくれ。」
「ん!?」
ゼロの言葉を聞いてケインは思わず驚く。
「アースクラッシュの回路が生きているならそこだけ直してくれればいい。剣があればバスターがなくとも戦えるからな。前に頼んでおいた予備のサーベルは作っておいてくれたんだろう?」
「しかし、ゼロよ。」
「急いでくれ、俺はあいつを死なせたくないんだ。」
ゼロの目を見てケインは、口を止める。
「・・・わかった。できるだけの事はしよう。じゃが、無理したら承知せんからな。」
「あぁ、頼む。」
ハンターベース メディカルルーム集中治療室
「「「・・・・・・」」」
ジャイアンたち三人は、集中治療室で寝かされている玉美をガラス越しで見ていた。
「・・・・ドラえもんとの約束、破っちまったな。」
ジャイアンは、暗い顔をして言う。
「ジャイアンのせいじゃないよ。それに一番傷ついたのはのび太の方さ。」
「でも、のび太さん。大丈夫かしら?」
「「「・・・・・・」」」
三人が再び黙っているとビートブードが入ってきた。
「あっ、どうでした?マーティさんは。」
「あぁ・・・・副隊長、相変わらずだったよ。何も口に入れないんだ。」
「そうか・・・・」
「・・・・・ねえ、みんな。僕が言うのもなんだけど・・・・・僕たち、このままこの世界で生きていくって言うのも有りなんじゃないかなって思うんだ。」
「「!?」」
スネ夫の言葉を聞いてしずかとジャイアンは驚愕する。
「い、いや!別にのび太がドラえもんを殺して帰れなくなったとかそういう理由じゃないんだ。ただ・・・・・僕たちがこのまま引きずっていたら、のび太を苦しめ続けるだけだと思うんだ。」
「・・・・・スネ夫、お前・・・・・」
「そりゃあ、ママに会えなくなったり、不便になったりって言う事はあるけど・・・・・今までだって何とかしてきたじゃない。それにもしのび太までいなくなったら玉美ちゃん・・・・・・」
意識が戻らない玉美の顔を見てスネ夫は、真剣な顔で言う。
今までの冒険ではすぐに「お家に帰りたい!」と言っていた彼にしては本当に信じられない言葉だった。これも成長した証かもしれない。
「・・・・・・あぁ、そうだな。のび太の野郎を一人で死なせたりはさせねえ!死ぬ気だったら一発ぶん殴ってやる!」
「ジャイアン。」
「そうね、私たちも前に進まなきゃ。」
「しずかちゃん・・・・・」
「よし、玉美ちゃんが起きる前に俺たちものび太に加勢に行くぞ!!」
「おぉ!」
「えぇ!」
三人がそう決意した直後、集中治療室から治療を担当したドクターが出て来た。
「先生、玉美ちゃんは・・・・・・」
「えぇ・・・・ご心配ありません。峠は越しました。後、数時間経てば目を覚ますでしょう。」
「おぉ!!ありがとうございます!」
ジャイアンは頭を下げてお礼を言う。
「ビートブードさん、早速で悪いけどよ・・・・」
「エックス隊長に加勢に行くんですよね?分かってますよ。今、イーグリード隊長がドッペルタウンに乗り込む準備をしています。皆さんもご一緒に・・・・」
四人はそのまま集中治療室を出て行った。
ドッペルタウン
ドッペルタウンは、変わり果てた姿になっていた。
街はメカニロイドに破壊されたことで荒廃し、都市の中央部には不気味な鬼の顔を模倣したシグマの居城がそびえ立っている。エックスはチェバルから降り、ゆっくりとシグマの居城を目指して行った。
「・・・・・」
エックスは胸のカバーから手のひらサイズの小さな箱を出した。
「・・・・ごめん。」
そう言うと箱をまたしまい、奥へと進んで行く。
「・・・・・・・?」
そのとき、不意に少し離れたところからピアノの伴奏が聞こえて来た。
エックスは、本能に従ってピアノが聞こえるところへと向かって行く。
ハンターベース
「・・・・・・」
マーティは、黙ってデータ端末をいじっていた。映像にはエックスと過ごしてきた記録があり、どれにも嬉しそうな自分とエックスのが並んで写っていた。
「・・・・・」
彼女は全ての画像を選択する。
『選択したデータを削除しますか?』
⇒『YES』
『NO』
「・・・・」
彼女の指は、YESを押そうとする。
そのとき、不意に部屋のドアが開いた。
「だ、誰!?」
顔を上げて見るとそこにはティルが立っていた。
「ちょっと・・・・・お話できるかしら?」
「え、えぇ・・・・・・」
マーティは、慌てて端末をしまって彼女の座るための椅子を準備する。そして、自分も向かいの椅子に座る。
「・・・・・・・」
「・・・・もうすぐ、第7空挺部隊がドッペルタウンに潜伏しているシグマを討伐する為に出発するわ。17部隊も参加するけどマーティは行かなくていいの?」
「・・・・・いいのよ。アタシなんて、どうせ足手まといになるだけなんだから。」
マーティは吐き捨てるかのように言う。
「・・・・エックスのことはいいの?」
「・・・・自分から一人になったんだもの。好きにすればいいわ。」
「・・・・・・そう、貴方のエックスに対する考えってそのぐらいだったのね。私は、こんなことで諦めるような貴方だとは思わなかったのに。」
「なっ!?」
ティルに言われてマーティは思わず逆上し、睨みつけた。
「アンタなんかに何がわかるのよ!?アイツから拒絶されたのよ!!今まで一緒にいて、お互い支え合ってきたのに!それなのに・・・・・」
「でも、貴方だって怖がっていたんじゃないの?エックス自身が変わってしまう事が。」
「!?」
「話は運ばれてきたゼロから聞いたわ。」
「・・・・・・だから、何よ!どうすればいいのよ!?別人みたいになって、イレギュラーのように仲間を破壊しかねないエックスをどうやって!」
「それは貴方自身が決めることじゃないの?」
「えっ?」
ティルは自分の指に嵌めてある指輪を見ながら言う。
「私もね、最初のシグマの反乱のときにイーグリードが彼に加担した時すごいショックを受けたの。今まで正義感が強く、自分の事よりも人のことを大事にする彼が反乱に加わるなんて・・・・・・裏切られた気分だったわ。・・・・・でも、保護された隊員の話と連行されてきた彼を見て思ったの。逆に好きな人がどんな風に変わろうと受け入れられる強さを持つことも大事なんじゃないかって。だから、私は彼を受け入れられた。」
「・・・・・・・」
「結婚の時も彼、最初はやめようかって迷っていたのよ。元イレギュラーの自分と結婚するのは不味いんじゃないかって。もしかしたらこっちの職場で私が肩身の狭い思いをするんじゃないかって心配してね。・・・・・でも、私は一緒になることを選んだ。本当の彼を知っているから。今だって、彼の妻だということを誇りに思っているわ。」
「ティル・・・・・」
「ごめんなさいね、レプリロイドは人間とは違うのに・・・・・・なんか言っていることがおばさん臭く感じちゃったかしら?」
ティルは、そう言うと少し恥ずかしそうな顔をして部屋から去って行った。
一人自室に残ったマーティは、端末を再起動させて写真を見直す。そこに写っているエックスと自分の笑顔は偽りのない本当の顔だった。
「・・・・・・」
別れる間際のエックスを思い出してみる。
確かにあの時のエックスは、イレギュラーよりも怖かった。
でも、それとは別に泣いているようにも見えた。
そのエックスを自分は拒絶してしまったのだ。
「・・・・・アタシ・・・・・バカだよ。」
写真を見ながらマーティは、自然とまた涙が溢れ出した。
「アタシ、エックスのこと何もしてあげられなかったじゃない・・・・・・一番怖がっているのはエックスだったのに・・・・・・変わるのが怖くて遠ざけていただけじゃない・・・・・何してんのよ・・・・アタシは・・・・・ごめんね、エックス・・・・・・・・・ごめんね・・・・・・・」
涙を手で拭いながらマーティは、ひたすら泣き続けた。
ハンターベース エアポート
「これより我々は、ドッペルタウンを占拠しているイレギュラー シグマを討伐しに行く。」
旗艦 デスログマー・改の目の前でイーグリードは隊員たちを整列させて言う。
「諸君らも理解しているだろうがこの戦いは最悪な場合、全員生きて戻ってこれない可能性がある。全滅も否定できない。今回の出撃に関しては志願してもらえる者はここに残れ。それ以外の者はこのハンターベースで待機だ。この中に俺と付いてくる者はいるか!」
イーグリードが隊員の顔を全員見る。全員真剣な眼差しで見ていた。
「隊長!自分はこの命、隊長にお預けします!」
「自分も同じです!最後まで隊長のお供をさせてください!」
「自分も!」
「自分も!」
「供に行かせてください!」
「お願いします!」
「・・・・・・みんな、ありがとう。」
その後、全員デスログマーへと乗り込んで行く。無論、ジャイアン達三人、ビートブード、マンドリラーも乗る。
「これで全員か?」
「マーティがまだ来ていないわ。」
入り口で最終確認をするイーグリードの隣でティルは報告する。
「・・・・彼女が来ると思うか?」
「きっと来るわ。だって、今までエックスと一緒に戦ってきた彼女ですもの。」
「・・・・・そうか。」
二人はそう言うと船の中へと入って行った。
「マーティさん、本当に来ないのかしら?」
「心配ねえ!もし乗り遅れて行けなかったら俺たちがのび太を連れ戻せばいいんだ!」
「でも、そののび太が無茶をしていなければいいけど・・・・・ゼロさんもまだ動けない様子だし。」
船の中でジャイアンたち三人は心配しながら外を見る。
「・・・・・出航の時間だ。」
艦橋の中でイーグリードは、時間を確認する。
「デスログマー、離陸。目的地、ドッペルタウン。」
「了解。」
イーグリードの指示でデスログマーは、離陸を開始する。
「マーティさん・・・・・」
閉じようとする入り口の目の前でしずかは複雑な心情でエアポートを見る。
「待ちなさーい!!」
「「「!?」」」
船の中へ戻ろうとした三人は聞き覚えのある叫び声に思わず振り向く。
そこにはラッシュを連れたマーティが息を荒くしながら全力で走ってきていた。彼女は閉じかけた扉に飛びつくと踏ん張りながら乗り込もうとする。
「フギギギ・・・・・・・!!」
「大変!すぐに開け直さないと!」
しずかは急いで入り口のドアを開け直す。マーティはラッシュに引っ張られながらどうにか船の中に入ることができた。
「ハア・・・・ハア・・・・・危なかった・・・・・・」
「「スゲェ・・・・・・」」
マーティの意外な身体能力に感心するジャイアンとスネ夫。
「行く決心がついたんですね。」
そんな二人とは違いしずかは嬉しそうだった。そんなしずかに対してマーティも笑顔で返す。
「あったりまえじゃない。アタシがいなくて誰がエックスを連れ戻すのよ?」
マーティはそう言うとゆっくりと起きあがり、窓からどんどん小さくなっていくハンターベースを見る。
(待っててね・・・・・エックス。アタシ・・・・・もう逃げない。貴方がどんなに変わろうとアタシはエックスのことを信じるから・・・・・・だから、死なないで。)
彼女は胸の中で遠く離れているエックスに対して誓った。
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