第参次世界大戰 巻ノ壱
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❑就任
「神楽坂大佐」
「はい」
今日、神楽坂 零 帝国海軍大佐は海軍本部に呼ばれていた。
何やら急用らしい。
「何の御用でしょうか」
しかし、私を呼んだ理由は大概想像がつく。
「久しぶりだな。少佐に昇進して以来か?」
・・・。
「そんなことを伝えるために私を呼んだわけではないのでしょう?」
「ああ、そうだそうだ、そうだった!にゃははははは!☆」
というと私をここに呼んだ張本人、坂東 要 少将は頭に手を当て奇妙な笑い声を出した。
一部軍人の間ではこの珍しい女軍人を嫌う人もいる。
が、中には特別な目で一目置いている軍人もいた。
私には理解できんが(逆に殺意すら覚える)。
全くこの人はッ...!
零は心の底から呆れた。「急用だ」とわざわざ横須賀から呉に呼んだのはそちらだというのに。
まあ、腐ってもこの人は少将だ。そんな愚痴を吐くわけにもいかない。
しかし、急に坂東少将は神妙な面持ちに変わった。
「本題に入ろう。今日大佐に来てもらったのはほかでもない」
「はい」
「例の"超弩級潜水母艦"あれについてだが、建造が完了した。これより君を艦長に任命する」
「...は?今なんと?」
「だーかーらー。新しい潜水艦の艦長にするっつってんの」
今度は坂東少将が呆れた顔をして言った。
「い、いやまあ"例の計画"については参加すると申しましたけれども、
艦長就任は聞いておりませんし」
「しかし君は潜水艦戦の経験が豊富だ。過去に大量の駆逐艦を撃沈してる。
この記録は今までどの軍人にも破られていない。
無論、アメリカ海軍人にもだ。私は君の技術を信頼しているのだよ」
少将はいやらしい目でこちらを見つめてきた(若干寒気がする)。
「大丈夫だ。君は指示をするだけ。他のことは航海長と兵装長に任せばいい」
少将は指を振り振り、説明した。
「簡単に言ってくれますが潜水艦は複雑故に扱いも非常に難しい」
「ンなこたぁ分かっとるよ。安心しな。航海長と兵装長は私が雇った」
そうだ、この人、人事だけはうまいんだよなあ。
「了解しました。少将が雇用されたのなら安心です。謹んでお受けします」
「ん」
坂東は適当な返事をした。
「早速ですが、彼らの経歴について知りたいのですが...」
「おう」
と言うと、少将はぺらっぺらの紙を2枚放り投げた。
「これだけ?」
普通だったら 15枚は超えるぞ。
「これだけ」
そうだった。この人、 普通じゃなかった んだ。
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