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レーヴァティン

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第百六十話 伊勢の神託その五

「その役目を」
「頼む、だが」
「だがといいますと」
「ここにずっといたくも思える」
 ここでだ、英雄はこうも言った。
「これだけ神聖な中にいるとな」
「どうしてもですね」
「そう思えてきてだ」
 それでというのだ。
「神々に仕えたくもなるな」
「信仰心ですか」
「それを感じてな」
 それでというのだ。
「思えてきた、俺はな」
「そう思えることはいいことだとです」
 紅葉は英雄の今の言葉に微笑んで応えた。
「私は思いますだがや」
「そうか」
「ここにいて何も感じないことですね」
「ない、そうした人間もいるな」
「全く信仰がない人も」
「神も仏も信じない奴がな、何故かな」
 英雄は眉を顰めさせてこうも言った。
「俺が思うにはそうした奴は馬鹿が多い」
「前もそうしたお話をされていましたね」
「今の。起きた世界の日本で無神論の奴はな」
 即ち神も仏も信じない者はというのだ。
「それでいて北朝鮮の様な国はいい」
「個人の神格化をしている国をですね」
「いいというからな、神も仏も信じないならな」
「個人崇拝もですね」
「否定するのが筋だ、むしろだ」
 英雄はこうも言った。
「生き神様なぞ信じるものか」
「そうした考えなら」
「その筈だ、無神論で個人崇拝がいいというのは」
 そうした考えの持ち主はというのだ。
「到底だ」
「あの人達は」
「馬鹿だとしか思えない」
「だからですか」
「俺は神仏には頼らないが信じている」
 その存在や力をというのだ。
「そして時としてな」
「この様にですね」
「頼ることになるかも知れないが」
 今頼らない様にしているが、というのだ。
「こうしてな」
「お話を聞くこともですね」
「している」
「そうなのですね」
「自分の力だけで神仏を信じないと言って個人崇拝それも世襲の生き神様がいる国はいいという奴の力なぞな」
 淡々としてそうして語るのだった。
「たかが知れている」
「そう思われますか」
「そうした奴の常で我が国の皇室は駄目でその世襲の生き神様はいい」
「そういえばそうですね」
「こんな奴がまともな能力があるか」
 英雄は知力の面から話した。
「ある筈がない」
「確かに常識で考えて」
「おかしいな」
「あの国は共産主義で世襲だ」
 もうこの時点でおかしいというのだ。
「日本の皇室よりいいというのはな」
「そちらは否定して」
「どう考えても馬鹿だ、そして俺はだ」
「無神論といいますと」
「その馬鹿共を思い出してな」
 それでというのだ。
「神仏を信じる方がな」
「いいですか」
「そう思う」
 こう言うのだった。 
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