憧れの先輩がサキュバスだった件

　　　　　　　　　　　　　　　　憧れの先輩がサキュバスだった件
　姿十三は八条学園高等部に通う学生だ、学年は一年生だ。家は大阪市天王寺区にある。そこから神戸の学校に通っている。
　背は一八〇あり体重は百キロある、柔道部に所属していて体格はかなりのものだ。髪型は黒のスポーツ刈りだ。顔は丸く丸眼鏡であり柔道は二段だ。
　その彼は今恋をしていた、それは同じ高校の薙刀部の先輩である商業科の藤尾七瀬だ。
　七瀬は日本人とルーマニア人のハーフであり緑の切れ長の一重の細い目で眉も細く長い。白い肌に薄茶色の癖のあるショートヘアである。青のネクタイと白のブラウスそれに紺の短いスカートとスカートと同じ色の肩がけの金ボタンが着いた上着という制服である。白い脚が艶めかしく胸がかなり大きい。背は一六〇程である。
　薙刀部での黒い袴と白い着物姿も麗しい、姿はその彼女について言うのだった。
「藤尾先輩奇麗だな」
「ああ、そうだよな」
「無茶苦茶奇麗だよな」
「薙刀も強いしな」
「二段でな」
「しかも成績もいいらしいしな」
　姿は工業科なので商業科のことは詳しくない、それでここはだった。
「どうやら」
「才色兼備でスポーツ出来るんだな」
「しかも商業科の美化委員長でな」
「そこでも立派らしいし」
「確かに憧れるな」
「凄く憧れる先輩だな」
「俺な」
　ここで姿は言った。
「あの人マジで好きになったしな」
「おい、コクるのかよ」
「藤尾先輩に」
「そうするのかよ」
「もう当たって砕けろでな」
　第二次世界大戦中のアメリカ軍の日系人部隊の様にというのだ。
「やってみようか」
「どんな酷い振られ方してもか」
「それでもいいんだな」
「失恋って下手したら相当なトラウマになるらしいけれどな」
「人間性変わるレベルで」
「それでも後悔しないでな」
　それでというのだ。
「やってみるな」
「そうか、そこまで言うならな」
「コクってみろ」
「当たって砕けろでな」
「性格変わっても覚悟して行け」
　こう言ってそうしてだった、そのうえで。
　姿は実際に七瀬の靴箱にラブレター、死ぬ気で書いたそれを誰にも見つからない様に入れてだった。
　校舎裏で告白すると七瀬はこう言った。
「私でよければ。ただ」
「ただ？」
「大丈夫かしら」
「大丈夫っていいますと」
「貴方は身体は丈夫でも」
「それでもですか」
「私と交際して」
　少し俯いてだ、七瀬は言った。
「果たして」
「どういうことですか」
「すぐにわかるわ、ではね」
　七瀬は姿に自分から言った。
「まずは貴方のお家に行きましょう」
「お家って」
「そこにね」
「あの、交際してすぐにですか」　
　自分の部屋に来てくれるという展開にだ、姿は仰天した。そうして思わず七瀬に仰天した顔で問い返した。
「俺の部屋に」
「ええ、いいわね」
「悪くないですが」
「では行きましょう」
「何時ですか？」
「今夜にでもよ、お互いに部活が終わったらね」
　七瀬はこう言ってだった。