レーヴァティン
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第百五十九話 美酒その三
だからだ、それで言うのだ。
「それでもだ」
「これからもなのね」
「そうしていく」
まさにというのだ。
「これからもな」
「いいことよ、ただね」
「ただ、何だ」
「とにかく色々産業興していくのね」
「何かとな」
「豊かになる為に」
「そして実際にな」
英雄はさらに言った。
「豊かにする、しかし」
「しかしっていうと」
「そうした政が実を結ぶのは先だ」
今すぐではないというのだ。
「じっくりと腰を据えて行ってだ」
「予算も時間もかけて」
「人手もな、そしてだ」
「ようやく実を結ぶのね」
「だからそれまではな」
「動かないのね」
「そうしたい」
こう言うのだった。
「今はな」
「そういうことね」
「そして贅沢はしないが」
「それでもっていうのね」
「酒は楽しむ、無論食いものもな」
そのどちらもというのだ。
「そうする」
「そういえば葡萄酒なんて飲まなかったよ」
桜子がここで言った。
「全くね」
「そうだったな」
「こっちの世界だとね」
「俺は西の浮島にいた時は飲んでいた」
その時はというのだ。
「よくな、だがな」
「こっちの浮島のお酒はね」
「米の酒、日本酒だ」
「あと焼酎もあるね」
「そうだ、だが」
それでもとだ、英雄は今はワインその赤い酒を結構以上の勢いで飲みながらそのうえで言うのだった。
「この酒はな」
「なかったからね」
「いいものだな」
「あたしは基本日本酒はだよ」
桜子は笑って自分の酒の好みも話した。
「だからこの浮島でもいいけれどね」
「それでもだな」
「やっぱり赤ワインを飲みたくなるね」
「そうした時もあるな」
「白の時もあるけれど」
白ワインの場合もというのだ。
「そうした時もあるから」
「ワインを飲めるならか」
「いいよ」
充分にという返事だった。
「楽しいね」
「そうだな、酒もな」
「色々あってこそだね」
「ビールも造らせる」
こちらの酒もというのだ。
「そして売らせる」
「そうしていくね」
「そちらの酒もな」
当然というものだった、英雄の今のそれは。
「そして金を動かしてな」
「造り出してもらうね」
「金は動くことによって増える」
そうしたものだとだ、英雄は看破した。
「何もしなくては増えないが」
「動かすとね」
「それでだ」
「増えていくね」
「動けば動くだけな」
「だからだね」
「動かしていく、そして増えれば増える程な」
その金がとだ、英雄はチーズを食いつつ話した。
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