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ホームレスと猫

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第二章

 その鳴き声を聞きつつだ、ホーエンは言った。
「これからどうしていこうか」
「仕事紹介しましょうか」
 獣医は困っているホーエンに手を差し伸べることにして話した。
「ホームレスの社会復帰に貢献している雑誌の販売員ですが」
「俺にその仕事をですか」
「どうでしょうか」
「今は音楽が出来ないですし」
 それならとだ、ホーエンも応えた。
「宜しくお願いします」
「それではですね」
「働かせてもらいます」
 こうしてだった、ホーエンは愛用のギターを今は置いてサムと共に雑誌の販売員をはじめた。そうして何とか食べていった。
 彼の働きぶりは真面目でしかもあらゆる人の相談にも乗った、その彼を見て獣医は病院の者に話した。
「猫も引き取って育てて」
「真面目に働いてですね」
「誰の相談にも乗っている」
「いい人ですね」
「そんな人が無理にお金を取るか」
 音楽を聴く人からというのだ。
「果たして」
「考えられないですよね」
 病院の者もこう言った。
「やっぱり」
「ちょっと警察に調べてもらうか」
「それがいいですね」
 こうしてだった。
 ホーエンのことが警察であらためて調べられた、結果彼のことを妬んだホームレスの小細工とわかってだった。
 逆にそのホームレスが嘘を言ったと批判されホーエンの潔白が証明された。それでホーエンは再び音楽をすることが出来る様になり。 
 その彼のところにある人が来てこう言ってきた。
「あの、本を書いてみませんか」
「本をですか」
「貴方はいつもその子を連れていますね」
「サムですか」
 今も彼の足元にいる彼を見つつだ、ホーエンはその人に応えた。
「縁あっていつも一緒にいます」
「貴方とその子のことを本にです」
「書いてみたらとですか」
「おおよそのことは聞いていまして」
 それでというのだ。
「いいお話だと思いまして」
「それで、ですか」
「誘いをかけさせてもらいましたが」
「俺が本をですか」
「どうでしょうか」
「それなら」
 ホーエンは快諾した、そしてだった。 
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