夢幻水滸伝
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第百三十六話 二度目の勝利その十四
魔術師の術である落雷の術に合わせて錬金術師の術である雷霧の術を放った、そこにさらにであった。
召喚の術で雷虎も召喚した、身体が雷で出来た虎は召喚されるとすぐに雨の中を暴れ狂った。すると。
雨が雷を伝わらせそうしてだった、雨に濡れた羅の全身を襲った。千鳥の雷に落雷の術、雷霧にそれに召喚獣が羅を襲い。
そうして羅の全身を激しく打ち据えた、だがそれでも彼の体力では致命傷にならなかった。
「この程度や!」
「そやな、まだやな」
「並のモンやと倒せる」
今の雨つまり水の伝導を使った雷の総攻撃もというのだ。
「星のモンでもな、しかしな」
「自分はやな」
「倒せん、まだや」
戦意を失っていない顔での言葉だった。
「我は戦えるで」
「そう思って今度はや」
中里はさらにだった、ここで。
寒波の術に雪女を召喚しそして吹雪霧の術も使った、すると。
雨に濡れていた羅の服と鎧が瞬時に凍った、只の冷気系の術ではなく雨つまり水が凍ってそうしてだった。
身体が凍る、これで流石にだった。
羅も動きを止めた、ここで麒麟が言った。
「もう流石にな」
「限界か」
「そや」
まさにと言うのだった。
「これはな」
「まだ戦えると言いたいが」
「如何に自分でもやな」
「ここでもただの冷気やとな」
それだけならというのだ。
「凌げたが」
「それでもやな」
「そや、雨に濡れてるせいでな」
「余計にやな」
「水が凍って動きは止められるし」
「濡れた身体に余計に冷気が滲みてな」
「あかんわ」
ダメージを受け過ぎてというのだ。
「これはな」
「そうか」
「ああ、これやとな」
どうしてもというのだ。
「あかんわ」
「流石にか」
「我の負けや」
このことをだ、羅は言った。
「もうな」
「そやな」
「あかんな、青龍偃月刀か金蛟鋏でな」
「倒すつもりやったな」
「こんな術の使い方あるとはな」
「雨を降らせてそこで特別な属性の術を放ってな」
「それも続けてな」
中里のその術の使い方も話した。
「まさに使えるもんは全部使う」
「戦の王道を守ったな」
「それで我に勝ったな」
「ああ、ほんまにな」
「その言葉、確かに受けたで」
中里は何とか氷を瀕死ながらも炎の術を放ってそれで溶かしつつ麒麟と話す羅に対してこう告げた。
「自分の負けやな」
「どう見ても明らかやな」
「それが返事やな」
「そや、我の負けや」
このことを確かな声で中里に述べた、
「文字通りな」
「そうか、これでな」
「中国の負けが決まったか」
「軍勢は負けたし星のモンもな」
その彼等もというのだ。
「皆負けたからな」
「棟梁の我と施もな」
「それやとな」
「完敗やな」
羅は自分からこの言葉を出した。
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