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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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父の影

<ムオル>

今アルルは、1人の少年と向き合い絶句している…
最果ての村ムオル………
何故この様な場所で、この様な事態に遭遇するのか…
此処までの流れを説明しよう。


≪数日前~海上≫

「おい、モニカ!この近くに『ムオル』という村があるんだが、其処に寄ってくれ!」
最後の鍵を手に入れ、南方の『ランシール』へ向かうアルル一行…
しかしカンダタが突然、用もないムオルという村への寄港を願い出る。

「カンダタ、その村に何か特別な事でもあるの?」
アルルの疑問は当然だ。
ただ近いから寄ると言うのは論外で、何らかの理由が必要になる。
「正確には近くの町や村なら何処でも良いんだ。そろそろ手下達から、何らかの情報が集められていると思うから、一番近いムオルで確認をしたいんだ」
「情報の…確認?」

「あぁ!俺達盗賊のネットワークは、小さな村にも張り巡らせれてるんだ!最果ての村と呼ばれていても、俺達には関係ねぇ!」
「本当かよ!?現地妻にでも逢いに行くんじゃねぇーの?」
モニカの前でトンデモない発言をするリュカ。
「お、おい!冗談は止めてくれよ!俺は旦那と違って二股かける程度胸はねぇ!モニカを怒らせたらタマ潰されちまう!!」
本気で青ざめ否定するカンダタ。

「そんなにムキになって否定すると、逆に怪しく見えるねぇ~」
「バカ言うな!俺は怒った時のおめぇーが怖いんだよ!そんな事出来るわけ無いだろ!」
ニヤケながら疑うモニカに、半泣きで否定するカンダタ…
既に尻に敷かれている。
「あはははは、冗談だよ!アンタがそんなにモテるわけ無いからね!」
モニカの豪快な笑いに、顔を顰めるカンダタ。

「何だ…美的感覚は正常なのか………」
二人に聞こえない様に囁くリュカ…
その囁きを聞き、思わず笑い出すアルル。
そんなリュカとアルルのやり取りを見て、ヤキモチを妬くティミー!
やはり最大の敵はリュカの様だ!



<ムオル>

太陽が最も高い位置で輝く頃、アルル一行は村の入口で村人と出会う。
「やぁ、最果ての村ムオルへようこ………そ!?」
村人Aがアルルを見て驚いている。
「ポ、ポカパマズさん!!帰って来たんですね!?早くタリーナに逢ってやってくれよ!きっと驚くぜ、アンタ!」
村人Aはアルルを強引に連れて行き、とある家の前に誘った。
「あ、あの……私…」
「おーい!タリーナ!!お客さんだぞー!」
戸惑うアルルを無視して、村人Aは家の住人を呼び出す。

(ガチャ)
扉が開き、姿を見せた住人はマリーと変わらぬ年の少年だった…
その少年を見て固まる一同…
声が出せないアルル…
何故アルル達が固まっているかと言うと…
「まぁ!?アルル様にそっくりですわ!アルル様が幼い時は、こんな感じだったんでしょうね?」
…と言う事である!

「ポポタ…どうしたのです?お客様が来たのなら、ご挨拶………を………ポ、ポカパマズさん!!」
奥から出てきた女性がポポタと呼ばれる少年に声を掛け、アルルに目を移し驚き叫ぶ!
「帰ってきてくれたんですね、ポカパマズさん!逢いたかったわ!」
そして女性はアルルに抱き付き泣き出した!
「え!えぇ!?えぇぇ!!?」
混乱するアルル、泣き出す女性、困り果てるその他大勢…
咄嗟に機転を利かせたのはリュカだった。
「ポカパマズ~!立ち話も何だし、家に入れさせて貰おうよ!…おい、村人!案内ご苦労さま。お前はもういいから帰れ!」
リュカは村人Aを追い返し、家の中に入り落ち着いて話が出来る環境を整える。


「さて…僕はリュカ。お嬢さんのお名前はタリーナさんでいいですか?」
「は、はい………ねぇ、ポカパマズさん…こちらの方々は?」
「あ、あの…私は「その前に聞きたいのですが…」
アルルの言葉を遮り、リュカがタリーナへ質問を続ける。
「こちらのポポタ君は、貴女とポカパマズの息子さんですか?」

「…はい…ポカパマズさんが村を出て行った後で、妊娠に気付いたんです!だからポカパマズさんが驚くのもムリ無いですよね!うふふ…私ったら…ポカパマズさんに説明するの忘れてたわ……この子はポポタ…貴方と私の息子です」
タリーナは自嘲しポカパマズ(アルル)に息子を紹介する。
「わ、私…ポカパマズじゃありません!」
「…え!?…何を言ってるの?だって…」

「お嬢さん…コイツはポカパマズじゃない!似ているのかも知れないが、ポカパマズではない!」
そう言うとリュカは、タリーナの手を掴みアルルの胸に押し当てた!
「ちょ、リュカさ「ほら、この通り…小さいけど胸もある!」
「そ、そんな……」
「ち、小さいは余計です!」
「ごめん…そんなに怒るなよぉ…服の上からじゃ判りづらいって言いたいだけだって!」

「あ、あの…ごめんなさい…私ったら…あの人が帰ってきたと思っちゃって…」
嬉し泣きから悲しみの涙へ変わるタリーナ…
アルルへの非礼を詫びると、また悲しみの中へと沈んで行く…
そんな母を心配気に見つめる息子(ポポタ)…

「タリーナさん、泣かないで。折角の美人が台無しだよ。貴女は笑顔の方がよく似合う!」
泣き崩れるタリーナの頬に手を這わせ、瞳を見つめて泣き止む様に説得するリュカ…
誰がどう見ても口説いている。
「アンタは何考えてるんだ!?この状況で、人妻をナンパするなんて…場を弁えて下さいよ!」
「失礼な息子だな!ナンパなんてしてないよ!美人は笑顔が似合うんだ!だから笑顔になってほしいだけなの!」

「あ、あの…ケンカをなさらないで………そ、そうだわ!皆さんのお名前を教えて下さい!」
何とか泣くのを止めて、アルル達の方へ向き直ったタリーナ…
それを見てタリーナへ見えない様に、ティミーに向けてウィンクし親指を立てるリュカ。
リュカの計算通りだったらしい…ティミーにそのつもりは無かったが…
そして一人ずつ自己紹介をして行く…
何とか、落ち着いて話せる状態へ出来た様だ。
ただ問題はこれからなのだが…



 
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