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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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雪原の変わり者

<グリンラッド>

「ただではやれん!ある物と交換じゃ!」
「えー、めんどくさ~い!!」
詳細を聞きもしないで即答するリュカ。

「まぁ!物々交換ですのね!?では私の脱ぎたてパンツと交換でよろしいですか?」
マリーは目を輝かせ、スカートの中に手を入れパンツを脱ごうとする。
「マリー!!そう言う下品な事は、言ってもやってもいけません!お姉ちゃんみたいな、最悪な女になっちゃいますよ!」
マリーを止めたのはティミー!
パンツを脱ごうとする妹を慌てて抱き上げ叱る。

「その娘はバカなのか!?パンツなどいらんわ!何の役に立つ!?」
「…役に…ですか?………寂しい夜のおかずでは?」
少しご立腹の老人に、不思議そうな口調でサラリと言うマリー。
「「マリー!!」」
ティミーとウルフが大声で叱る。
リュカを見ると腹を抱えて笑ってる。

「ティミーさん…マリーちゃんはリュカさんに近付けない方が良いのでは?かなりの悪影響ですよ…」
「分かってる…気を付けてはいるのだけど…」
ティミーとウルフが小声で会話する…
そんな二人の思いを振り払うかの様に、兄の腕から離れ父の元へ舞い戻るマリー。
そして交渉は再開される。

「ワシが欲しいのはな『変化の杖』というアイテムじゃ!それとなら交換しても良いぞ」
「変化の杖ですかぁ…それは何処に行けば手に入りますか?」
「そんな事は知らん!自分で調べろ!」





<海上>

「どうだった、船乗りの骨は貰えたかい?」
船に戻るとモニカが事の行方を聞いてくる。
「ダメでしたわ…私のパンツとじゃ交換してくれませんでしたの!」
「はぁ?パンツ?」
「モニカさん、気にしないでください」
ティミーがマリーを抱き上げ口を手で塞ぐ。

「はぁ…何だかよく分からないけど………そう言えば、幽霊船の事で思い出した事があるんだよ」
「んっぷはぁ!…なんですのそれは、モニカ様!?」
モニカの一言に瞳を輝かせたマリーが、ティミーの手を振り払い問いかける。

「ん?あ、あぁ…詳細は端折るけど、昔エリックとオリビアという若い男女が恋をしていたんだ。でも、それを妬むヤツに邪魔されてエリックは奴隷へと落とされ、船で強制労働をさせられるんだ。そして、その船は嵐によって沈没する…その事を知ったオリビアは嘆き悲しみ身投げをするんだ…その船がお探しの幽霊船だって話さ!」

「まぁ…切ないお話ですわ………きっとエリック様の思いが、幽霊船という形になって、現世に現れたんではないでしょうか?…愛してらしたのですね…」
マリーの言葉にしんみりする一行。
「さ、さぁね…アタイはそんなロマンチストじゃ無いから分からねーよ!」
モニカは慌てて船長室へと戻っていった…瞳を少々潤ませて…

「モニカさんて乙女チックなところもあるんですね!?海賊なんてやってるから、もっと雄々しいと思ってました」
モニカの姿を目で追い、ウルフが小声で呟いた。
(ゴン!)
「こらウルフ!女の子はみんな乙女なんだよ!普段、雄々しくても乙女なんだよ!失礼だぞ、馬鹿者!」
リュカがウルフの頭を杖で軽く叩き、女性について説教する。
「す、済みません…以後気を付けます!」
女性との接し方については説得力のあるリュカ。
弟子のウルフは素直に従うのだ!




変化の杖に付いての情報が無いので、当初の予定通り行動するアルル一行。
それから暫くは通常の航海が続いた。
敵が現れてもアルル達が駆逐する…日を追う毎に、戦闘を重ねる毎にアルル達は強くなっている。
ティミーも負けない様にリュカとの組み手を欠かさない。

そんな日常が続いたある日、モニカから目的地到着の報が告げられる。
周囲360度見回しても海…
意識して探さなければ見つける事の出来ない浅瀬…
海のど真ん中にある浅瀬など、誰も気にしないだろう!
そんな浅瀬に船を横付けさせ留まっている。

「さて…此処がスーの酋長が言っていた場所だろう…で、乾きの壺はどう使うんだい?」
乾きの壺を持っているリュカに視線を向け、今後の行動を尋ねるモニカ。
「さぁ…『乾き』って言うくらいだから、あの浅瀬に放り投げれば良いんじゃね?海水吸い込んでくれるんじゃね?」
「リュカさん!!違っていたら大切な壺が海の底に沈んじゃうでしょ!」
いい加減なリュカの発言に激怒するアルル。

「でも、お父様の意見は正しいと思いま~す!」
「だよね~!」
親娘が仲良く意見を一致させるのを見て、頭を押さえるアルル。
「もっと、じっくり考えてから結論「えい!」
(バシャッ!)
アルルの発言の途中で、乾きの壺を海に投げ込むリュカ。

「「「「あぁぁぁぁ!!」」」」
「な、何勝手な事をしてるんですか!?」
ティミーは大声でリュカを怒鳴ると、慌てて海へ飛び込み乾きの壺を拾いに行く!
即座に海へ飛び込んだ為、底へ沈みきる前に乾きの壺を確保出来たティミー…
しかし彼は不思議な光景を目の当たりにする。
先程まで海面より下に広がっていた岩々が、徐々に海上へと浮き上がり、目の前に祠が出現した!


周囲の水位は低くなり、船から祠への道も出来上がった。
ティミーは其処で情けない恰好で座り込み、呆けている。
「お前、何やってんの?ずぶ濡れじゃん!濡れたくないから近寄らないでね」
リュカは慌てん坊な息子に優しく言葉を掛け(内容は別)、遠ざかる様に先に進む。

「お兄様、格好悪~い!浅瀬なんだし、海の底って言ってもたかがしれてますわ!結果を見てから行動しても、よろしかったのでは?結論を焦りすぎですぅ」
最愛の妹に笑われるティミー…

「ティミー…風邪引かない様に身体をしっかり拭きなさいよ!」
母は優しくタオルを渡す。

「ティミー…ごめんなさい……私が一人でリュカさんの提案に反対したばっかりに……ごめんなさい!」
トドメは惚れた女に謝られた!

「ははははは………」
最早、虚しさに笑うしかないティミー。

「あ、あの…ティミーさん…これ」
優しい弟分ウルフが着替えを持ってきてくれた事に、泣きながら感謝した事は、他のみんなには内緒だ!



 
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