ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第三十九話 ファイナルストライク
全てのライブメタルと人々のエネルギーがチャージされたダブルチャージバスターの威力は凄まじく、あれほどの威力以上の攻撃はないと断言出来る。
エールはモデルXからモデルZXに変身すると、重い体を引き摺ってヴァンに近寄る。
「ヴァンはどう?」
「……生きてはいるが…妙だな、以前から感じていたモデルOの邪悪な気配を感じない…」
「うむ、完全に沈静化しているようだ」
モデルZとモデルPがヴァンとモデルOの状態を見て言うと、モデルHが口を開いた。
「これは俺の推測だが、恐らく先程の人々のエネルギーを吸収したことでモデルX様の力の上限がモデルOの支配力を上回ったのかもしれん」
「じゃあ!?」
モデルHの言葉にエールの表情が明るくなり、モデルLが頷いた。
「ええ、流石に完全に一体化している影響で変身は解けないみたいだけど、流石に毎日モデルOに悩まされることはないでしょうね」
「良かったぁ…」
「お前が頑張ったからだぜエール!胸を張りな!!」
「君が最後まで諦めなかったから、彼を救えたんだよ」
モデルFとモデルXの言葉にエールは笑顔を浮かべて頷くと、ヴァンがゆっくりと目を開いた。
「うう…」
「ヴァン!大丈夫?」
「エール……その怪我は………ああ、俺がやったんだな…」
途中のことはほとんど覚えていないが、セイバーによる斬り傷は確実に自分がやったのだと言うのは理解出来た。
「良いよ、気にしてないし…ヴァン…気分はどう?」
「今まで騒がしかったモデルOが静かになった。ここまで静かなのは初めてかもしれない」
ヴァンの表情に嘘偽りはなく、どうやら本当のようだ。
こうして見ると、モデルVやセルパンのことに頭が一杯になってヴァンのことを良く見ていなかったのが自分でも分かる。
「そっか…もう隠し事なんかしないでよね。次にそんなことしたら許さないから」
「…分かったよ」
「さ、セルパンも倒したし…そろそろガーディアンベースに…」
「ぐ…おおおお…!」
立ち上がってガーディアンベースに帰還しようとした時、今まで沈黙していたセルパンが動き出した。
「「!?」」
「小僧!小娘!良くもやってくれたものだな!!」
「う、嘘!?あれだけやられたのにまだ動けるの!?」
「あの程度では死なぬわ!モデルV本体と一体化した私の回復力を舐めるなぁっ!!」
「チッ…ゴキブリ並みの生命力だな…」
立ち上がってアルティメットセイバーを構えようとするヴァンだが、ダメージによってふらついた。
「ヴァン!?大丈…っ!」
エールは駆け寄ろうとしたが、エールも無茶をした反動によってまともに動けない。
それを見たセルパンは醜悪な笑みを浮かべた。
「どうやら勝利の女神は私に微笑んだようだな!!」
再生した両肩からビームが放たれ、ヴァンとエールに迫る。
「チィッ!!」
モデルHがエールをモデルHXに強制変身させてバーニアを噴かしてヴァンに体当たりする形で回避した。
「っ…ありがとう…モデルH…」
「礼を言うのは後にしろ、次が来るぞ!!」
「ふはははは!!無駄な足掻きを!!」
再び放たれるビームをエールとヴァンはダッシュで何とかかわしていく。
「畜生!てめえ汚えぞ!!」
「ダメージでろくに動けない二人を狙うなんてまるでハイエナのようだわ」
モデルFとモデルLもセルパンの卑怯なやり方を非難した。
「戦いとは勝利こそが全てだ!それは貴様らとて同じことだろう!!」
巨大な手に挟み撃ちにされ、ヴァンとエールはそのまま挟まれる。
「「がはっ!?」」
防御も意味を成さない攻撃に二人は一瞬、意識を失いかけたがヴァンは残る力を振り絞って拳を手に振り下ろし、エールもモデルFXに変身してナックルバスターを手に叩きつけた。
「アースクラッシュ!!」
「グラウンドブレイク!!」
「ぬう!?」
普段より威力が下回っているが、弱っているセルパンにはかなり効いたようだ。
「くっ!何とか…抜け出せたか」
「ほ、本当にしつこいんだから…!」
満足な着地も出来ずに倒れる二人。
「どこまでも諦めの悪い子供だ…!だが、君達にはもう反撃するだけの体力は残っていまい…このまま朽ち果てるがいい!!」
再び二人に放たれたビームに対して、二人はまともな回避行動も出来ずに吹き飛ばされた。
「ぐわあああああっ!!」
「きゃあああああっ!!」
「滅べ!滅んでしまえええっ!!」
吹き飛んでいる二人に更に追撃を加えるセルパン。
その映像はガーディアンベースのモニターにも映っていた。
「ヴァン!エール!」
「くそっ!セルパンめ!何て汚い奴なんだ!!」
プレリーとジルウェが傷付き、吹き飛ばされている二人の姿を見て悲痛な表情と怒りの表情をそれぞれ浮かべるが、こうしていても何も始まらない。
「おい、誰かサブタンクを持っているのはいないか!?」
「駄目だよ、救助活動でガーディアンベースが保有している全てのサブタンクを使ってしまったからね…」
トンが誰か回復アイテムのサブタンクを持っている者はいないかと聞くものの、カルレから返ってきた答えは良いものではなかった。
「治療物資もほとんど使ってしまいました…」
ローズの言葉に誰もが言葉を出せなかったが、セードルはあるものを二つ取り出した。
「ここに丁度E缶が二つあるんだ。」
「E缶!?そんな貴重な物をどうしてあなたが…」
E缶とは遥か昔から存在する高密度なエネルギーの液体が入った物であり、昔はレプリロイド専用のアイテムであったが、機械化した人間…ヒューマノイドも飲めるようになっている。
「アウターでハンター業をしている知り合いから貰ったのさ、後でこっそりと飲もうとしてたんだけど…二人に使ってやってくれよ」
E缶ならば即座の回復も可能だし、形勢逆転も夢ではないが…ここで一つの問題がある。
「どうやってセルパン・カンパニーにまで行けば…この船はまだ動けないし…」
「なら、俺が行きます。バイクに乗っていけば短時間で着ける」
「ジルウェさん……分かりました…お願い」
「ジルウェさん、俺にも手伝わせてくれよ」
「シュウ!?」
聞き覚えのある声にジルウェが振り返ると、そこにはシュウがいた。
「話は聞かせてもらったぜジルウェさん、悪の親玉を倒すための手伝いに行くんだろ?俺も行くぜ」
「駄目だ!危険すぎる!」
まさか、以前と同じような気持ちで言っているのではないかと思って止めようとするが、シュウの表情はいつもと違っていた
「危険なのは分かってるよ、俺はヴァンやエールみたいに強くないし特別な存在じゃない。でもさ、俺もみんなを守りたいと思う気持ちは一緒だよ。やっぱり俺…ガーディアンに入りたい。あいつらとは違うやり方で戦うって決めたんだ。だから俺にも行かせてくれジルウェさん」
「……分かった。ただし危険だと判断したら逃げろよ」
「おう!!」
ジルウェとシュウはバイクに乗り込むとセルパン・カンパニーへと向かっていった。
そして場所はセルパン・カンパニーに戻り、ヴァンとエールはセルパンの猛攻に何度も吹き飛ばされて地面に倒れ伏していた。
「フフフ…この王を決める戦いは私の勝利だ!」
「へっ…ほんの少し前までモデルOに支配されてたヴァンにボコボコにされてた奴の言葉とは思えねえな。てめえはただダメージで動けねえ二人を嬲ってるだけじゃねえかよ」
「全く同感だな…復活したイレギュラーが貴様を小物と言っていた理由が良く分かった」
モデルFとモデルHが言ってもセルパンは鼻を鳴らすだけ。
「フン、言い残すことはそれだけかね?ならばこの一撃で朽ち果てるがいい!!」
ヴァンとエールに向けて放たれるビームだが、ジルウェとシュウの乗ったバイクが二人に直撃する前に救出した。
「シュウ…!?お前…」
「待たせたなヴァン!こいつを飲め!」
E缶を差し出すシュウにヴァンは疑問符を浮かべた。
隣のエールを見るとエールもまた信じられないと言うような表情を浮かべている。
「…何でお前がこんな高級品を持ってるんだよ…まさか盗んだのか?」
「ジルウェがこんな高級品をあっさり渡してくるなんて…アタシ…やっぱり死んじゃったんだ…」
二人の言葉にシュウとジルウェはガクッとなった。
「お前達は俺達を何だと思ってるんだ…」
「「サボリ魔とケチな先輩」」
「「ぐう!?」」
二人の言葉がシュウとジルウェの胸に深く突き刺さった。
「でも、助かったぜ!!」
「ありがとう、ジルウェ!!」
E缶を一気に飲み干すと、体に力が湧いてくる感覚を覚えた。
そして放たれたビームをヴァンがセイバーで斬り裂き、エールがZXバスターを構えてチャージバスターを放ってセルパンに直撃させた。
「ぐおおおおっ!?」
「よくも好き放題にやってくれたわねセルパン!」
「だけどお前の下らないプロジェクトもこれで終わりだ。この一撃で消し去ってやる」
エールは全てのライブメタルの力を解放するとバスターを構えてオーバードライブを発動し、コードが六枚羽状態となって光輪を背負う。
ヴァンも真のオーバードライブを発動してセイバーを大上段に構えると、セイバーの光刃を巨大化させた。
「お、己ーーーっ!!」
最後の悪足掻きにビームを放つが、ヴァンとエールの表情は平静そのものだった。
「これで何もかも終わりよセルパン!あんたとの因縁は!!」
「消え失せろ!お前が執着していたモデルVと一緒にな!!」
極限までチャージされたエールのバスターとヴァンのセイバーから必殺の一撃が発動した。
「「ファイナルストラーーーイクッ!!!」」
かつてモデルXのオリジナルである青の英雄とモデルZのオリジナルである赤の英雄が古の戦争でモデルOのオリジナルを打ち破る時に使用した最大の必殺攻撃がセルパンに直撃する。
「馬、鹿な…モデルVの力を得た私が!?だが、忘れるな…ライブメタルの適合者である君達には…モデルVを作った男の血が流れている…例え…私を倒したところで…またどこかでゲームの続きが続行されるだろう…!」
「アタシ達に…モデルVを作った奴の血が…!?」
「…だったらその時は、俺達が何度でも止めてやるさ…お前のようにな……」
「みんな、ここはもう保たない!脱出するんだ!!」
モデルXがファイナルストライクの影響で崩壊しかけた部屋を見て脱出を促す。
「ヴァン!エール!乗れ!!」
「ああ!!」
「うん!って、それアタシのバイクじゃない!?丁寧に乗りなさいよ!!」
「少しくらい荒くてもいいだろ!行くぜ!!」
ジルウェとシュウの乗るバイクに乗り込み、ヴァンとエールは崩壊していくセルパン・カンパニーから脱出したのであった。
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