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万能主人公

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第一章

                万能主人公
 宮城幸太郎、ペンネームとことんは今ネット小説を書いている。
 それまでは短編ばかりだったがここでだった。
 長編を書いてみようと思った、そしてどうした作品世界にして主人公にしようと考えていてだった。
 世界観は決まった、だが。
 主人公、物語の中核であるそれをどういったものにしようかと考えた、そこでふと思いついたのだった。
「名前は幸太郎にするか」
 まさに自分の本名だった。
「俺自身にして」
 そしてというのだ。
「戦闘力は最強にして」
 まずはそれを決めた。
「超能力も使えて魔法も使えてな」
 科学も魔法もある世界なのでそうした。
「軍隊も率いることが出来て指揮官も軍師も出来て」
 司令官、参謀の資質もあってしかも名将名軍師クラスにした。
「後は人望もあって女の子にもモテまくって」
 宮城は笑いながらそうした設定も加えた。
「学問もあって政治力も完璧にするか」 
 とにかくあらゆる能力をマックスにした、そのうえで。
 作品を書きはじめた、すると。
 主人公は圧倒的に強くあらゆる事態に完璧に対処してしまった、それこそ一人で大軍も倒してしまい。
「流石です」 
 複数のヒロインに言われてハーレム状態だった。
 組織のトップにもだ。
「お前以外にいない」
「有り難うございます」
 トップから笑顔で禅譲されてだった。
 そうして後は組織を完璧に運営し政治も善政で民衆からの支持も得て一国の主になり。
 そこから小国を瞬く間に大国にしていく、宮城は書きながら笑った。
「凄いな俺、最強じゃないか」 
 自分の名前なので思い入れが違っていた。
「こりゃどんどん書けるな、もうどんな苦難も何でもなく世界を統一して」
 そうしてというのだ。
「世界を脅かす魔王も倒してやるか」
 その魔王を降し配下にしてだった。
 また敵を出すがその敵も圧倒する、作品はアクセス数が増えて書籍化してアニメにもなり劇場化してしまい。
 映画にもなった、宮城は高校生にしてかなりの額も稼いでいてご満悦だった。
 だが。
 作品を読む読者達は思った。
「この主人公全然よくないな」
「そうだよな」
「作品世界はともかくとしてな」
「こっちはそれなりなのにな」
「主人公なんだよ」
「無敵過ぎるだろ」
「何があっても平気で勝ってくな」
 一人で大軍を倒したことだけでなくだ。
「何で六百人で三十万の大軍に勝てるんだよ」
「それも正面から立ち向かって」
「作戦立てたら敵がその通りに動いてな」
「それで勝つしな」
「こいつ千里眼持ってるのか?」
「一騎打ち常に圧勝だしな」
「しかも学生で成績は常に全教科満点かよ」
 主人公の学業のことも指摘された。
「魔法何でも使えてな」
「おまけに他の奴より威力あって唱えるのも速い」
「しかも無限に使えるのかよ」
「超能力もあって」
「敵基地にも忍者みたいに忍び込んで」
「仲間の冤罪も晴らしてな」
「探偵も出来るってないだろ」
 宮城が調子に入れて書いたエピソードだ。
「モンスターとも心を通わせて」
「それで一緒に戦ってな」
「組織はトップにちょっと話しただけで禅譲されて」
「武器も防具も最初から最強だしな」
「人望もあって」
「どのキャラも味方になって」
 最初は敵でもだ。 
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