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部屋着

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第五章

 美樹は次の日も暑いからと言って夫が帰ると足を大胆に見せる姿になった。それを彼が帰ってからの部屋着として。
 寝間着は浴衣にした、すると夫は毎晩求める様になり。
 数ヶ月後美樹は琴乃に喫茶店で満面の笑みで話した。
「三ヶ月ってね」
「お医者様に言われたのね」
「急に吐き気した時にね」
「やったって思ったのね」
「お家で家事をしていたらで」
 その時にというのだ。
「急にね」
「来てなのね」
「吐き気したのは気持ち悪かったけれど」
「それでも思ったのね」
「もうその瞬間にね」
 吐き気がしたその時にというのだ。
「思ったわ」
「つわりだから」
「ええ、つわりの経験ははじめてだったけれど」
「思うわよね、そうした時は」
「ええ、それで病院に行ったら」
 産婦人科、そこにというのだ。
「本当にね」
「そう言ってもらったのね」
「こんな嬉しいことないわ」
「よかったわね」
「有り難う、それにしても」
 美樹はここで琴乃にこんなことを言った。
「主人を調べたらね」
「素足が好きなのね」
「よく女優さんがミニスカート穿いてたりね」
「アイドルの娘とか」
「すぐに注目してね、それでね」
「浴衣がなのね」
「やっぱりドラマとかで出たら」
 その時はというのだ。
「目が泊まるしこれまでの生活思い出したら」
「浴衣は」
「旅館は浴衣でしょ」
 これが寝間着だというのだ。
「それを着てるとね」
「ご主人絶対になのね」
「そう、求めてきたし」
「そのことも思い出して」
「それで夜着たら」
 帰ってから素足を出した服にあえて着替えることと合わせてというのだ。
「もうね」
「それでなのね」
「毎晩みたいに求めてきて、それも三度も四度も」
「できたのね」
「そうなったわ」
「それね、確かに三十代も後半になるとね」
 琴乃はここでもこの話をした、見れば今もミルクシェーキを飲んでいるし美樹も苺ジュースを飲んでいる。
「男の人ってね」
「落ちるのね」
「そう、けれどね」
 落ちることは落ちるがというのだ。
「やっぱり欲自体はね」
「あるのね」
「だから嗜好を刺激したら」
 それでというのだ。
「まだね」
「元気になるのね」
「そう、だからね」
「刺激したらいいのね」
「そうよ、それでこれもね」
「子供を作るには」
「必要なことなのよ」
 琴乃は美樹に真剣な顔で話した。 
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