| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

頭が悪くては

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「やっぱり」
「いや、そう言ったら何もならないだろ」
「けれどそれだけ打ったからな」 
 それでというのだ。
「二千本安打達成出来たんだろ」
「だから何でそこまで打てたんだろ」
「才能だろ、やっぱり」
「才能だけであそこまで打てるかよ」
「練習もしてただろ」
「だからそれだけで二千本打てるのかよ」
 それは多くの選手も同じだというのだ、それでだった。
 ラミレスが二千本安打を達成させたことについて多くの者があの明るくて面白いがどうも考えている様には思えない彼を見てどうしてあそこまで到達出来たのかわからなかった。
 それでだ、首を傾げさせた。だが。
 ここで誰もが訳がわからなかった、しかしラミレスは二千本安打を達成してそのうえで引退した。それからだった。
 何と横浜DNAベイスターズ、彼が最後に現役生活を過ごしたこのチームの監督に就任した。するとだった。
 多くのファン達は現役時代の彼と共に首を傾げさせた。
「監督!?」
「ラミレスが!?」
「あのラミレスがか」
「監督なんて出来るのか」
「何も考えてないだろ」
「それじゃあ無理だろ」
「監督なんてな」 
 それこそというのだ。
「日本語は喋べることが出来てもな」
「それでも監督が出来るとか」
「幾ら何でも出来ないだろ」
「前の中畑はそれなりにやってくれたけれどな」
「選手を育ててな」
「チームの成績は悪かったにしても」
「それなりにな」
 中畑清、彼は頑張ったというのだ。
「そうしたけれどな」
「それでもな」
「ラミレスが監督とかな」
「大丈夫か?」
「横浜ずっと暗黒時代だぞ」
「最下位に何回なったんだ」
 二十一世紀に入ってから横浜は暗黒時代だった、一九九八年に三十八年振りの日本一を果たしてから数年経て長い暗黒時代に突入した、それでだった。
 中畑が負けながらも必死に選手を育ててそのうえで土台を築いたがその土台を壊して結局暗黒時代が続くかろ思われた。だが。
 ラミレスが監督になった横浜は意外とだった、まさにファン達から見れば意外にもだった。弱点があっても解決していき。
 中畑が育てた若手を上手に使いかつ若手も育成しベテランも大事にしつつ戦っていった、この意外な健闘にだった。
 ファン達は思った、それで口々に話した。
「どうなっているんだ」
「横浜結構強いぞ」
「流石にカープには負けてるけれどな」
「それでもな」
「カープにも奮戦してるしな」
「巨人より強いな」
 球界そして日本の倫理の世界を蝕む邪悪そのものの存在よりもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧