魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第63話 烈火の剣精
「ここです」
俺達が転送した場所は、極寒とも言える気候の管理世界だった。
管理世界で堂々と違法の研究をしているとは度胸があるんだか、考えなしなんだか………
「先ずは私のISシルバーカーテンで私達の姿を隠すわ。これならしばらくは見つからないで進めるはずよ。ただ、最近だと解析されるスピードが速くなってきていて、早めに対応されると思うから、途中で見つかると思うわ。そこからは戦闘をしながら管制室まで進む。理解したかしら?」
ぱっぱとクアットロが説明する。
しかし、中々厳しい戦いになりそうだ。
どれくらいクアットロのISが凄いのか分からないけど、見つかればそこからは大勢を相手にしなければいけない筈だ。
「あら、怖気付いた?」
「まさか」
「それなら良いわ。足でまといは余計だから」
そう言って懐から仮面を取り出す。
すると仮面が光って、頭全体をヘルメットみたいに覆った。
見た目はバイクのヘルメットみたいで、結構かっこいい…………
他にもトーレさん、ディエチも付けている。
「フェリア、あれ何?」
「正体がバレないように付けるらしい。私も付ける」
そう言ってフェリアも同じように仮面を付けた。
みんな同じヘルメットをしているが、クアットロはケープを、ディエチとフェリアはそれぞれ茶色のマント、灰色のコートを着ているため見分けがつく。
まあフェリアは背が低いので分かりやすいけど…………
「何か、不愉快な事を言われた気がしたが…………」
「気のせいだ。………それより、俺も貰っておけば良かった」
「俺は貰ったがな。そう言えば零治、お前はどんな格好するんだ?」
黒いロングコートを着て、ヘルメットを付けていると何か微妙な感じがするぞ桐谷………
「俺はこれだ、ラグナル!」
『はい、セットアップします!』
俺の体を光が包む。
俺は足元まである黒いロングコートに黒いズボン。
そして、顔には白い仮面。
「どこかで見たことあるな………」
「ヘイだよ!!…………知らない?」
「……………だめだ、思い出せない」
何と言うことだ!!
俺はあのアニメ大好きだったのに…………
「零治、そんな仮面で大丈夫なのか………?」
「大丈夫だよフェリア、これもバリアジャケットの一部になってるから。髪型も変わってるし、誰だか分からないだろ?」
「まあ、確かに零治には見えないな。どこにでもいそうな感じだ」
俺の今の状態だが、服装、髪型までヘイと同じようになっている。
元々俺の髪は茶髪気味の短髪。ヘイは短髪だけど、真っ黒の髪。これなら大丈夫だと思う。
「準備が出来ましたら、行きますわよ」
俺達は研究所へと向かった。
「ISシルバーカーテン!」
クアットロがそう言ったが、何か起きた感じがしない。
「これで監視カメラにも研究員にも姿が認識出来ないわ。待ってて、今入口のドアを開けるから」
そう言って入口のドアに小型機を付ける。
あれか!よくスパイ映画で見るあれか!!
「零治!」
「ああ、流石スカさん!!実際に見れる事があるなんて思わなかった!!」
「……………お前らテンション高いな」
「仕方がないトーレ、私も地球出身だったら零治達と同じ反応だったと思うぞ」
「そういうものなのか?」
「私も分かる気がする」
ディエチもフェリアの意見に賛同した。
「いいから早く行きますわよ!!」
クアットロに怒られ、研究所に侵入した……………
研究所の中は何もない一本道、白い空間に包まれていて殺風景な風景だ。
「取り敢えず奥に進みましょう。いざというときは2手に分かれることになるかもしれないから、頭に入れておいて」
クアットロの指示に俺達は頷く。
「しかし、こうしてみるとクアットロがリーダーみたいだな」
「あら?みたいじゃなくてそうなのよ。トーレお姉さまは戦闘狂ですし、ディエチちゃんは面倒になるとトリガーハッピーになりますからね。チンクちゃんは調子に乗ってますから…………」
「まて、なぜ私だけ適当なのだ?」
「私もトリガーハッピーじゃない」
「私の戦闘狂は否定はしないが、クアットロが指揮を取るのは戦えないからだろ」
「うぐっ!?確かにそうですけど…………………で、でも私が指揮してることには変わりないですわ!!」
どうでもいいから騒ぐなクアットロ。
「既に中に入ってるんだ、騒いでると見つかるぞ…………」
「わ、私だって戦い用はあるんですわよ!!シルバーカーテンで幻影を多く作り出し、敵を混乱させれば………」
「ふん、ただの時間稼ぎだろ?」
「そ、そんなこと無いですわよ!!」
「…………聞けよ」
桐谷、見事にスルーされたな……………
「この先どうなることやら…………」
「そうだな…………」
俺と桐谷はこれから先の事が不安で仕方がなかった…………
暫く進むと、単調だった風景が変わってきた。
そして道もどんどん広くなってくる。
そろそろ本格的に中に入ってきたのかな…………
「そろそろ研究員と接触するかもしれませんわね。シルバーカーテンで姿を隠してるとはいえ、消えてるわけでは無いのでお忘れなく」
「分かってるよ、触れなければいいんだろ?」
「まあそうですわね」
まあ人数も少ないだろうし大丈夫だろ。
「それじゃあ行くぞ」
俺達は気を引き締めて進んだ…………
『クアットロ、二手に道が分かれてるけどどうする?』
研究員もまばらに見えてきた所で、俺達は念話で会話をしている。
『取り敢えず二手に別れましょう。メンバーは私、トーレお姉さま、零治。もう片方にチンクちゃん、ディエチちゃん、桐谷でどう?』
『それでいいだろう。私達は右に行こう』
『分かりましたわ。当たりでしたらまた連絡をしてください』
『了解した』
そう言ってチンク達は右に進んで行った。
恐らくこのメンバーで進んで行くことになるだろう。
直ぐに見つかれば苦労はしないんだけど……………
俺達が通ってる道には色々な研究室があった。
学校の科学室みたいにビーカーやらメスシリンダーがあったりと普通の研究室もあったが、様々な動物が大きなシリンダーの中でプカプカと浮いている研究室もあった。
可哀想だ………
動物を使って何かの実験をしているのか?
『何をしているの?さっさと行くわよ!』
『あ、ああ』
俺達は更に先に進んだ…………
零治達と別れた俺達は管制室を探して移動していた。
『給湯室…………仮眠室…………ってコッチはハズレかもな』
部屋の前に貼られているプレートを見ながら進んでいる。
ミッド語はデバイスのセレンに翻訳してもらってる。俺も勉強するべきかな…………
『分からないよ桐谷。そういう所に限って管制室があったりするんだよ』
『そんなものなのか?』
『そんなものだよ』
ディエチが言うのだから間違い無いのだろう。
クアットロのえっと…………シルバーカーテンだっけ?
それが見破られるまでに見つかれば良いんだけど…………
『二人共、ここにはプレートが無い。入ってみよう』
フェリアが見つけたドアにはプレートが無い。
でも管制室って普通プレートとか貼ってあると思うけど…………
それでも100%無いって事は無いか…………
取り敢えず俺達はその部屋に入っていった…………
「酷いな………」
思わず呟いてしまうほど酷い光景だった。
部屋の中に檻が並んでおり、その中には様々な動物がいた。
ただその動物が普通じゃない。
馬の体に虎のような動物の顔。背中には翼が付いている。
まるで漫画に出てくるキメラみたいだ。
「管理世界の原生生物のパーツを着けた生き物みたいだな…………」
「酷い………」
こんな生き物を作る事を命じている管理局員がいるのか…………
「桐谷、次に…………くっ!!」
そこまで言ってフェリアが異変に気づいた。
『侵入者発見。コレヨリ合成獣ヲ解放シマス』
機械音が響き、大きな音が鳴り響く。
「もうバレた!?」
「だが、クアットロのISは電子センサーも欺く筈、流石に早すぎではないか!?」
「…………二人共、四の五の言ってる場合じゃ無いみたいだぞ………」
俺はそう言いながらさっきまで檻の中にいたはずの生物達がこちらを見て唸っている。
「ディエチ、扉は?」
「ロックされている…………」
「先ずは外に出よう。こうなったら力づくで探すのみ!」
ナイフを取り出し、投げる姿勢を取るフェリア。
「そうだな、だけど先ずは目の前のアイツらだな」
俺も両腕のミズチブレードを構える。
本当は右腕のみのミズチブレード。左腕はスカさん特製のバリアを張れるようになっている。
「行くぞ、セレン」
『はい、ご主人様!』
俺達は合成獣と戦闘に入った……………
問題なく進んでいた俺達だが、いきなり大きな音が響いた。
「クアットロ!!」
「分かっていますわ。どうやら時間切れですわね…………来ますわよ!!」
見るとデバイスを構えた魔導師が横一列に並んでいる。
「私が前に行く!!零治はクアットロを頼むぞ!!」
「ちょ!?トーレさん!?」
トーレさんは勝手に言って勝手に突っ込んでしまった……………
「おい、くるぞ!!構えろ!!」
リーダー格の様な魔導師が叫ぶ。
「よし…………射て!!」
合図と共にトーレさんに向かって、一斉に魔力弾が飛び交う。
「ふん………遅い!!」
だがトーレさんはその全てを避けてみせ、一気に詰め寄った。
「速い…………」
『ライ様程…………いや、それ以上に速いかもしれません………』
「流石は戦闘機人の上から3番目だな」
「そうでしょ、トーレお姉さまは戦闘だけは凄いですから」
確かに凄い。
手足に生えたエネルギーの翼を刃として敵を一網打尽にしている。
あれがトーレさんのIS?
『マスター!後ろから魔力反応があります!!』
「増援だな…………クアットロ!」
「分かっていますわ、トーレお姉さまに続いてさっさと行きますわよ!」
トーレさんは相変わらずさっさと突っ込んでいってるけど孤立しないかあれ…………
「クアットロ、あれじゃトーレさんが孤立する!もっと速く走ってくれ!」
「む、無理言わないで!!私は頭脳派なのよ!?」
戦闘機人だろうが……………
「うおっ!?」
ライオン?の顔をした合成獣が炎を吐いてきた。
咄嗟に左腕を出す。
『バリアフィールド展開』
ジェイルが付けてくれたバリアフィールド。
あのダンジョン騒ぎで巨大ロボットが使っていた物を小型化したものらしい。
なので自分の魔力を使う必要も無く、燃費が良い。
ただ破られると、再展開に少し時間が必要になるらしい…………
「IS、ランブルデトネイター!」
さっき天井に投げていたナイフが一斉に爆発した。
飛んでいた合成獣の殆どが爆発に巻き込まれている。
「凄いなフェリア………」
「これが私のISだ。手で触れた金属にエネルギーを流し爆発させる事が出来る。そしてこれが………」
そう言って空中にさっき持っていたナイフを複数展開した。
一体何を…………
「オーバーデトネイション!」
展開したナイフを、さっきの爆発でも落ちなかった合成獣に一気に発射した。
直撃したナイフは当たると爆破し、今度は完全に地上へ落とした。
「………凄いなフェリア」
「まあな」
俺も負けていられないな………………
『ご主人様、前方にまた来ます。数、3!』
俺も目視出来た。
なぜだか知らないけど縦に並んで来てる。
「よし、なら…………」
俺は右腕のミズチブレードを展開。
そして一気に一番前の合成獣に詰め寄った。
「地斬疾空刀!!」
魔力を纏わせた刃で3回斬り、下から一気に衝撃波の様に魔力を放出。
後ろにいた2匹含めて一気に吹っ飛ばした。
「よし!」
『見事です、ご主人様』
威力も上々、流石ジェイルと言った所だな。
「あ〜!!面倒だ、一気に吹っ飛ばす!!」
「「えっ!?」」
入口のドアを何とか開けようと奮闘していたディエチだったが、我慢できなかったのか、大きな銃を構え、チャージし始めた。
「おいディエチ、待て!!」
「ISヘヴィバレル!!」
フェリアの声も聞こえていないのか、ディエチはチャージしたエネルギー弾を発射した。
大きな音を上げ、扉はあったその場所には大きな穴が空いた…………
「これは確かにクアットロの言うことも分かるな…………」
事実、ディエチの顔はスッキリしている。
「だが、これでは合成獣が外に出てしまう!!」
「それも私に任せて」
そう言ってイノメースカノンを合成獣に発射した。
さっきとは違い実弾みたいだ。しかし、それは合成獣の目の前に着弾した。
「おい、ディエチ………」
「大丈夫だよ、チンク姉」
すると着弾した場所からガスが放出された。
ガスを吸った合成獣は崩れ落ち、その場から動かなくなった。
「バレットイメージ・エアゾルシェル、原生生物バージョンだよ。吸うと麻痺して暫く動けなくなる」
……………凄いなディエチ。
ただの弾だけでなく、特殊弾もあるのか…………
「よくやった………と言いたいが、さっきの爆発で魔導師が来るかもしれない。さっさと先に進もう」
「そうだな、早く見つけないとな…………」
零治達の方は大丈夫か…………?
「そらそらそらー!!」
ただいまトーレさん無双中。
来る魔導師を次から次へとばったばった倒している。
俺は生き残った魔導師に止めと、クアットロの援護。
もの足りないとかは思わないが、俺が来た意味あったのかな……………
「トーレお姉さま、正面の大きな扉に入りますわよ!!」
「了解した!!」
トーレさんはそのままのノリで扉を叩き斬り、無理やり中に入った。
「もう少しスマートに行きたいのですけど…………」
「あの様子じゃ無理だな…………」
入った部屋は何かの実験室みたいだ。
暗く、何があるのかまではハッキリ分からない。
しかし、右にはドアがあり、中には色々なディスプレイがあった。
そこから漏れる光で多少、部屋の中も見えるようになっている。
「もしかしてビンゴ?」
「そうかもしれませんわね。取り敢えずあっちのディスプレイを見てみましょうか………」
「私も行くぞ」
クアットロと、トーレさんは右のドアへと向かって行った。
しかし、俺は一番奥に何かが拘束されているのに気がついた。
「何だあれ?」
暗くてよく分からないが、赤い色っぽいのは分かった。
俺は気になったので近づいて見た。
「赤い…………妖精?」
そこに居たのは拘束された赤い小さな小人。
だけど、リリなのの世界に妖精なんていたっけ?
でもかなりの管理外世界があるわけだし、いる世界があってもおかしくないか………
取り敢えず俺は拘束具を外す為に近づいた。
パキッ
「ん?」
何かが割れる音がした。というか踏んづけた。
暗くて分からないな…………
「クアットロ!!明かりを付けられないか!?」
「ちょっとお待ちに!!えっと………これかしら…………」
そう言いながらクアットロは壁にあったボタンを着けた。
「おっ、ついたつい…………」
俺はそこから言葉を失った。
拘束されていた小悪魔の女の子。
本当に小人で、しかもどこかで見たことがあるような顔。
だけど、そんな事はどうでもいい。
俺が言葉を失ったのは、そんな事じゃない。
何も着てない体には無数の傷痕と注射痕。
明らかに何かのモルモットになっていた痕だ…………
さっき踏んずけたのは注射器みたいだ。
小人の女の子は顔色も凄く悪く、かなり衰弱している。
「おい、大丈夫か!?」
すぐさま拘束具を外し。近くにあった布切れで女の子を包み、抱き寄せた。
「しっかりしろ!!」
そう言うと女の子はゆっくりまぶたを開けた。
「ア……ンタは…………?」
いつも通りの毎日…………
しかし今日は様子が変だった。
実験の時間。
だけどその前に研究員が慌てて出ていった。
一体どうしたんだ……………?
まあ実験が無いならどうでもいいや…………
そこでアタシは再び意識を失った……………
「………い、大……か?」
誰かの声がした。何か慌てているようだけど何かあったのか?
「しっかりしろ!!」
その声を聞いて私の意識は戻った。
しかし、いつもとは違い、暖かい…………
私はゆっくり目を開けると、目の前には一人の男がいた…………
「あ……んたは…………?」
「クアットロ!!」
俺は直ぐにクアットロの所へ向かう。
「どうしたのですか?そんなに慌てて…………ってどうしたのかしらその子………?」
「すぐそこで拘束されていた。取り敢えず助けたんだけど、結構衰弱してて不味い。…………ここはアタリだったか?」
「管制室ではありませんでしたけど、一応当たりですわね。ウィルスも仕込み終わりましたので、後はここを出るだけです」
「そうか…………」
それを聞いて安心した。
早く、この子を回復してあげなきゃ…………
こういうときに加奈が居てくれたら…………
ラグナルも回復魔法はあるにはあるが、最低限の、しかも使用者にしか使えないからな…………
「では、チンク達と連絡をして早く帰ろう」
クアットロはデータを取り出し、俺達と共に部屋を出た…………
「待っていたぞ、こそ泥め…………」
部屋を出るとそこには3つの顔を持つ狼を座らせている、白衣の小太りの男がいた。
「その腕に抱えているサンプルを返してもらおうか。そいつは今どき珍しい古代ベルガの融合騎だ。お前みたいなこそ泥が持っていいものじゃない」
小人の女の子は男を見て震えている。
「お前がこの子に酷いことをしていた張本人か……………?」
「ああ、そうだとも、私の名前はディラウド・ベンダー。高貴なる研究者だ!!」
「そんな名前どうだっていい………」
俺は抱えている右腕を左腕に変え、右腕でラグナルを抜刀する。
「そんな状態で戦うつもりか?言っておくが私の造ったこの2匹の狼、ケルベロスは私の造った合成獣の中でも特に獰猛でな。魔力を好物とし、リンカーコアをえぐりとって食べるのだが…………Aランクの魔導師が束になっても敵わない強さを誇っているのだ。しかもそんな合成獣が2匹、今そのサンプルをこっちに渡せば命ぐらいは保証してやってもいいが…………」
俺はただ静かに奴に向かって歩く。
「ふん、ならいい。やれ」
そう奴が言うと、両脇にいたケルベロスが一斉に襲いかかってきた。
「逃げ…………ろ…………」
「大丈夫だ、もうお前に苦しい思いはさせないよ…………」
震えながら、俺を心配する女の子。
大丈夫だ、もう辛い思いは絶対にさせない。
「グガアアア!!!」
狼とは思えない唸り声を上げながら襲いかかって来るケルベロス。
『カードリッジロード!』
鞘から薬莢が2つ飛び出す。
「魔王炎撃破!!」
体を一回転させ、炎を纏った刀でタイミング良くなぎ払った。
「「ギャン!?」」
炎に燃やされながらケルベロス達は壁に叩きつけられ、動かなくなった。
「嘘だろ!?私が造ったケルベロスがいとも簡単に!?」
『ソニックムーブ』
俺はすぐさま男の目の前に移動。
「業火に焼かれて罪を償え!!」
『カードリッジロード!』
今度は薬莢が3つ。
「覇道………滅封!!」
「ぎゃあああああああああああああ!?」
炎の衝撃波に飲まれ、燃え盛る男。
「た、助けてくれ!!」
「苦しみを味わい、地獄に落ちろ…………」
俺はそのまま放置し、クアットロの所へ戻った。
「……………あなたは優しいただの甘ちゃんだと思いましたが、結構やるときはやるのですね」
「余りにも許せなかったんでな。だけど殺してはないぞ」
「だが未だに燃えてるぞ」
トーレの言うとおり、男は燃える炎に悶え苦しんでいる。
「ただ全身大やけどを負うだけさ。簡単には殺さないよ…………」
「なるほど、確かにあんな外道にはいい仕打ちかもしれませんわね」
クアットロが外道と言うのか…………
「そんなことよりも早く出ましょう。チンクちゃん達にはもう連絡してあるわ」
そんな時だった。
『タダイマ自爆装置が作動シマシタ。タダチニ5分以内二研究所カラ退避シテクダサイ』
機械音が研究所に流れる。
「もう………お前らも道連れ…………だ」
燃えながら男が何かを押した。
『合成獣全放出……………全シャッター展開完了』
「これで……………お前らはもう……………」
そこで意識を失ったのか、動かなくなった。
「余計な事を……………」
「また全力で走らなければなりませんの!?」
「死にたくなかったら走れ!!」
俺達は出口に向かって走り出した……………
「魔王炎撃波!」
襲ってきた合成獣を炎の刀でなぎ払った。
「ちっ、数が多い!!」
文句を言いながらも次々と合成獣を斬り刻むトーレさん。
「こう狭いとシルバーカーテンで幻影を作っても意味が………」
避けながら文句を言うクアットロ。
「このままじゃ間に合わないな…………」
カードリッジをフルロードして覇道滅封で吹き飛ばすか………?
そんな時だった…………
「ユニゾン…………イン………」
「なあっ!?」
俺の体が光に包まれ、刀が炎に包まれた。
『マ、マスター!?』
「ぐああああああああ!?」
体が熱い!?
全身炎で燃えてるみたいだ。
だが、その熱さも直ぐに落ち着いた。
「これは……………」
『はは、やっぱりアンタが私のロードだ……………』
炎………?融合騎………?ロード………?
こいつ、アギトか!?
『これからよろしくなマイスター!!』
「俺は有栖零治。残念ながら俺はマイスターじゃないよ、アギト」
『アギト?』
しまった!!つい名前を言ってしまった!!
『アギトか……………気に入った!!これから私はアギトだ!!』
あれ?元の名前はアギトじゃなかったのか?
…………まあ原作でアギトって呼ばれてるし、問題無いか。
しかし、何でアギトだって気付かなかったんだ……………
これじゃあシグナムがロードじゃ無くなってしまう…………
『マスター、悩んで無いで早くしないと死にますよ!!』
そうだ!!今はそんな事は後回しで逃げないと……………
「仕方ない………アギト、お前の力を借りるぞ!!」
『おおっ!!思いっきりやれ!!』
お前………ユニゾンしてると元気だな……………
『カードリッジ、フルロード!!』
俺は空中に飛び上がり、合成獣がうじゃうじゃといる辺りまで飛んだ。
「行くぞ!!全てを燃やす業火の炎!!緋凰絶炎衝!!」
全身に炎を纏い、斜めに下り、そのままさっきいた場所まで切り替えした。
『焼き尽くせ!!』
アギトの声の後、俺が通った道に炎が巻き上がる。
しかしアギトもノリノリだな…………
「凄い威力ね…………」
「空を飛べないとどうすることもできないな…………」
『凄いです!マスター!!』
『流石はアタシのロードだ!!』
「ロードじゃないよ、それより早く行こう!!」
俺が作った道を俺達は進むのだった。
「くそ、ディエチ、頼む!!」
「ISヘヴィバレル!!」
ディエチの砲撃で降りていたシェルターを吹き飛ばす。
さっき、研究所を爆破すると放送があった。
それを聞いて慌てて外へ移動している俺達だが…………
「くそっ、また合成獣か!!」
「どけ!!玄武剛弾!!」
両手で竜巻を作り出し、竜巻を相手に向かって放出。
合成獣は竜巻に巻き込まれ吹き飛んだ。
玄武剛弾は魔力弾として発射することもできるが、数が多く、固まっている以上、一気に吹っ飛ばした方が効率が良い。
「ナイスだ、桐谷」
「それより急ぐぞ、早くしなければ間に合わなくなる………」
そう言って俺達は先へ進んだ。
「ISランブルデトネイター!!」
フェリアのISで後ろを爆破し、道を塞ぐ。
これで後ろから襲われる心配は無い。
「後は急ぐのみ!!」
玄武剛弾で近づいてくる敵を吹っ飛ばす。
走りながらでも直ぐに使え、なおかつ大多数の敵を巻き込めるから本当に便利だな。
暫く進むと、最初の分岐点まで着いた。
「零治達は先に行ったか?」
「分からん、だが、シャッターがまだ降りてるところを見るとまだなのでは?」
全く、何をしてるんだあいつは。
もう時間も余裕が無くなってきた…………
「翔凰烈火!!」
そんな事を思ってると、炎の鳥がシェルターを突き破って、現れた。
「何だこれは!?」
「おっ、お前らもいたのか!!」
突き破った穴から赤い髪の男が現れた。
「「「…………誰?」」」
「俺だよ、有栖零治だよ!!」
……………何で髪が赤いんだ?
「そう言えば、言ってなかったな。髪が赤いぞ」
「はい!?ってか今更遅いですよ、トーレさん…………」
その後ろからクアットロをおんぶしたトーレさんが……………
クアットロはばてたのか?
「皆さん………後、2分しかありませんわよ……………」
しかし本当に声に覇気が無いな…………
体力なさすぎだろ……………
「クアットロ、帰ったら戦闘訓練するからな」
「いいですから、先ずは生きて帰りましょう…………」
「そうだな、零治のその容姿もそうだが聞きたい事が山ほどある」
「それじゃあシェルターを吹き飛ばすよ」
イノーメスカノンを構えたディエチが言う。
「ISヘヴィバレル!!」
その一撃で残りのシェルターを一気に吹き飛ばした……………
「全く、派手にやってくれたね…………」
「ドクター、認識完了しました。この骨はディラウド・ベンダーで間違いないようです」
「そうかい…………全く、派手にやってくれたもんだ」
そう呟きながらディラウド・ベンダーの骨を握り潰す。
黒こげだった骨はいとも簡単に粉々になった。
「まあ、手間も省けてよしとするか…………しかしやりすぎだなスカリエッティ。老人たちもそろそろ何か手を打つよ。君はどうするのかね………?」
「ドクター?」
「いいや、何でも無いよ。それより引き上げるとしよう」
「イエスマスター」
「しかしスカリエッティがこんな行動に出るとは予想外ではあったが面白い。私の計画も着々と進んでいるぞ。精々頑張ってくれジェイル…スカリエッティ」
そう言って白衣を着た男、クレイン・アルゲイルは側にいた女性と共に消えたのだった………
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