犬のアレルギー
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第三章
「マルに直接触れたりしない様にしてね」
「飼っていくのね」
「そうしていこう」
「じゃあ」
「人にだってそうなんだ」
こうもだ、武は言った。
「アトピーがあったら対処する方法があるよ」
「それならね」
「それをしていけばいいから」
「犬についても同じね」
「人に対してそうならそうしていけばいいから」
だからだというのだ。
「そうしていこう」
「わかったわ、獣医さんも言っていたし」
「そういうことでね」
「マルと暮らしていくのね」
「そうしていけばいいよ」
夫は妻に前向きな言葉で話して妻も頷いた、そうしてだった。
夫婦で共にだった、マルに夫が言った通りに直接手を触れないで部屋も徹底的に掃除してマルを家の中に入れた時も大丈夫な様にした。勿論餌をやる時も散歩をする時も注意をした。するとそれでだった。
マルのアトピーは治り普通の犬と変わらない外見になった、それで由美は部屋の中でくつろいでいるマルを見て武に話した。
「どれだけ大変な病気もね」
「注意していけばいいんだよ」
「それで困ったことにならないのね」
「そうだよ、一緒に暮らしていけるんだよ」
「そうなのね」
「厄介な病気はあるよ」
どうしてもとだ、武はその由美に話した。
「けれどね」
「ちゃんとたっていくとね」
「困ったことにならないよ」
「そうね、そのこともわかったわ」
実際にとだ、由美は武に答えた。
「人へのアレルギーって聞いた時はどうしようかって思ったけれど」
「それならそれでやり方があるんだ」
「そうね、じゃあこれからも」
「マルと一緒に暮らしていこう」
「そうね、じゃあマル今からお散歩に行きましょう」
「ワンッ」
マルは由美の言葉にぱっと頭を上げた、そして陽気な鳴き声を挙げた。そうしてだった。
手袋とマスクを身に着けた由美と一緒に散歩に出た、その姿はもう普通の柴犬だった。丸々と太っている普通の柴犬だった。
犬のアレルギー 完
2020・5・25
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