リリカルなのは~優しき狂王~
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第十二話~宴~
前書き
今回は笑い話です。(本当か?)
機動六課食堂
ライが訓練に初参加した日の夜。食堂に機動六課の大半の職員が集合していた。
なぜそんなことになっているかというと、はやての突然の提案―
はやて「ライの歓迎会を開こ!」
というのが理由である。はやてはライがまだ殆どのメンバーに顔を見せていないことを知っていたため、急遽企画したらしい。
民間協力者であるライは流石にそこまでしてもらうのは申し訳なく感じたのだが、準備している人々がとても楽しそうにしているのを見て断りきれなかった。そしてあれよ、これよとしている内に準備が整い、開始時間になっていた。
今壇上に立っているのは、はやてとライの二人。はやてはマイクを持ち集まった局員に話始める。
はやて「みんな、もう耳にしとると思うけど説明するな?彼は民間協力者のライ・ランペルージさんや。先日出てきた新型、ナイトメアフレームに対する戦力として六課に協力してもらう事になりました。」
そこで一度言葉を切り、マイクをライに渡すはやて。受け取ったライは一歩前に出て自己紹介をする。
ライ「ライ・ランペルージです。これからよろしくお願いします。」
そう言うと一礼する。ライのその動作は無駄がなく気品があった。それに当てられ何人かの局員は男女問わずにライに見惚れていた。ライにとっては染み付いた動作をしただけなのだが、ライの容姿と纏う雰囲気から慣れていない人にはそうなってしまうようだ。
はやて「まぁ、堅苦しい挨拶はここまでにして。流石にお酒は出せへんけどちょっとした息抜きと思って楽しんでってな。それじゃあ、乾杯!」
そう言うと集まった一同は手に持っていたコップを上に持ち上げ乾杯をする。その後は話すもの食べるものなどそれぞれ別れていくのであった。
ライは局員からの質問に答えたりしながら過ごしていた。そんな中視界の端で光が瞬いたように見えたのでそちらを向くとカメラを構えた男性局員がいた。彼は自分のことに気がついたのが分かるとライの方に近づいてきて挨拶をする。
ヴァイス「ヴァイス・グランセニックだ。六課でヘリのパイロットをしてる。よろしく。」
ライ「よろしくお願いします。あのそれは?」
ライはヴァイスの持つカメラに視線を向けながら尋ねた。
ヴァイス「これか?なんか八神部隊長に頼まれてな。今回の歓迎会の記録係をしてくれってな。」
そう言いながら、ライの顔写真を撮影するヴァイス。その姿はどこか生き生きしていた。最初はいきなり撮られたことに驚いたライであったが、ヴァイスの持つ明るい雰囲気ですぐに打ち解けることができた。
ヴァイス「それにしてもあの噂は本当だったんだな。」
ライ「噂?」
ヴァイス「最近、隊舎の中で見知らぬ男がよく歩いていて目撃はされるが局員ではない。しかも一定の時間にしか見ることが出なくて、さらに見た目がかなりかっこいいってな。それでついたアダ名が『幻の美形』」
それを聞いたライは思わずため息をついてしまう。しかし原因の半分は自分にあるため何も文句は言えなかった。
ライ「幻はわかるけど、僕はそこまで美形じゃないと思うけど……」
ヴァイス「……本気か?」
ライ「何がです?」
ヴァイス「いや……いい。」
ライ「はぁ…?」
その後、ヴァイスと別れ局員の顔を覚えている途中に今度はフェイトが近づいてきた。しかしいつもよりその表情は浮かない感じであったが。
フェイト「ライ。」
ライ「どうしたの?そんな浮かない顔して?」
フェイト「昼間は助けてくれてありがとう。それと……ごめんなさい!」
いきなり頭を下げられ混乱するライは慌てて尋ねる。
ライ「いきなりなんのこと?」
フェイト「その…わざわざ私を庇ってくれたり医務室に運んでくれたり……」
ライ「ああ、あれは僕が勝手にやったことだし気にしなくていいよ。」
フェイト「でも―」
ライ「それに結果的にフェイトに怪我が無くてよかったよ。」
フェイト「…………あぅ。」
満面の笑みで答えられ言葉につまるフェイト。
フェイト(その笑顔はずるいよ~~……)
パーティーが進む中、いきなり部屋の消灯が落ちる。全員が驚くがステージ側に照明が集まり自然とそちらに視線が集中する。そこに立っていたのは六課の部隊長である八神はやて。しかし彼女はいつもと違う服装をしていた。いつもの制服ではなく、黒のボディーアーマーとズボン、そして赤い外套を着ている。そのことを一同が不思議に思っているとはやてがマイク片手に声をあげる。
はやて「これより特別企画、男女逆転祭りを開催やーーー!!!!」
はやてのテンションについていけずにポカンとする一同。たまたまはやての近くに立っていたなのはが質問する。
なのは「はやてちゃん。男女逆転祭りって?」
はやて「それは読んで字のごとく男は女に女は男になるってことや!!」
なのは「え~と……男は女装、女は男装をするってこと?」
はやて「その通りや!」
それを聞くと何人かは「面白そう」と言ったり、「俺はちょっと…」という反応だったり様々であった。
周りが騒ぐ中、ライは冷や汗を流していた。
ライ(なんだろう……今すぐ逃げ出したほうがいい気がする。)
自分の中で響く警鐘に従いその場を去ろうとするが肩を掴まれ止められる。振り向くとそこには笑顔のはやてがいた。
はやて「どこ行くん?」
ライ「いやちょっと―」
はやて「宴の主役なんやから絶対に参加するやろ?」
ライ「ごめん!」
そう言うとはやての手を払い、食堂の出口に駆け出す。
ライ(あと少し!)
そう思った瞬間、ライの体に若草色のバインドが巻き付く。
ライ「バインド?!」
シャマル「さぁ、ライ君行きましょうか。」
バインドを使ったシャマルがライを引きずっていく。抵抗できなくなったライは色々と諦めることになった。
そのまま祭りに参加する人たちははやてとシャマルがいつの間にか用意した服、数十着の中から一着を選び布で仕切りを作った更衣室に入っていく。
ちなみにエリオもはやてに捕まっていた。最初はライと同じく断ろうとしたがフェイトとキャロの「きっと似合うよ」という言葉に撃沈。連行されていった。哀れな彼に幸あれ。
結局参加したのは六課のFW陣が中心の少数であった。誰でも自分がするよりも誰かがするのを見る方が楽しいらしい。
壇上ではやてがマイクを持ち司会進行を始める。
はやて「それでは着替えの終わった人から行きましょう!最初はスターズFのお二人です。張り切ってどうぞ!」
一同が拍手をすると更衣室のカーテンが左右に開いて、スバルとティアナの二人が出てくる。
スバルの服装は白を基調とした服の上から青のジャケットを羽織ったもの。ぶっちゃけるとどこぞの私設武装組織の制服であった。
ティアナは黒のズボンに薄い茶色のシャツと赤のネクタイ、そして白に黄色と青のラインが入ったジャケットを着ている。それは某移動都市の学園の制服であった。
はやて「お~~二人共、案外似おてるな~」
スバル「ありがとうございます。なんかいつもの制服と違って変な感じですけど。ティアは?」
ティアナ「この服、見た目の割に結構動きやすい。」
はやて「じゃあ、なんか一言。」
そう言ってマイクがスバルに渡される。
スバル「う~~ん……じゃあ…」
ティアナ(なんか嫌な予感。)
スバル「ソレス○ルビーイングーーー!!!」
スバルがいきなり憎しみのこもった叫びをあげる。
ティアナ「やめんかーーー!」
隣に立っていたティアナが容赦なくスバルの頭を叩いた。
スバル「いたぁ~~、何すんの?ティア。」
ティアナ「うっさい!間違ってるようで間違ってないボケはやめなさい!」
はやて「え~二人の漫才はほっといて次はライトニングFの二人やで!」
スバルとティアナの二人をほったらかしにして司会は進む。また局員の拍手が起きるとカーテンが開き小柄な二人が出てくる。
一同「「「おおぉーーー」」」
二人が出てくると観客の局員達が驚きの声を上げた。揃って見ているのはエリオの方であった。彼の服装は簡単に言えばメイド服であった。しかも普通の物よりも丈が短いミニスカートにネコの尻尾と頭にはネコミミまで付いていた。
エリオ「キャロ、僕やっぱり…」
キャロ「大丈夫。とっても可愛いよ!」
逃げ出したいエリオは自分の手を握っているキャロに涙目になりながらも声をかける。しかしキャロの言葉を聞いた途端にガクリと項垂れてしまっていた。
ちなみにキャロの服は某庭球のプリンセスが着ていたテニスウェアであった。
はやて「エリオが沈黙したところで次に行ってみよか。次はスターズとライトニングの両隊長や!」
はやてが言い終わると再びカーテンが開き二人が姿を現す。
なのはの服装は某銀河の天使たちの上官で艦長をしていた指揮棒の名前を持つ人物が着ていた軍服であった。
なのは「なんかいつもの制服よりも身が引き締まる感じがするな♪フェイトちゃんは?とっても似合ってると思うけど。」
なんだかんだと楽しんでいるなのはがフェイトに尋ねる。
フェイト「こっちはいつもの制服よりも動きやすいかな。なのはの方も似合ってるよ。」
フェイトはいつもの髪型から三つ編みに変えて、どこぞの小柄な錬金術師と同じ格好をしていた。
はやて「ほうほう。二人共よう似おてるなぁ~。さてそろそろ本命に登場してもらおか。」
にやりと唇を歪ませはやてがマイクで喋りだす。
はやて「それでは次は今回の主役!ライ・ランペルージに出てきていただきましょう!どうぞ!」
そういうと全員がカーテンの方を見るが今までと違いカーテンが開かない。全員が不思議に思っている中はやてがカーテンに近づいて声をかける。
はやて「ライ?まだ着替えてへんの?」
ライ「いや……着替えは終わってるけど……その………」
よく見るとカーテンの端を掴む手があるので中からライが抑えているのがわかる。
はやて「なんで出てこんの?」
ライ「……」
シャマル「恥ずかしがってるのよ、はやてちゃん。」
ライ「シャマルさん!」
ライを着替えさせていたシャマルがカーテンの中から応えた。
はやて「なんや?似おてなかったりするんか?」
シャマル「いいえ。とっても似合ってます……よっ!」
中にいたシャマルがライの背中を押してカーテンからライが出てくる。ライが出てきた瞬間、その場の誰もが言葉を失った。
ライの服装は純白のウエディングドレス。しかもウィッグをつけて髪をロングにし、さらに化粧までしていた。そして両手で持つようにブーケを握り、恥ずかしそうに頬を染めている。はっきり言って似合い過ぎていた。
女性局員「「「きゃああああーーーーーー!!!!!!」」」
数秒間の沈黙を破ったのは女性局員達の黄色い声援であった。
はやて「くっ!まさかここまでの破壊力があるとは!でもまだやで、シグナム!」
ライの姿に怯んだはやてがそう言うとカーテンからシグナムが姿を見せる。その格好は白のタキシード。いつも騎士としての雰囲気と合わさりこちらもライに負けず劣らず似合っている。
シグナム「あ、主はやて。その……本当に?」
はやて「やったって!!」
はやてにそう言われると一度ため息をつきライの方に近づいていく。
ライ「あの、シグナムさん?」
シグナム「ランペルージ、許せ。」
ライ「え?」
シグナムは言った瞬間ライを抱えるように持ち上げる。簡単に言えばお姫様だっこである。ライが何か言おうとしたが次の瞬間建物が揺れるほどの歓声が上がりその声は掻き消えた。
ライが内心慌てているとき、その他のメンバーは……
なのは「あの二人すごく似合ってるなぁ~」
フェイト(なんだろう、すごくモヤモヤする。)
スバル「すごいな~~、ライは綺麗でシグナム副隊長はカッコイイし。」
ティアナ(なんだか女として負けた気分……)
キャロ「お二人共お似合いですね。」
などという感じになっていた。
そしてライが羞恥心に耐えられずに逃げてしまい、その日の歓迎会は幕を閉じた。
後日、その日の写真が高額で取引されていたため一人のヘリパイロットがしょっ引かれることになったり、エリオとライがすごく仲良くなっていたりしたのは完全に余談である。
後書き
えーと申し訳ないですけど本編は進んでいません。
ヒロイン達の服装は中の人が出演した作品から選びました。
次回は時間軸的にドラマCDの方になるんですが本編をすすめるためにとばします。
ご意見・ご感想をお待ちしております。
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