猫の贈りもの

　　　　　　　　　　　　　　　　猫の贈りもの
　唐月百は右目を隠した赤茶色のおかっぱ頭が印象的である、目は大きくてやや垂れていて色白だ。背は一六四位でスタイルはかなりのものだ。妹とマンションで暮らしていて勤務先は今はマンションの近くのホームセンターだ。そこでドライを担当している。正社員なので転勤はあるので今はいいけれど先は今の部屋から離れるかもと考えてもいる。
　その彼女にだ、妹の千代はいきなり家で言われた言葉を思わず聞き返した。
「猫！？」
「そう、猫なの」
　自分と同じ色の髪の毛を伸ばして後ろで束ねた妹に答えた、妹も大きな垂れ目で色白であるが背は妹の方が十センチ程低く胸もない。
「変な人に石投げられてて全身傷だらけの子猫見て」
「それで獣医さんに担ぎ込んだの」
「そうなの、薄い黄色に近い茶色の毛で」
　百は千代にその猫の外見の話もした。
「顔の下や足首やお腹が白いの」
「そうした猫ちゃんなの」
「首輪してないから多分野良で」
　百はさらに話した。
「雑種みたいね、雄だったわ」
「それでその猫を病院に担ぎ込んで」
「暫く入院するみたい」
「そうなの」
「診てもらったお金は私が払ったから」
　妹にこのことも話した。
「安心してね」
「高かったでしょ」
「かなりね」
　百は金のことば俯いて暗い顔になって述べた。
「そうだったわ」
「獣医さん高いからね」
「暫く節約よ」
「仕方ないわね、それは」
　千代はこう返した、大学生で毎日アルバイトをしていて家にも金を入れているのでそちらでやっていこうというのだ。
「私のお金もあるし」
「貯金しといてよかったね」
「そうね、それで後どうするの？」
「猫ちゃんが退院したら」
「その後はどうするの？」
「野良猫みたいだし」
　それでとだ、百は妹の問いに答えた。