戦国異伝供書
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第八十八話 初陣その三
「初陣を飾ってそして」
「その戦にもですか」
「勝たれますか」
「そうされますか」
「やはり初陣は飾りたい」
元就にしてもというのだ。
「だからな」
「それ故にですな」
「その時は」
「即座に動かれ」
「吉川家と共に武田家と戦う」
「そうされますか」
「必ずな、しかし思うことは」
元就はさらに話した。
「その武田家との戦でもな」
「出来る限りですか」
「謀を使われますか」
「そうされますか」
「うむ、そして武田家の力を弱めたい」
是非にというのだ。
「何とかな、では」
「はい、それでは」
「これよりですか」
「武田家に謀を仕掛けていきますか」
「そうされますか」
「うむ、それでな」
元就は家臣達にさらに話した。
「武田家を今から弱めていくぞ」
「わかり申した」
「こちらに仕掛ける前に」
「そうしていきますか」
「そして忍の者達を使いな」
そしてというのだ。
「さらにじゃ」
「仕掛けられますか」
「ここは」
「そうされますか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「武田家にな、そしてその前に武田家の隅から隅まで見る」
「武田家のことを知る」
「そうされますか」
「ここは」
「是非共」
「そうする、それに武田家だけでなくな」
その目を光らせてだ、元就はさらに言った。
「安芸の他の家も知りたい」
「隅から隅まで」
「そうされたいですか」
「これより」
「相手を知れば」
それでというのだ。
「よいな」
「はい、それからですな」
「己も知る」
「そうなれば百戦危うからず」
「左様ですな」
「左様、だから武田家だけでなく安芸の国人達のことはよく知りな」
まさに隅から隅までというのだ。
「そのうえで当家のことも知り」
「動いていき」
「勢力を拡大する」
「そうしていきまするか」
「うむ、それと大内家と尼子家のこともな」
この両家のこともというのだ。
「知りたい」
「大内家と尼子家もですか」
「そうされたいですか」
「安芸だけでなく」
「そうじゃ、やはり隅から隅までな」
大内家と尼子家もというのだ。
「そして誼を通じたり攻めてくれば防ぐ」
「そうしていかれますか」
「両家に対しても」
「その様に」
「まだ当家は両家に対する力はない」
元就はこの現実を冷静に述べた。
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