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夢幻水滸伝

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第百三十三話 高度を下げてその十三

「こっちは一騎打ちを申し出るが」
「それぞれやな」
「返事を聞きたいが」
「この状況で断る奴はここにはおらんわ」
 こうなってはという顔でだった、塩は応えた。
「最早な」
「それが返事やな」
「やらせてもらう」
 伝説の弓の名手の弓だけではなかった。
 施は己の周りに如意棒彼のもう一つの戦闘用の神具も出した。両手は弓矢で塞がっているが如意棒は自然に動いている。その身は混元綾で覆っていて白澤に乗ったままだ。
「ここはな」
「我もや」
 羅も中国きっての英傑の武器だけではなかった、もう一つの神具七蛟鋏を出した、すぐにそこから七匹のそれぞれ虹の色の龍が出た。身体は二郎真君の鎧で護り麒麟に乗っている。
「やったるで」
「そうか、他のモンもやな」
「見ての通りや」
 見れば中国の星の者達は全員がだった。
 戦いを得意とする者はそれぞれの神具を持って身構え術を使える者もそれを使う構えを取っている。それだけ見れば明らかだった。
 それを見てだった、中里は高らかに言った。
「戦のはじまりやな」
「ああ、思い存分戦うか」
 羅が中里に応えた。
「今から」
「行くで」
「おう、受けて立つわ」
 中里は羅に向かい羅もそれに応じた。
 芥川はその二人を見つつ施に声をかけた。
「ほなな」
「自分等もやな」
「やろか」
「望むところや」
 芥川も狐を前に勧め施も白澤をそうさせた、それぞれの星の者達も相手に向かっていきそうしてだった。
 両軍でそれぞれ開戦を知らせる法螺貝と銅鑼が鳴った、日本と中国は今まさにお互いの運命を決する戦いに入った。


第百三十三話   完


                2019・10・8 
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