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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第二十一話 民間人の救出

 
前書き
モデルFXのお世話になったボス。 

 
ガーディアンの保養施設で時折現れるイレギュラーを撃退しながらプレリー達はライブメタルの反応、もしくはインナーで何か事件が起きていないかを調べていた。

そしてようやくリペアが完了したモデルHと酷似した反応をキャッチしたのだ。

「エリアIの廃墟でライブメタルの反応をキャッチしたの。ライブメタルの他に複数の生命反応も確認されていて、多数の民間人がこのエリアの施設に捕らわれている可能性があるわ。エリアⅠへと向かって民間人を救出して欲しいの。」

「「了解」」

ガーディアンベースのトランスサーバーを使ってエリアEの発電所へ行き、そこからエリアIに繋がるシャッターを潜り抜けると、雨風に叩きつけられる。

『街の人の生命反応はずっと奥にあるわ。発電所のボスを倒したから施設の中は、一部機能が働いていないみたいね電気を送ることが出来れば何とかなるかもしれないのだけれど…』

「電気か…電気属性の攻撃で何とか出来ないかな…」

「試してみる価値はありそうだね」

「恐らく内部は暗闇に閉ざされている場所があるはず、その場所に出たならば拙者の力を使えば比較的楽に移動出来よう」

「ありがとうモデルP、頼りにしてるよ。ダブルロックオン!モデルPX!!」

廃墟ということで入り口が埋まっているかもしれないので、エールはモデルPXに変身して先に進む。

メカニロイドをヴァンがアルティメットセイバーでメカニロイドを両断し、エールがクナイを投擲してヴァンをサポートする。

しばらく進んで建物の前に立つと、エールの表情が渋くなる。

「どうした?」

急に表情を変えたエールにヴァンが尋ねると、エールは建物を少し見つめた後に口を開く。

「入り口がいくつかある。一つは屋上、そして二つ目は隠し扉。多分、隠し扉の方が早い」

モデルLXに変身して軽く内部を探ると、他のルートよりも比較的距離が短い。

「…だったら隠し扉の方に行ってみよう。近道出来るならそっちの方がいい」

「分かった。ついてきて」

エールは再びモデルPXに変身して壁を蹴り登り、まずは浮遊するリフトを利用して屋上に向かう。

屋上に到達すると、奥の方に梯子がある。

「ヴァン、あの大砲の反対側の壁が丁度隠し扉の近くなんだ。」

エールが下の方を指差したので見下ろすと、確かに定期的に弾を発射する大砲が配置されており、そこの反対側の壁が脆いのが分かった。

「なら、あそこに弾を当てれば壊せるかもな」

ヴァンが飛び降りてダブルジャンプで大砲の後ろに回り込むと、反対方向に砲門を向けると、弾が発射されて壁に命中。

あと少しなのだが、弾の威力が足りないのか破壊まで至らない。

なら、最後の一押しは自分でやるしかない。

ヴァンがオメガナックルのエネルギーを拳に纏わせて一気に壁を殴り付けると、壁はあっさりと崩れた。

それを確認したエールは壁に敷き詰められたトゲに触れないように着地し、一緒に建物に入る。

「隠し扉は…この下だね」

「ここか」

梯子を降りると、錆びた扉がある。

電気が通っていないのでヴァンがバスターショットを構えてチャージバスターで破壊して先に進むと室内は真っ暗であった。

「っ!暗いな…」

「アタシが先に行くよ。モデルPXなら暗い場所でもへっちゃらだし」

「そうか、じゃあ頼んだぞエール」

エールが先に進み、ヴァンはそれについていく。

途中の穴に落ちないように進み、奥の扉を開いて更に奥へと進んでいく。

途中にメカニロイドや天井の一部にトゲが敷き詰められていたが、エールのおかげでヴァンは攻撃も当たることなく先へと進めた。

そして扉を潜り抜けた先は行き止まりだったが、罅が入っているので容易に破壊出来そうだ。

壁を壊すと、奥から多数の生命反応と強力なエネルギー反応がある。

「……行くぞ」

「うん」

シャッターを潜って広い場所に出た直後、姿を現した鼬型のフォルスロイドが姿を現した。

「現れたな、お前がもう一体のモデルHのフォルスロイドだな」

「ご名答。大方、隣の部屋にいる奴らを助けに来たってとこだろうが、そうはいかないよ。奴らは大事なモデルVの生け贄…サイバーエルフの元なんだ。恐怖のデータに染まったサイバーエルフがモデルV覚醒の鍵なのさ!アタシはモデルHのフォルスロイド…ハリケンヌ!良い生け贄が育つよう、あんたの悲鳴を奴らに聞かせてやりなよ!」

「ヴァン、そっちは任せていいかな?」

「ん?」

ヴァンと背中合わせになるように立つエールにヴァンは不思議そうにする。

「そこに隠れてるのは分かってるんだよ。出てきたら?」

「何だって?」

モデルPXのスコープ脳裏の前ではいかなるステルスも通用しない。

エールが上を見上げながら言うと、ハリケンヌの視線もそちらに向かう。

「キキキ…ッ!おやおや、名乗り出る前にバラすとはこの時代の者達はマナーがなっていませんな」

「あんた何者だい?まさかあんたが最近アタシらの周りをウロチョロしてる奴らの仲間かい?」

「私が用があるのは破壊神の器のみ。あなた方のような品のない者達に用などありません。ああ、申し遅れました。私はヘルバット・シルト。私の姿を見た以上は生き残ることはあり得ませんが、私からのせめてもの慈悲ですよ」

「それはこっちの台詞さ!」

ハリケンヌがヘルバットに襲い掛かるが、ヘルバットは嘲笑と共に姿を掻き消した。

「なっ!?」

「下僕よ!!」

翼を広げた瞬間に蝙蝠型のメカニロイドが飛び出してハリケンヌを地面に叩き落とす。

「ぐっ!」

「下品な戦い方です。どうやら数百年の経過と共にマナーを忘れてしまったようですね。私があなた方への冥土の土産にマナーを教えて差し上げましょう。紳士と淑女の戦いのマナーその一、攻撃の際は無駄な動きはしないことです。いくら速かろうと動きに無駄があればその速さを殺してしまいますからね。曲がりなりにもあの賢将の力を持つ者がそれを理解していないとは…あの方の魂の破片を持つ小物も適材適所と言うものを理解していませんね」

「ぐうう…っ!」

嘲笑と共に言われたハリケンヌの表情が屈辱に歪む。

「…なるほど、こいつは確かにエールに任せた方が良さそうだな…頼めるか?」

「任せて、ヴァンはそいつをお願い」

エールはモデルPXの状態でヘルバットに挑み、ヴァンはハリケンヌと相対した。

「退きな、あんたはあいつの後で斬り刻んでやるよっ!」

「そいつは無理だな。あいつはエールが倒すし、お前は俺に倒されるからな」

アイスチップを起動して武器のチャージ攻撃に氷属性を付加させると、バスターショットを構えた。

「どいつもこいつもアタシを馬鹿にしてくれちゃって…舐めてんじゃないよっ!!」

二発同時に竜巻を発射してくるハリケンヌだが、壁を蹴り登ってからのダッシュジャンプでかわしてチャージバスターを当てるとハリケンヌの体は瞬く間に凍結する。

「この…っ!!」

氷を砕いてヴァンの真上にジャンプし、足元に竜巻を起こしながら降下してくる。

ヴァンはギリギリまでタイミングを見計らって一気に壁に向かってダッシュし、急降下をかわすとセイバーを抜きながらダブルジャンプで距離を詰めてチャージセイバーをぶつける。

「がはっ!?」

「こんなもんか?これなら同じモデルHのフォルスロイドでもハイボルトの方が強かったぞ」

「っ!生意気なんだよっ!!」

氷を砕いて首のカッターを高速回転させて真空波を放ってきた。

「ふっ!!」

ダッシュでそれをかわすと距離を詰めながらチャージバスター、それからナックルによるアッパーカットを叩き込む。

「ごはっ!?」

「ふっ!!はっ!!たあっ!!」

追撃のセイバー三連擊によってハリケンヌの体に痛々しい傷が刻まれる。

「ば、馬鹿な…アタシがこんなガキに…一方的に…!?」

「…………」

パープリルとの戦いから徐々に力が増していき、体の使い方が以前以上に分かるようになってきた。

これはモデルOの侵食が深刻化していることを意味するのだが、今はそれでも構わない。

「認めるかーーーっ!!」

再び竜巻を発射し、次は真空波を発射してくるハリケンヌに対してヴァンはそれを全てかわしながら距離を詰めて回転斬りからの三連擊をお見舞いした。

「がは…っ!?」

「終わりだな、斬り刻まれるのはお前の方だったようだな。」

怒声と共にセイバーで首を斬り落とし、残ったハリケンヌの体をチャージバスターで消し飛ばした。

「あの世でセルパンを待ってろ」

少し時間を戻してエールはヘルバットの攻撃をかわしながらクナイを投擲していた。

「フフフ…先程の者よりはやりますね。ですが、この程度の攻撃では私の防御は崩せませんよ?淑女のマナーその一、無駄な抵抗はせずに殺されることです。足掻いても醜いだけですよ」

「確かにモデルPXの攻撃力じゃ崩せないけど!!」

モデルPXのチャージ攻撃の十字手裏剣を投擲してヘルバットに防御させるとモデルLXに変身する。

「お願いモデルL!!」

「行くわよ!!」

オーバードライブを発動して攻撃力を倍加させて氷属性を武器に付加させると、ハルバードでヘルバットを斬りつける。

「ヒヒッ!?中々…効きますね…!ならばこれならどうです!!」

電撃弾が連続で発射されていくが、エールはモデルHXに変身するとエアダッシュで電撃弾をかわしていく。

「良いぞエール。そのまま奴の背後を取り…」

「このまま…斬る!!」

背後を取ってダブルセイバーによる三連擊とソニックブームによる攻撃を浴びせるエール。

「キキッ!?」

「アタシだっていつまでも弱いままじゃない!みんなから色々教わってるんだから!!」

ジルウェとモデルZからは剣による接近戦を、モデルXからは射撃を、モデルHからは二刀流の扱い方と空中機動のコツを、モデルLからハルバードの扱いと水中での立ち回り方、モデルPからは如何なる状況にも対応出来るように体の動かし方を、モデルFは…説明が感覚的過ぎて分かり辛かったが、高火力による制圧方法を。

「戦闘馬鹿は教官には向いてないわよねー。ねえ、キザ坊や?」

「全く同感だ…こいつに理論的な説明が出来るとは思えん」

「うるせーっ!とにかくパワーだ!パワー!!パワーで相手を押し潰すんだよ!!」

「モデルF…お主はもう少し冷静な立ち回りを学べ」

「無理だろうな」

「ふふふ、エール…君には僕達がいる。仲間と協力して困難を打ち破る、それが君の強さだ!!」

モデルL、モデルH、モデルF、モデルP、モデルZ、モデルXの声がエールの中で響く。

ヴァンだけでなくライブメタル達も一緒に戦ってくれていることがエールの中で力となる。

ヘルバットが上空に移動して分身すると、今度はモデルFXに変身してナックルバスターからショットを連射する。

「キキキ…闇雲に撃っても当たりません…何!?」

ショットの軌道が変化して部屋全体にショットが飛び交い、直撃を受けた本物が揺らいだ。

「そこだっ!!」

モデルZXに変身してヴァンが好んで使う回転斬りからのセイバー三連擊をお見舞いする。

「っ!何とマナーのなっていない…この音色を聞くがいい!!」

壁や地面に反射する超音波を発射し、エールは回避しようとするがかわしきれずに何発か受ける。

「っ!!」

「さあ、私の下僕の餌食となるがいい!!」

無数の蝙蝠型メカニロイドがエールに迫る。

「モデルP、力を貸して!!」

「承知した」

オーバードライブを発動すると、エールはモデルPXの特殊ダッシュで攻撃をかわすと、その状態で右腕をチャージする。

「とどめっ!!」

十字手裏剣を投擲すると、ヘルバットの胴体を両断した。

「キ、キキキキ…まさか私がこのような愚か者に…っ!?」

「今の人間を舐めないでよね」

「確かに一人では非力かもしれぬ。しかし仲間の力が合わされば貴様に負ける道理はない」

エールとモデルPがヘルバットに言うものの、ヘルバットはそれを認めようとはしなかった。

「キキ…仲間…?認めない…そんなものに私が負けるなどーーーっ!!」

ヘルバットの爆発を見届けると、ハリケンヌの残骸からデータがモデルHに戻っていく。

「どうモデルH?」

「ああ、パスコードと共になくした力を取り戻すことが出来た…礼を言おう。だが…パスコードの自動修復には時間が必要だ。少し待っていてくれ」

「流石にすぐには直らないか…奥の部屋に行くぞエール」

「うん」

閉じ込められている人々を助けるために奥のシャッターを抉じ開けて、奥の部屋に向かう二人であった。

奥の部屋に入ると、中は薄暗かった。

『その部屋に囚われた人々がいるのね。助けてあげて』

プレリーの指示に従って電磁シャッターの装置を破壊し、人々を救出し、ヴァンは少しでも恐怖を与えないように距離を取った。

「た…助かったぁー!後少しで、僕達も奴らにサイバーエルフにされてしまうとこだったよ…本当にありがとう!」

「あんた達がサイバーエルフにされる?」

「どういうことなの?」

ヴァンとエールが彼の言葉に疑問符を浮かべながら尋ねる。

距離を取っていたことが幸いしたのか、モデルOの異質な気配に怯えることなく事情を話してくれた。

「奴らは…僕らから全ての記憶のデータを抜き出して、サイバーエルフを作ってるんだ。それも、散々僕らを怖がらせてからさ。目の前で、仲間がどんどんサイバーエルフにされていくのをここで見せつけられてたんだ…」

『それで…あんなに大量のサイバーエルフを作ることが出来たのね…何て酷いことを…この人達は、私が街まで転送するわ。お疲れ様』

次の瞬間に、人々は街に転送されていき、それを確認したヴァンとエールは近くのトランスサーバーで帰還する。 
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