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銀河帝国革命

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シリウス星域会戦

 
前書き
2500字を超えてしまいましたが、1話でまとめた方がキリが良いので、そのまま投稿します。 

 
帝国暦485年/宇宙暦794年6月21日、戦いの始まりは帝国軍がシリウス星域に入った直後、人民革命軍の奇襲攻撃から始まった。

「何事だ!」

「閣下、敵の奇襲です!小惑星帯から敵が出現しました!」

「おのれ叛徒どもめ、ロンドリーナへ向かうにはここを通るしかないことを利用して待ち伏せしておったな!」

シュターデンは歯軋りをしながら反撃を指示した。

「敵が小惑星帯へ後退していきます!」

「小惑星帯まで後退されると厄介だな……直ちに追撃するぞ!」

帝国軍は追撃を図るも、テールマンは巧みに追撃を振り切り、小惑星帯まで後退を完了した。

「所詮民兵の集まりと侮っていたが、叛徒どもにも中々優秀な指揮官がいるようだな。」

「どうされます?いっそ抑えを置いて艦隊をロンドリーナへ向かわせるべきでは?」

参謀長のウォルフガング・ミッターマイヤー大佐がシュターデンにそう問いかけた。

「確かに戦力では我らが圧倒しているし、理論的にもそれが最善だ……しかし、この小惑星帯を割けてロンドリーナへ向かうには時間がかかりすぎる。総司令部からも叛徒どもが『自由惑星同盟を称する叛徒ども』と接触を図ったという情報が入っている。一刻を争う事態なのだ。ここは多少強引でも突破するぞ。全艦、全速前進!」

シュターデンの号令で、帝国軍は小惑星帯へ突入を開始した。





「来やがったな……よしッ!手筈通りだ同志達よ!小惑星の陰から一気に撃ちまくれ!蜂の巣にしろ!」

テールマンが行った戦術は、予め想定した突入ポイントに向けて戦力を集中的に配置し防御陣地を形成、突入ポイントに敵が侵入したら一気に十字砲火を浴びせ敵を撃退するという所謂『最終防護射撃』のデッドコピーというべきものであった。
突入を図った帝国軍は、人民革命軍の十字砲火によって、少なくない損害を被ったのである。

人民革命軍の攻撃が予想以上だったことに驚いたシュターデンは一時退却を命じた。





「叛徒どもめ中々手強いな……まさか、戦力が500隻にも満たないというのは奴等の欺瞞工作だったのか!?」

「落ち着いてください閣下。敵の戦力が500隻未満なのは事実でしょう。ロンドリーナで帝国軍の艦艇を接収したとしても、何千隻もの艦艇を揃えられるわけがありません。」

「確かにそうであったな……しかしこれでは短期での突破は無理であろう。本国に援軍を要請すべきか……」

シュターデンが思案していると、ミッターマイヤーが提案をした。

「閣下、ここは艦隊を二手に分け、一隊をロンドリーナ方面へ向かわせるべきです。」

「しかし、それでは相当な時間を要することになるぞ?」

「いや、実際に向かうわけではありません。向かうように見せかけて敵を小惑星帯から引き釣り出すのです。敵には予備戦力など存在しないでしょう。そこで、我々が艦隊の一部をロンドリーナに向かわせよようとすれば、敵も小惑星帯から出ざる負えない。そこを一気に挟み撃ちにするのです。」

「なるほど……理論的にも正しい戦術だ、ミッターマイヤー参謀長。」

「ありがとうございます。」

「よし、すぐに行動に移るぞ!急げ!」

シュターデンがそう叱咤すると帝国軍将兵は、慌ただしく動き出した。





「同志司令官!帝国軍の一部が動き始めました!」

「何だと!?」

「クソっ!やはり本土がもぬけの殻だってことに気付いたか!全艦に通達、出るぞ!」

「しかしっ!それでは我々は地の利を失うことになりますぞ!」

「お前、俺達がここで引きこもってる間に本土が占領されたらどうなると思う?」

「それは……」

「だろう?俺達に取れる選択肢なんて最初から限られてるんだよッ!全艦に通信回線を開くように通達しろ!」

テールマンはそう命令すると、将兵たちに語り掛けた。

「革命軍の兵士諸君!自由の戦士達よ!我等の理想は危機にある!
しかし私はこの上なく誇りを持っている!自由な人民の代表として、革命が救われると宣言出来ることに!圧政者の軍勢は革命の心臓に迫っている!
だが……革命の英雄達は戦いに燃えている……皆が銃を持ち、艦を乗り、戦っている。私は諸君ら英雄たちと共に戦えることを誇りに思う!人民革命軍は、自由と革命を救うために同志達に進撃を命じる!
コミューンと人民を圧政者から守れるのは諸君ら同志達だけである!
さあ、声を上げるのだ!!我らの声は、圧政者共への攻勢の合図となる!
今こそ、勇気が、常に勇気が!!さらに勇気が必要なのだ!!!
今!!この日から!!歴史の新しい時代が始まるだろう!!」

「「「おお、おおおおおおお!!!!!!!!!!」」」

「革命の戦士たちよ!人民の守護者よ!進もう!!かの穢れた血が、我らの星を侵すまで!!!!」

テールマンは将兵たちを鼓舞すると帝国軍への追撃を命令した。





「敵軍が小惑星帯より出てきました!」

「こちらの狙い通りですな。」

「そのようだな……よしっ!全艦反転!一気に挟み撃ちにするぞ!」

人民革命軍は小惑星帯から出てくると同時に帝国軍は反転、シュターデンの号令の下、帝国軍は一気に攻勢に転じた。
人民革命軍艦艇は次々と撃沈していき、残すはテールマンの座礁する旗艦以下、10隻程にまでなっていた。





「どうやら私の悪運もここまでか……」

「同志司令官!帝国軍より降伏の勧告がきています!如何いたしましょう?」

「『バカめ』と返信してやれ」

「は?」

「『バカめ』だ!」

テールマンがそう言い放つと艦橋は笑いに包まれた。

「はっはっはっ!さすがは同志司令官!」

「俺達にできない事を平然とやってのけるッ」

「そこにシビれる!あこがれるゥ!」

「さあ、同志達よ!私達の死に様、帝国軍の豚共に見せつけてやろうじゃないか!」

「「「おお、おおおおおおお!!!!!!!!!!」」」

テールマンの号令の下、人民革命軍は突撃を敢行した。





「敵軍、突っ込んできます!」

「クソっ叛徒どもめ!撃て撃て!奴等を叩き潰してやれ!」

突撃してくる人民革命軍に対し、帝国軍は集中砲火を浴びせた。人民革命軍はその攻撃に耐えきれず、次々と撃沈していった。

「同志ハンソン、申し訳ございません。あとは頼みます……社会主義革命万歳!!!!」

テールマンの叫びと共に旗艦は爆散した。ここにロンドリーナ・コミューン唯一の軌道戦力が消滅したのである。
 
 

 
後書き
いよいよコミューンの最期が迫ってきました。
モチベーションが下がらないうちに続きを投稿したいです。 
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