ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第十五話 十年前の記憶
前書き
思ってたより早く回復した…体調が悪い時は無理せずに休むのも大事ですね…
それぞれの休息からしばらくして、ヴァンとプレリーは司令室のブリッジにムスッとしながら入ってきたエールと、それに苦笑するジルウェを不思議そうに見つめていた。
「ジルウェさん、エールはどうしたの?」
何故エールがこんなに不機嫌なのか分からず、隣で苦笑しているジルウェにプレリーが尋ねる。
「その…実は…」
「何でもない!!」
「何でもないって顔じゃないだろ」
ジルウェの言葉を遮るように叫ぶエールに思わずヴァンは呆れてしまう。
「……?とにかく、最後のライブメタル…正確には本体の位置が分かったわ。」
「本当に!?」
「ええ、場所はエリアHの遊園地。そこでライブメタルの反応があるわ…そして復活したレプリロイドの反応もね」
それを聞いた三人の表情が強張った。
「エリアH…」
「まさか…そこにいるなんてな…」
エールとヴァンが複雑そうな表情を浮かべる。
「大丈夫か?お前達?」
事情を知るジルウェは二人を心配するが、二人は首を軽く振って頷いた。
「大丈夫だ。エリアHなら昔行ったことがあるからすぐに行ける…」
「うん…それじゃあ行ってくるね」
普段なら勇ましく出撃するはずの二人がどこか沈んでいる様子にプレリーは不思議そうに見つめていた。
トランスサーバーに乗り込んでエリアAへと転送し、そしてエリアHへと繋がる道を駆け抜けていく。
そして、エリアHへの扉を開くと、荒れ果てながらもいくつかの遊具が寂しく動いている遊園地が視界に広がった。
『このエリアのどこかに、ライブメタルの反応と復活したレプリロイドの反応があるわ。二人共、気をつけて』
「「…………」」
プレリーの言葉に無言のまま遊園地を見つめるヴァンとエール。
『聞こえるか?ヴァン、エール…辛いのは分かるが…今はミッション中だ。気を引き締めろ、敵はお前達の心中なんて理解してくれないぞ』
「…あ、ああ…分かってるさ先輩」
「とにかく、前に進んでみるよ…まさか、またここに来ることに…しかもここが戦いの場所なんて…」
『二人共…?』
ジルウェの言葉でここに来た理由を思い出した二人は遊園地をダッシュで駆け抜ける。
ヴァンはアルティメットセイバー、エールはZXバスターでメカニロイドを迎撃しながらしばらく突き進んで奥のシャッターを抉じ開けて、更に奥へと進んでいくと、巨大なメットールが姿を現した。
「でかいっ!?」
「もしかしたらこいつの中に!?」
他のメカニロイドとは全く違うことから、この巨大メットールがライブメタルを持っているのではないかと思った二人は即座に攻撃を仕掛けた。
「こういうデカブツには俺様に任せろ!オーバードライブでぶっ飛ばしてやるぜ!!」
「行くよ!ダブルロックオン!モデルFX!!」
モデルFXへと変身し、オーバードライブも発動してナックルバスターからショットを高速連射。
ヴァンもセイバーで連続で攻撃すると、瞬く間に巨大メットールは爆散した。
「ヒャハッ!あれがあっさりとやられやがった。あいつの持っているライブメタルさえ手に入れりゃあ俺様は無敵だぜ。このガキを利用してな」
ある場所で簡単に設置された簡易モニターで戦闘を見届けていたイレギュラーが後ろをチラリと振り返ると、檻の中にシュウが囚われていた。
エールと喧嘩別れしてから帰路に着こうとしたところを拐い、エールが持つモデルH、F、Lのライブメタルを手に入れるための人質なのだ。
「どうせ、パスコードとやらは手に入れてんだし。俺様が使っても問題ねぇよな…」
ニヤリと笑うイレギュラーにシュウはビクリと震える。
「ひ…っ」
「おいおい、てめえはあいつらの仲間なんだろ?肝が小せえなぁ」
檻の中で震えているシュウに呆れるイレギュラー。
「フフフ、でもその恐怖に引き攣った表情…とても素敵ではなくて?」
「あん?」
床から聞こえた声にイレギュラーが振り返ると、そこから一体のレプリロイドが姿を現した。
「ま、また増えた…!」
「何だ姉ちゃん?見たところイレギュラーのようだけどよ。俺様に何か用か?」
イレギュラーとしての勘なのか、目の前のレプリロイドがイレギュラーだと言うことに気付いたようだ。
「あら、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。私はノービル・マンドラゴ。破壊神の器を求めてやって来たの…あなたのお目当ての子の隣の…ね…」
「破壊神?大層な呼び方だなぁ、あんなガキにそんな力があるってのか?」
「今はまだ目覚めてはいないけれど、力を解き放った時…全てがゼロとなるでしょうね…悪いけどあの子は私に譲ってもらえないかしら?」
「ほーん、まあでも流石にライブメタル三つ分の力なんてねぇだろ。好きにしな、姉ちゃんが心変わりしてそっちを狙うってんなら…」
ギラリと、イレギュラーの鋭い視線がマンドラゴに注がれるが、彼女は平然としている。
「まあ、怖い。安心して頂戴、私の目的はあの子だけ…隣の子は煮るなり焼くなりあなたの好きにして結構よ」
「ヒャハハッ!良いねぇ、姉ちゃん!姉ちゃんみたいなのは嫌いじゃねえぜ!」
イレギュラーの狂気に曝されたシュウは怯えていることしか出来なかった。
一方、そんなイレギュラー側の思惑を知らずにヴァンとエールは巨大メットールの残骸を調べていた。
「くそっ…ライブメタルを持っているのはこいつじゃないのか…!」
「一体どこに…!」
『…二人共、どうしたの?このエリアに来てからずっと様子がおかしいわ』
「…プレリー!ライブメタルの反応はどこ!?早く教えて!」
『エール!!』
焦っている様子のエールにジルウェの良く通る声が通信機越しに響いて二人をハッとさせた。
『落ち着けエール、ヴァン…気持ちは分かるが、焦っては駄目だ。』
「「………」」
『あの、どういうことなんですか?』
ジルウェの言葉に沈黙する二人。
プレリーは気になっていた疑問をジルウェに尋ねようとした。
『ここは…』
「いいよ先輩。自分で話す…俺とエールは十年前にここに来たことがある。母さん達に連れられて遊びに来てたんだ」
「その時、アタシ達はここでイレギュラーに襲われた…その時…母さんとおばさんとはぐれたアタシ達を助けてくれたのがジルウェなんだ」
二人の過去を改めて知って息を飲むプレリー。
『…それじゃあ…十年前のイレギュラー襲撃って…まさかここで…!』
「ここにいるとあの時の自分を思い出してしまうんだ…。もしかしたら…また俺は何も出来ずに終わってしまうんじゃないかって…でも」
「それ以上にここはアタシ達にとって大事な思い出のある場所なんだよ…だから…誰にも荒らされたくない…そっとしておきたいんだ」
『…そうだったの…ごめんなさい、私…』
何も知らなかったとは言え、二人を辛い場所に行かせたことにプレリーは罪悪感を抱く。
「プレリーは悪くない、俺達も何も言わなかったんだからな」
「アタシ達も母さん達のことを思い出して熱くなってた…ごめんプレリー」
二人がプレリーに何も言わなかったこともあり、知らなかったのは無理もないだろう。
寧ろ熱くなっていたことをエールが謝罪した。
『二人共…今更かもしれないけど、あなた達だけで全部背負おうとしないで、私やジルウェさん、そしてガーディアンのみんながきっと見守ってくれてる。私達みんなでこの国のみんなを守るのよ』
『そうだ、お前達だけで戦っているんじゃない。一緒に戦えなくても、俺はお前達と一緒だ。忘れるなよ』
「「…ありがとう…プレリー、先輩(ジルウェ)。ミッションを再開する!」」
プレリーとジルウェの言葉に二人の表情に余裕が戻り、ダッシュで駆け抜けた時には既に普段の二人であった。
後書き
ジルウェって結構動かしやすい…やはり公式エールのヒロインは伊達ではないということか
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