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声優ファン

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第三章

「昔からもうね」
「酷い書き込みが多いね」
「昔は便所の書き込みって言われてたよね」
「今もじゃないかな」
「もう荒れる時はね」 
 それこそというのだ。
「とんでもなくて」
「悪い書き込みもね」
「洒落になっていないけれど」
 それでもというのだ。
「このスレッドはね」
「その中でも特にね」
「もう加地さんと武達さんだけじゃなくて」
「加地さんと付き合ってたとかね」
「そう言われてる人まで」
 女性声優のその人までというのだ。
「色々言われていて」
「何の根拠もない誹謗中傷に」
「下品な罵倒に」
「汚いアスキーアートにね」
「酷いね」
「酷いなんてものじゃないね」
「うん」
 河田は高橋にこれ以上はないまでにその顔を顰めさせて言った。
「加地さんについても武達さんについても」
「他の人達についても」
「もう悪意全開で罵っていて」
「剥き出しの下品さと醜悪さで」
「死ねとか地獄に落ちろとか男女関係の捏造とか」
「酷過ぎるね」
「あの、特にね」
 河田は高橋に顔を顰めさせたまま話した。
「画像出てるけれど」
「デートとかベッドでもとかね」
「これ明らかに細工してるよね」
「調べたらデートの時間と場所おかしいから」
 高橋は河田に暗い顔で話した。
「それとベッドの」
「これ枕営業とかの話だね、ラインのやり取りもあるけれど」
「それもおかしいから」
「捏造だね」
「ネットじゃ何でも造られるからね」 
 画像の細工、それもというのだ。
「だからね」
「これもだね」
「それ誰が造ったか知らないけれど」
 高橋は河田にさらに話した。
「もうそこまでいくとね」
「完全に犯罪じゃない」
「そうだよ、もう犯罪まであるから」
 だからだというのだ。
「僕も警告したんだよ」
「そうだったんだ」
「その画像通報されてるから」
「当然だね」
「あと加地さんの事務所の方もね」
「怒ってるよね」
「法的処置検討してるって発表してるから」
 公にそうしているからというのだ。
「そこまでのお話になってるから」
「あまりにも酷いね」
「そうだね」
「あの、何でここまでするのかな」
 河田はそのスレッドを観つつ腕を組み難しい顔になった、そしてその顔で高橋に対して問うた。
「声優さんの結婚で」
「それ僕もわからないよ」
「そうだよね、僕もね」
「何でここまでって言ったんだよね」
「結婚したらお祝いしたらいいじゃない」
「独身じゃなくなってもね」
「そのまま応援したらいいじゃない」 
 お祝いしたうえでというのだ。
「そうしたらいいのに」
「そうだよね」
「それで怒って」
 河田は何故怒っているのさえわからなかった。 
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