外道の言い掛かり
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第二章
そしてだ、家の子供達も懐いた。娘の若菜が特に小太郎と仲良くなり兄の竜太郎にも満面の笑顔で言った。
「小太郎と一緒にいるだけで幸せよ」
「そうなんだな」
「うん」
長い黒髪と白い肌が目立つ顔で面長で先が尖った顔の形で黒髪をショートヘアにしている垂れ目の兄に話す。
「凄くね」
「お前本当に小太郎が好きだな」
「大好きだよ」
兄にこうも言った、見れば若菜も垂れ目だ。
「本当にね」
「そうだな、だから今からだな」
「お散歩行って来るね」
「そろそろ大きくなってきたからな」
兄は妹が持つリードの先にいる小太郎を見て言った。
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
若菜の返事は明るいものだった。
「全然ね」
「それならいいけれどな」
「小太郎ってどんどん大きくなるね」
「この犬はそうなんだよ」
秋田犬はというのだ。
「本当にな」
「大きくなるの」
「だからな、どっちにしても」
その小太郎を見て言う。
「若菜じゃな」
「お散歩行けなくなるの」
「ああ、お前だけだとな」
こう話した。
「大きくなるからな」
「そうなの」
「だからな」
それでというのだ。
「俺も持つな」
「そうするのね」
「一人で持ちたいなら」
小太郎のリードをというのだ。
「お前も大きくならないとな」
「そうしないと駄目なのね」
「大きくなって力をつけないとな、ただな」
兄は今度は小太郎を見て話した。
「こいつ別にリードなくてもいいかもな」
「じゃあ私が持たなくてもいいの」
「随分賢いな、引っ張ったり全くしないな」
小太郎の動きを見ての言葉だ。
「本当に」
「そういえば」
「そうだろ、俺達に動き合わせてくれるな」
「そうよね」
「じゃあお前一人でもな」
子供で身体が小さく力のない若菜でもというのだ。
「大丈夫だな」
「私一人でも小太郎のお散歩が出来るのね」
「そうだな、だからな」
それでというのだ。
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