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第二章
「小柄で体格もひ弱だが」
「強くなりたいと思いまして」
「それでだな」
「入ろうと思いました」
「うちの部は来る者は拒まずだ」
部長は確かな声で言った。
「だからな」
「僕もですか」
「ああ、けれどついて来れるな」
「そうしたいです」
「ならついて来い」
部長は確かな声で応えた、こうしてだった。
和也は空手部に入部した、帯剣入部という甘いものはなくいきなり本格的な稽古の日々となった。朝練では何キロも走り。
本格的な格闘訓練も行われた、それでだった。
和也はヘトヘトになり傷だらけになった、だが。
家でワイルドを見て言った。
「強くなったらお前に何かあっても守れるかも知れないな」
「ニャア」
語りかけてもワイルドは鳴くだけだ、だが。
それでも和也はそのワイルドを見て頑張ろうと思ってだった、毎日部活に出た。そうして日々身体を鍛えていると。
自然にだ、身体は。
稽古にも慣れていきついていける様になった、身体を動かすとその分食欲も出てかなり食べる様にもなり。
みるみるうちに大きくなった、それでだった。
母も家で息子に言った。
「またあんた急にね」
「大きくなったよね」
「前まで一六〇なかったのに」
それが中二のはじめの頃だった。
「それが今じゃね」
「一年でだね」
「ええ、もうね」
その背がというのだ。
「一七〇あるわね」
「何か急にね」
「空手をはじめて」
「そうしたらね」
これがというのだ。
「実際に」
「大きくなったわね」
「筋肉もついた気がするし」
「実際についたわよ」
和也の言う通りにというのだ。
「そうなったしね」
「そうなんだね」
「筋肉質になって」
そしてというのだ。
「引き締まったわね」
「毎日凄い稽古しているからね」
それこそ土日もだ、とにかく厳しい稽古の部活だ。
「だからね」
「それでよね」
「それに食べるし」
「かなり食べる様になったわね」
母はこのことについても言及した。
「前は少しだけだったのが」
「それがね」
「今じゃ丼飯朝から三杯で」
「それ位食べないともたないからね」
「牛乳も一日で一リットル飲むし」
牛乳もそれだけ飲む様になった。
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