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夢幻水滸伝

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第百三十一話 琉球を出てその十

「生きものが好きでおじゃるか」
「大好きやで」
「やはりそうでおじゃるか」
「それに」
 中原はさらに話した。
「こうした場所も大好きやで」
「それは麿もでおじゃる」
「だから今ここに来てるんやな」
「いい癒しでおじゃる、家には犬と猫がいるでおじゃる」
「両方かいな」
「犬は甲斐犬の雑種で猫は元野良のサビ猫でおじゃる」
 夏目は家のその生きもの達のことを話した。
「犬は雄、猫は雌でおじゃる」
「それで猫は元かいな」
「犬はご近所から貰って猫はお父さんの仕事帰りについてきたでおじゃる」
 それで家に来たというのだ。
「どっちも小さい時に来て今はでかくなったでおじゃる」
「立派に成長してるんやな」
「そうでおじゃる、ただ」
「ただ?」
「犬はともかく猫は横柄でおじゃる」
 夏目は今度は彼等の性格の話をした。
「家のテーブルの上でいつもふんぞり返っているでおじゃる」
「食事中でもかいな」
「それでいつもどけているでおじゃる」
 テーブルの上、そこからというだ。
「そうして食べているでおじゃる」
「猫は我儘な生きものっていうけど」
「我儘なだけではないでおじゃる」
 それに止まらないというのだ。
「傲慢で気まぐれでおじゃる」
「そうした生きものか。うちはハムスター飼ってるけど」
「そっちでおじゃるか」
「別に悪いことはないで」
「猫と大違いでおじゃるな」
「というか猫は飼うと大変か」
「しかしその我儘とかがいいでおじゃる」
 夏目は笑ってこうも言った、そして中原と共に動物園には必ずいると言っていい生きものの一つ虎を見た。
「逆に」
「そうかいな」
「だからでおじゃる」
「猫もええか」
「犬もいいでおじゃるが」
 自分が飼っているもう一種の生きものの話も入れた。
「これがでおじゃる」
「猫もかいな」
「悪いけれどいいでおじゃる」
「最近の猫は鼠獲ることないけどな」
「家に鼠がいなくなったでおじゃるからな」
 それでとだ、夏目は話した。これも文明の進歩の中で起こったことと言えるであろうか。
「もう寝て食べて」
「我儘して」
「それだけでおじゃるが」
 それでもという口調で言うのだった。
「それでもやな」
「猫はいること自体が」
 家の中にというのだ。
「果報でおじゃるよ」
「ええことやねんな」
「そうでおじゃる、悪戯も多いでおじゃるが」 
 猫の常だ、とかく家の中で何かをする。それも意図的に。
「それもまたでおじゃる」
「ええねんな」
「左様でおじゃるよ」
「成程な」
「それで、でおじゃるが」
 ここで夏目は目の前に田中と宮沢を見て言った。
「麿達以外にもでおじゃる」
「ああ、二人来てるな」
「あの二人ともお話をするでおじゃる」
「そうするか」
「二人より四人でおじゃる」
 夏目は笑ってこの言葉を出した。 
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