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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十四話 周泰、董卓を救うのことその七

「董卓には妖術なそ仕掛けてはいない」
「しかしです。まさかということもあります」
「ですからここは」
「どうされますか」
「止むを得ない」
 ここで言った張譲だった。
「ここはだ」
「ここは?」
「ここはといいますと」
「鏡はあるな」
 こうだ。側近達に話すのだった。
「何処にある」
「は、はい。ここにです」
「ここにあります」
 側近達はすぐにだ。手鏡を差し出した。張譲はその手鏡をひったくるようにして取ってだ。そうしてであった。
 すぐに宮廷の奥深くに向かう。そのうえで牢獄にいる董卓を見る。牢獄にいる彼女はだ。項垂れた顔でその場にうずくまっている。
 彼女はその張譲に気付いて顔を向ける。
 張譲はその彼女を見てまずはそこにいることを確めた。
「いるではないか」
「あの?」
「一体何故あの様な噂が出た」
 そのことをだ。まずはいぶかしむ張譲だった。それからだった。
 張譲はその彼女に鏡をやる。するとだ。
 何も起こらない。それを見てだ。
「おのれ、何にもならないではないか!」
「?」
「呂布、騙されたか!」
 鏡を地面に投げ付けてだ。踏みつけながら話した。
「いや、わかっていてか。あの女!」
「恋ちゃんが?」
「何でもない!」
 忌々しげに董卓に言い返す。
「くそっ、まだ虎牢関がある。洛陽は守れる!」
 こう言ってだ。張譲は怒りを見せたまま牢獄の前から消えた。そしてそれをだ。
 陰から見てだ。周泰が舞と影二に話した。
「上手くいきましたね」
「そうね。ここまではね」
「上々だ」
 舞と影二も周泰に話す。
「とりあえずあの娘を助け出しましょう」
「あの娘が董卓か」
 二人はその牢獄の中にいる董卓を見て話す。
「そう、あの娘よ」
「話には聞いていたが随分と小さいな」
 影二はその彼女を見てこう言った。
「しかも弱々しい感じだな」
「少なくとも暴政を敷く感じではないですね」
 周泰もその董卓を見て話す。
「悪い人ではないです」
「やっぱり宦官っていうか張譲が隠れ蓑にして利用していたみたいね」
「そうだな。そして先程のあの者がか」
「そうね。張譲るね」
「そういうことだな」
 そのことがわかってだ。二人はまた言う。
「今ここでやっつけたいけれど」
「それは駄目か」
「はい、あの者を討つのは何時でもできます」
 周泰もそれはしないというのだった。
「今はそれよりもですね」
「董卓ちゃんをね」
「助ける方が先だな」
「はい、とりあえずはですね」
 こう二人に話してだ。そのうえでだった。
 醜態は着物の懐からあるものを出して来た。それは。
 黄色い四角いものだった。それを二人にも差し出して言うのである。
「食べましょう」
「乾パンね」
「それか」
「これって凄い食べ物ですよね」
 周泰が二人にその乾パンを差し出しながら話す。
「美味しいですし保存もききますし」
「そうでしょ。私達の世界じゃこうした時にはね」
「よく食べる」
「それとこれもですね」
 今度はだ。燻製も出した。肉の燻製である。ビーフジャーキーだ。
「燻製はこちらの世界にも元々ありましたけれど」
「そのビーフジャーキーはまた違うでしょ」
「美味いな」
「はい、とても」
 食べながらだ。にこにこと笑って話す周泰だった。
「実はこちらの世界でこうした時に食べるものって美味しくないんですよ」
「ああ、あの丸薬みたいなのね」
「忍のあの丸薬だな」
「はい、あれよりもずっと」
 いいというのである。
 
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