魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Saga2セインテストと融合騎~Memory with them~
†††Sideルシリオン†††
今年のインターミドルチャンピオンシップに臨むため、監督兼コーチを務めるノーヴェに師事するヴィヴィオ、コロナ、リオ、アインハルト、サポートメンバーであるフォルセティとイクスヴェリアのチームナカジマは、メガーヌさんとその娘であるルーテシアとリヴィアの住む無人世界カルナージに発った。
「みんな。はやてちゃんとアインスとリインちゃん、もうちょっと遅れるってメールが来たわ」
「そうか、ありがとう、シャマル」
そんなチームナカジマの合宿の保護責任者として俺たち八神家も、あの子たちに遅れてカルナージ往きの臨行次元船に乗るため、俺とアイリ、シグナムとヴィータとシャマルとザフィーラとアギトは、待ち合いロビーでを待っているわけだが。
「まぁ出向時刻まで時間あるし、気長に待とうじゃないか」
「んじゃさ、レストラン街で何か食わね? 朝飯少ししか食えなかったから腹減った」
「お前が寝坊するからだろう?」
「うっせぇな。あたしだって早く起きたかったんだっつうの。しゃあねぇだろ、寝んの遅かったんだから」
「そうか。それはすまなかったな」
素直に謝るシグナムだが、彼女も昨晩は遅くまで書類の制作をしていた。遅くにホットミルクの差し入れをした時刻にはヴィータは眠っていたはずだ。だから睡眠時間で言えばシグナムの方が短い。それを言ってヴィータと言い合いにならないように気を遣ったのはさすがの将だな。
「そうね。カルナージに着いてからすぐに食事というわけにもいかないし、何か食べてく?」
「ミッドからカルナージまで4時間だったよね。向こうに着くのは15時だし、ちょっと早いけどお昼にする? 機内食は出なかったはずだし」
シャマルとアイリの言葉にヴィータが「マジか~。でもはやて達もきっと食べてねぇよな・・・?」と気遣った。今こちらに向かっているはやて達もおそらく食べていないだろうから、その考えも解からないわけじゃないが。
「はやてに連絡して、先に食事を摂ることを伝えよう」
俺は携帯端末をポケットから取り出し、はやての端末にメールを送る。すると返事はすぐに来たんだが、その内容に思うことがあって俺は口に出すことにした。
「私、八神はやて。今、次元港のエントランスに居るの」
「・・・それアレだろ? メリーさんの電話。はやて達、もう着いてたんだな」
ヴィータがキョロキョロ周辺を見回すが、ロビーからエントランスを見るには少し遠い。とここでまたメールが届き、「私、八神はやて。今、ロビーに向かっているの」通信端末のメールモニターをみんなに見せながら読み上げ、一緒に送られてきた写真を見せる。次元港の外で撮影したと思しき写真には、はやてとアインスとリインは、それぞれ人差し指を合わせて2つのピースサインを作っているものだった。
「ふふ、楽しそう♪」
みんなの視線が写真データに釘付けになっているところで、俺の視界にそろそろと静かに歩いて来るはやて達が入った。
ヴィータ達は横に6脚と並べられた椅子の列に座り、俺とアイリは1つ前の列の椅子に座っている。通信端末を見せるためにみんなに振り向いているからこそ、俺とアイリははやて達の姿をいち早く見つけることが出来た。
俺とアイリの視線に気付いたはやてが自分の唇に人差し指を置いて、しー、と口を動かした。その仕草がまた可愛らしい。そしてアインスやリインと一緒に、ヴィータ達の座る椅子の後ろで屈んだ。
「お、またメールが来たな。私、八神はやて。今、あなた達の後ろに居るの」
ヴィータとシャマルとアギトがバッと勢いよく振り返り、シグナムとザフィーラは察しているのか振り向くことなく小さく笑みを浮かべていた。
「わっ!」
「ですっ♪」
「・・・」
そう言って勢いよく立ち上がるはやてとリイン、そして気恥ずかしそうに頬を染めるアインス。3人の体は背もたれに完全に隠れていたため、「うわっ!?」とヴィータ達は割りと本気で驚きを見せていた。そんなサプライズを終えて満足そうなはやて達と「お疲れ様」と労い合う。
「みんな、遅くなってごめんな~。ちょう渋滞に捕まってしもうてな」
「お待たせです~」
「すまなかった」
はやて達が謝ることじゃないことで彼女たちが頭を下げたから、「気にしないでください」と言うシャマルに俺たちは同意を示すために頷いた。
「おおきにな。さてと、出港時間までもうちょいやから、今のうちに軽くお腹に入れとこうか」
そういうわけで、ミッドを発つ前にレストラン街で早めの昼食を摂ることになった。それぞれの着替えなどが入ったスポーツバッグを手に取り、ロビーから移動開始。
「なのはちゃん達が一緒に来られへんかったのは寂しいけど、八神家揃って出掛けられるのは嬉しいな~♪」
「そうですね。なかなか休暇が揃いませんでしたし」
「必ずと言っていいほど、ルシルとアイリの休暇が合わなかったな」
アインスにそう言われた俺とアイリは顔を見合わせて「確かに」と苦笑い。俺とアイリは、シャルを部隊長とする特務零課――特別機動戦闘騎隊と、管理局組織の自浄部署である内務調査部に所属しているわけだが、まぁ割と忙しい。
(ドーピング用の魔力結晶すべて、リアンシェルト戦で失ったことが痛かった)
特騎隊として交戦した魔導犯罪者の魔力を奪ったり、チーム海鳴やトリシュを始めとした元オランジェ・ロドデンドロンのメンバーからも日々少しずつ魔力を貰ったりと、いろんな手段で魔力結晶を作っているがまったくと言っていいほどに足りない。
(リアンシェルトとの再戦まで何年掛かることやら・・・)
まぁその分、はやて達と過ごせる時間が増えるわけだが。リアンシェルトに敗れてからと言うもの俺は、“界律の守護神テスタメント”の終わりが確実に見えたことで恐れるようになってきた。そう、はやて達と永遠に別れることが・・・。。
でもそれは願ってはいけないこと。俺はこの時代の人間じゃないし、俺の本体に眠る妹のシエル、弟子のカノン、そして恋人のシェフィリスの魂を解放して、転生の輪に戻さなければいけない。それが“アンスール”の生き残りとしての最後の仕事だ。
「そやけど、そんなルシル君とアイリも今日は一緒や♪ 楽しい合宿にしたいな♪」
ニコニコと明るく温かな笑顔を見せるはやてに、「ああ、そうだな」俺も楽しみだと笑顔を向けた。それから俺たちは楽しく喋りながらレストラン街を歩き、提供される料理の種類が多いレストランへと入ろうとしたんだが、ふと俺の視界に知人の姿が入った。
「すまない、先に入っていてくれ。あ、注文はカルボナーラで頼む。アイリも先に行っていてくれ」
俺に付いて来ようとしたしたアイリの頭をポンポンと優しく触れて、「じゃあ、先に行ってるな」と店に入っていくはやて達を見送り、俺は知人の元へと早足で向かった。
「メルセデス三佐!」
「ん? お! ルシルじゃねぇか! おいおい、いつ以来だ!?」
メルセデス・シュトゥットガルト三等空佐。俺の正体をも知っているアイリにすら教えていない、3つ目の所属先、局の暗部である暗殺部隊1111航空隊の同僚だ。そんなメルセデスが、久しぶりに会えたことでか嬉しそうに俺の背中をバシバシ叩いてくる。
「もう3年近いんじゃないでしょうか? 俺がリアンシェルト少将の脅しで権威の円卓の正式メンバーに入れられて、その後に1回だけ任務を一緒してからです」
「あぁ、もうそんなか。つうか、無理やり入れられてたのかよ、お前。まぁだから、と言うか・・・」
メルセデスが意味深なことを漏らしたのを聞き取り、「何か?」と尋ねてみた。すると、「実はな。あれからも俺たちは暗殺任務に従事していた」と、耳を疑うようなことを言ってきた。
「え? 俺、呼ばれてないんですが・・・」
「それなんだが、1111部隊の隊長サブナック准将と捜査本部長のガアプ准将が、お前の参加を止めてたんだよ。お前、正式とは言えなくても家庭を持ったろ? 八神二佐とフォルセティ。1111部隊は基本独り身だからな。子供のいる奴にはもう任せられねぇんだよ。ま、お前には1回手を汚させちまったが・・・」
「いえ。正直、今さらでしたし」
人殺しなんて人間だった頃から犯してきている。本当に今さらな気遣いだ。
「はっはっは! 違いない! とまぁ、そういうわけでお前は、お前の知らないところでクビになったわけだ」
「そうでしたか。なら三佐たちは今も1111部隊として活動中なんですか?」
「あー、それも言っておかないとな。もう1111部隊は存在してねぇよ」
「え・・・!?」
「リアンシェルト少将、いや元少将が局を辞めると一緒に権威の円卓は解散した」
まさかの内容に俺は絶句した。俺を無理やり円卓に入れておきながら、解散したことも伝えなかった。リアンシェルトめ、本当に自由すぎるだろ。振り回されていることに怒りが沸々と沸いてくる。
「でな。今は1111部隊じゃなく、元少将の私設部隊が暗殺部隊として活動してるそうだ」
「リアンシェルトの私設部隊・・・!?」
「とんでもなく強いって話だぜ? ま、次元世界最強と謳われる元少将の私設部隊っていうんだ、当然だろうけどな」
それだけで嫌な予感しかない。バンヘルドのイリュリア騎士団、グランフェリアのプレシア・テスタロッサ、シュヴァリエルのリンドヴルム、レーゼフェアのプライソンファミリー、フィヨルツェンの最後の大隊。で、リアンシェルトの私設部隊ってか。
(ガーデンベルグは一体、どんな組織に居て、次元世界にどんな嵐を巻き起こすことやら・・・)
「殺されてもしょうがないクズ共をさんざん殺してきたが、やっぱりどんな大義名分を持ってたとしても誇れる仕事じゃなかったからな。ようやく終わったって感じだ。・・・っと、もう行かねぇと便に乗り遅れるな。またな、ルシル。良い旅を」
「あ、はい。三佐も、良い旅を」
挨拶を交わして見送ったメルセデスは1人の女性と合流して、出発ロビーへとその彼女と腕を組んで歩いていった。
†††Sideルシリオン⇒アギト†††
メガーヌとルールーとリヴィ、それにフォルセティとヴィヴィオ達の待つカルナージに向かう前にお昼ご飯を食べることになって、あたし達はあるレストランに入店。2人掛け椅子を向かい合わせたテーブル席を3卓使って座る。1卓目にははやてとアインスとヴィータとリイン、2卓目はシグナムとシャマルとザフィーラ。
「しっかし珍しいな、アギト。お前、いつもはシグナムの隣だろ? 最近、ルシルにベッタリじゃね?」
「です。ひょっとして、アギトもルシル君争奪戦に参入ですか?」
そう言ってあたしをからかってくるのはヴィータとリインだ。あたしが3卓目のルシルとアイリのところに座ったから。ルシル争奪戦は、ルシルを恋人にしたい、結婚相手にしたいって考えてる女の人たちがやってることで、はやてとシャルとトリシュが主メンバー。あと、あたしの妹のアイリも何気に参加してるっぽい。
「え? アギトお姉ちゃんも実はルシルを狙ってるの? やだよ? アイリ、アギトお姉ちゃんを凍結封印したくないよ?」
「怖ぇこと言うなよ・・・。あたしより何倍も強くなったお前と争うなんて絶対にやだ。・・・ヴィータなら解かるだろ? あたしにとって、マイスター・・・オーディンは本当に大切な存在なんだ」
「まぁ解かるっちゃ解かるが、ルシルも言ってたとおり、オーディンとアイツは記憶で繋がっててもオーディン自身じゃねぇんだぞ」
セインテストの存在意義だっていう“エグリゴリ”の救済。戸籍や財産を用意する協力者の手によって、オーディンやルシル達クローンは、その存在意義を果たすために世界に解き放たれる。そんな話を、リアンシェルトに負けたルシルからしてもらったのはもう数ヵ月前。
(複製スキルや複製されたもの、それに魔術しか受け継いでこないって話だったけど、本当は歴代のセインテストシリーズの記憶も受け継いできたってことを知った)
「ルシルがオーディンの、それまでのセインテストシリーズの記憶を持っていることを黙っていたのは、ルシルとオーディンを混在させないため。アギト、今のお前がまさにそうだ」
「でもさ。でも、オーディンの記憶なんだ。あたしの名前がまだ開発番号だった頃、ガラクタって呼ばれてた頃、あたしにアギトって名前をくれた・・・」
――私はこの地で独りでね。よかったら私の友達になってくれないか?――
――自壊する必要なんてないよ。それにわざわざ辛い場所に戻る必要もない――
――あそこに戻らなくて、いい?・・・じゃあもうガラクタって呼ばれない?――
――ああ、呼ばれないとも。呼ばせもしない――
――・・・もうクラムって殴られない?――
――っ・・・ああ、殴られないとも。君を傷つけようとする奴が居たら、私が守るよ――
――・・・もう、クラムは死んで役立て、って言われない?――
――当たり前だ。君はクラムじゃない。何せ私を捕らえたのだからな。君は、すごい子だよ――
――戻りたくない・・・死にたくない・・・――
――じゃあ決まりだな。・・・アギト――
――?? アギト・・・?――
――そう、アギト。君の新しい名前だよ、アギト――
――アギト・・・・あたしは、アギト!――
――これからよろしく頼む、アギト――
――うんっ、マイスター!――
あの日、オーディンと交わした話は今でも鮮明に思い出せる。それほどまでにあたしにとってオーディンは世界の全てだった。その後で“闇の書”だった頃の“夜天の書”がオーディンの元に転生して、シュリエルリート(今はリインフォース・アインス)やシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラとグラオベン・オルデンって騎士隊を作ったりもした。
(戦いばかりだったけど、それでもそれ以上に幸せな時間を過ごせた)
グラオベン・オルデンの最期は本当に悲しくて辛かったけど、またこうしてシグナム達と出逢えた。だけど、そこにはオーディンは居なかった。オーディンとエリーゼの間に生まれた子供の子孫のパーシヴァルとトリシュは居るけど、オーディン自身じゃない。シグナム達は居るけどオーディンが居ないのは寂しかった。
「それはまぁ、私たち守護騎士はオーディンさんに多大な恩があるから、オーディンさんの記憶を持ってるルシル君に対して、私にも特別な思いが生まれたわ」
「私とて、何も思わないわけではなかったぞ、アギト。我々に道具ではなく普通の家族として扱ってくれたのは、オーディンが初めてだった」
「だな。地下牢じゃなくて地上で、温かな家で、新しい服を着させてもらって、美味しいご飯をいっぱい食べさせてもらって、ふかふかなベッドで寝ることも出来て、領民たちを弟子にして騎士教室とか開いて、エリーゼとかと一緒に同じ時間を過ごせた」
シャマルもシグナムもヴィータも、あの当時のことを思い返すためか目を閉じた。アインスも「確かに、オーディン達と出逢えたことは二大幸福の1つだ」って遠い目をした。
「二大? もう1つはなんなん?」
「もちろん主はやて、あなたの元に転生できたことです」
アインスの言葉にシグナム達も頷いて同意を示した。本当にこれは奇跡だって思う。オーディンは、今の時代のあたし達を予言してたみたいに思えることが多い。いや実際、“夜天の書”の呪いを解ける主と出会えるって言ってたし、その主だったはやての故郷の料理を何百年も前のベルカ時代で作ってた。偶然と言うには一致し過ぎてる。
「嬉しい話やな~♪ ところで、騎士教室を開いてたなんて初耳やな~。みんな、私に気遣ってオーディンさんを主としてた頃の話、全然せえへんやんか? ならええ機会や。その話、ちょう聞かせてもらってもええか?」
シグナム達は、さっきも言ってたように今の主であるはやてを思って、オーディンとの思い出はあんまし話さない。はやてもシグナム達の気遣いを察して聞いてなかったっぽいけど、オーディンの記憶を持ってるってみんなに伝えたルシルが居る以上、もう遠慮しないみたいだ。
「んじゃあ、シグナムの失敗談からいってみっか!」
「ヴィータの失敗談でも構いませんか、我が主」
シグナムとヴィータがお互いの恥ずかしい話をしようと睨み合い。はやては手をポンと叩くと、「じゃあ2人の失敗談は順に聞こか♪」ニッコリした。こうなったら後に引けないシグナムとヴィータは、それぞれの失敗談を自分の口で話すことに。
「――ということがあり、私はよくシャマルに叱られていました」
「そうなんや~」
「彼らは筋が良かったですから、私も自然と手加減を忘れることが多く。恥ずかしいばかりです」
「すまない、みんな。お待たせ」
「あ、ルシル君、おかえり~!」
「おかえり! ルシルはこっち~!」
ヴィータやザフィーラが鍛えたアムル住民を相手に、仮想敵の役を買って出たシグナムが試合でその住民たちをボコボコにし過ぎたって話をしていると、用事が済んだみたいなルシルが入店。はやてとアイリはパアッ!と満面の笑顔をルシルに向けて、アイリが手招きした。
「ルシル君。もう用事は済んだの?」
「ああ。ちょっと知人に挨拶をな」
「「ルシル、こっちに座って!」」
シャマルの問いに答えたルシルがあたし達の席に来たんだけど、あたしとアイリの声が重なった。あたし達の隣に空いてる席にルシルを座らせたいがため。
「ちょっとアギトお姉ちゃん?」
「アイリはいつもルシルと一緒だろ? 今日くらい譲ってくれてもいいだろ」
向かい合うアイリと顔を近付けて睨み合う。ルシルと一緒に過ごせてるのは断トツでアイリだ。なら、この昼ご飯の時くらいルシルを借りてもいいじゃんか。そんなあたし達を見てルシルは「姉妹喧嘩とは珍しいな」ってあたしとアイリの頭を優しく撫でてくれた。
(初めて会った日にもこうして撫でてくれたっけ)
オーディンの記憶をルシルが持ってるって知ったその日から、オーディンと過ごした思い出ばかりが溢れてきてた。だからその思い出に浸ってしまった。その隙を突いてアイリが、「ほら、こっち!」ルシルの腕を引いて自分の隣に座らせようとした。
「あっ、こら! そんな抜け駆けみたいな真似すんな!」
「チッ」
あたしは慌ててルシルの反対側の腕に抱きついて引っ張り込む。ちくしょう、アイリのやつ、体格がはやてみたいな大人だから、子供みたいな体格のあたしの力じゃ勝てねぇ・・・。
「こら、アギトちゃん、アイリちゃん。騒がないの」
「騒ぐようならどこの席に座るか、私が決めるぞ」
シャマルとシグナムに注意されたけど、アイリがルシルの腕を離さないからあたしも離さないでいると、「んー。じゃあ、こうしよう。2人とも、まず離してくれ」ルシルがそう言った。だからあたし達は素直にルシルの腕から手を離した。
「アイリとアギトはそっち、俺はこっち。これでどうだ?」
「「・・・・」」
あたしとアイリが隣同士で、向かい側にルシルが1人で座る形になった。それでアイリと揃ってしょんぼりするんだけど、食事中にルシルがあーんしてくれたのは嬉しかった。
「ええな~、羨ましいな~」
はやての恨めしいそうな声は聞こえないフリした。
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