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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十四話 周泰、董卓を救うのことその一

                          第八十四話  周泰、董卓を救うのこと
 ギースがだ。道中においてだ。
 クラウザーに対してだ。こんなことを話していた。
「貴様と共にいるのもな」
「腐れ縁だというのか」
「そうだ。それだ」
 まさにだ。それだというのだ。
「しかしだ」
「しかし。何だというのだ」
「私はわかってきた」
 そうだというのである。
「貴様という人間がな」
「このウォルフガング=クラウザーがか」
「貴様に好意を抱くことはない」
 それは絶対にないというのだ。
「貴様とは因縁があまりにも強く深い」
「そうだな。血の因縁だな」
「それが為にそれはない」
 決してだというのである。それはだ。
「しかしそれでもだ」
「私がわかってきたのか」
「貴様は悪ではない」
 クラウザーはだ。そうだというのだ。
「裏の世界にいてもだ。悪ではないな」
「我がシュトロハイム家のことは知っている筈だ」
 そのだ。クラウザーの家のことをだというのだ。
「我が家は欧州の裏の世界の武を司ってきた」
「要人警護等だな」
「裏の世界において和を保ってきたのだ」
 そのだ。彼等の力で、である。クラウザーはギースにこのことを話す。
「その私が悪と言うのならだ」
「裏自体が悪だな」
「そうなる。私は騎士なのだ」
 彼の尊ぶもの、それは騎士道精神だ。だからこその言葉だった。
「欧州においても廃れてしまっている考えだがな」
「それがわかった」
「私が騎士だということもだな」
「そういうことだ。私はこれまで貴様には憎しみしか感じていなかった」
「それが今はか」
「違う」
 まさにだ。そうだというのだ。
「貴様という人間がわかってきたのだ」
「そういうことだな」
「その通りだ。そしてだ」
「貴様の命は狙いはしない」
 これがギースの結論だった。
「決してだ。そしてだ」
「そしてか」
「貴様は貴様の道を歩め」
 クラウザーへの言葉だった。
「我等の父のことは考えずにだ」
「我が父上か」
「父はああなる運命だった」
 クラウザーの方は見ない。正面を見据えている。
 そのうえでだ。右隣にいる彼に話すのだ。
「貴様が殺したのではない」
「そう言うのか」
「そうだ。父もそれを受け入れている」
 断言だった。ギースはあえてそれをしたのだ。
「だからだ。貴様もだ」
「気にすることはないというのか」
「そのまま己の道を歩め」
 また話すギースだった。
「私もまたそうする」
「ではあの兄弟とはどうする」
「ボガード兄弟か」
「まだ戦うのは」
「戦いはする」
 それは、だというのだ。
「しかしだ。命を取ることはしない」
「それはしないのか」
「私もまた私の道を歩む」
 そうするというのだ。ギースもまた、だ。
「あの兄弟が私に向かって来るのなら迎え撃つ」
「しかし殺しはしないか」
「何度でも戦おう」
「それが貴様の歩む道か」
「ロックが来てもだ」
 今度は我が子の名前を出した。
「同じだ」
「やはり闘うのか」
「そうするだけだ。無論貴様ともだ」
「闘うか」
「それだけだ。貴様も私と拳を交えたいか」
「私は騎士だ」
 またこう言うクラウザーだった。
 
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