恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十三話 呂布、あえて騙されるのことその一
第八十三話 呂布、あえて騙されるのこと
連合軍は最初の関の前まで来た。しかしだ。
攻撃には出ずにだ。集結しているだけだ。それを見てだ。
董卓の兵達はいぶかしみながら関の上で話すのだった。
「来ないな」
「総攻撃に出ると思ったが」
「見ているだけか」
「どういうことだ?」
「しかもだ」
キムがだ。その兵達に話すのだった。
「呂布殿も出陣命令を出されぬ」
「ですよね。おかしいですよね」
「呂布将軍が出陣されないとは」
「いつもまず御自身が出陣されて戦われるというのに」
「見られているだけとは」
「いえ、ここに出ても来られません」
見ればだ。そこに呂布はいなかった。そのこともだった。
彼等にとってはだ。おかしなことだった。それで話すのだった。
「御身体が悪いのでしょうか」
「御食事も殆んど召し上がられませんし」
「肝心の将軍がそれですと」
「困るのですが」
「推測を口にしてはいけませんよ」
ジョンはその兵達に述べた。
「流言となって士気に影響します」
「そうですね。それでは」
「今は冷静にですか」
「そうせよというのですね」
「そうして下さい」
ジョンは冷静な口調で彼等に話した。
「今は戦いの前ですから」
「そうだ。戦いは避けられない」
キムは腕を組んでそのことについてはこう言った。
「それならばだ」
「今は呂布さんの指示に従うべきです」
ジョンもこう言う。
「まとまって動きましょう」
「わかりました。それでは」
「今は」
こう話してだった。彼等は今はその連合軍を関の上から見るだけであった。
そしてだ。連合軍ではだ。
まずは先陣の劉備がだ。関を見上げて言うのであった。
「いよいよなのね」
「はい、いよいよです」
「策をはじめます」
こうだ。孔明と鳳統が劉備に対して話す。
「既に用意はできています」
「あとは陳宮さんがこちらに来られて」50
「わかったわ」
劉備は二人のその言葉に頷いて返した。
「それなら。今は」
「はい、迂闊な動きを避けて」
「そのうえで」
軍師二人もこう話す。
「陳宮さんをお待ちしましょう」
「そうしましょう」
「そうね。それで陳宮ちゃんは」
劉備は彼女の話もした。
「どうしてるの?今は」
「今は第二陣にある本陣にです」
「そこにおられます」
こう話す二人だった。
「そこで最後の打ち合わせをしておられます」
「今回の作戦の」
「そう。最後のね」
「はい、それでなのです」
「間も無くこちらに来ると思います」
孔明と鳳統はまた話した。
「それであの関が陥ちればです」
「それでいいのですが」
「うん。無益な戦いはね」
劉備もだ。二人のその言葉に頷いて返す。
「避けたいから」
「はい、問題は呂布殿です」
「あの方ですが」
そのだ。関を守る呂布の話になった。
「あの方はただ強いだけではありません」
「非常に鋭い方です」
呂布のその動物的な直感のこともだ。孔明と鳳統は知っていた。
「ですから。若しかするとです」
「見破られるかも知れません」
「若し見破られたら」
劉備は暗い顔になって話すのだった。
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