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ヘタリア大帝国

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TURN40 雨の少女その二

「遠慮させてもらうよ」
「左様ですか」
「他のを頼むよ、和食はね」
「では鍋をどうでしょうか」
「鍋?」
「はい、河豚鍋等は」
 日本がここで話を出したのはこの鍋だった。
「癖がなくて食べやすいですよ」
「河豚って確かあれだよな」
 河豚と聞いてだ・。キャシーは今度は曇った顔になって述べた。
「毒があるよな」
「はい、当たれば死にます」
 日本もこのことを否定しない。
「それで鉄砲とも言われます」
「当たれば死ぬからだよな」
「その通りです」
「ちょっとね。戦争で死ぬのならともかくね」
 食べ物で死ぬ、それはどうかというのだ。
「遠慮したいね」
「大丈夫です。私は河豚の調理もできますので」
「それでなんだね」
「はい、ご安心下さい」
「祖国さんの河豚料理は絶品だからな」
 東郷もキャシーに日本の河豚料理について話す。
「是非一度ご馳走になるといい」
「そうかい。じゃあララーも誘うね」
 美味し安全と聞いてだ。キャシーは共に太平洋軍に入った同僚も誘うことにした。
「それで楽しくやろうね」
「では。ベトナム戦の後で」
「頼んだよ」
 太平洋軍は比較的リラックスしていた。彼等は身振り手振りも交えて明るく話していた。だが対するエイリス軍はというと。
 ベトナム総督がだ。下卑た顔でネルソンに言ってきていた。
「では提督。まずはお休み下さい」
「いえ、そういう訳にいきません」
 ネルソンは嫌そうな顔で総督に応える。
「間も無く太平洋軍が来ます。準備をしなければなりません」
「ですが提督なら大丈夫ですよ」
 総督は何も思うことなく言うのだった。
「日本なぞという東洋の島国なぞ」
「日本は馬鹿にはできない相手です」
 これがネルソンの総督への返答だった。
「それも全くです」
「いえいえ、所詮は大英帝国の敵ではないでしょう」
 総督は根拠のない優越感から言う。
「これまでは運jです」
「運だというのですか」
「はい、それでここまで勝ち進んだだです」
 総督はこう考えていた。何も知らぬ何も見ようとしないまま。
「しかしそれも終わりです。ですから」
「ですから?」
「お休みの時にどうでしょうか」
 総督はさらに下卑た感じになり言ってきた。手揉みするその仕草にも品がない。貴族的とはいっても悪い意味で貴族的だった。
「ハーレムなぞは」
「ハーレム!?」
「はい、現地の少女を三十人ばかり用意しますが」
 こうネルソンに言うのだった。
「如何でしょうか。遊ばれますか?」
「お断りします」
 これ以上はないまでに嫌悪を見せてだ。ネルソンは総督に言い返した。
「私はそうしたことはしません」
「ではより年齢が上の」
「違います。ハーレムなぞというものは」
「?」
「即刻解散して頂きたい。少女達はあるべき場所に戻して下さい」
「皆孤児ですが」
「孤児なら孤児院に入れて下さい」
 そうせよというのだ。
「その様な。ハーレムなぞは不要です」
「いえいえ、ここではそれが普通ですが」
 総督は何が悪いのかわからないといった顔で述べ続ける。
「貴族ならば誰でもです」
「私は女王陛下から東洋の全権を委任されています」
 何もわからない腐敗した総督にだ。ネルソンは政治上における切り札を出した。
「その権限において申し上げます」
「何をですか?」
「ハーレムなぞというものは全て解散です」
 そうするというのだ。
 
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