ヘタリア大帝国
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TURN39 怪獣姫その三
「今からです」
「はい、攻撃ですね」
「そうされますね」
「そうします。あの艦隊を攻撃をします」
敵艦隊のうちの一つを見ての言葉だった。エルミーはその艦隊を潜望鏡から見ていた。その上での言葉だった。
「魚雷発射用意」
「魚雷発射用意」
命令が復唱される。既に魚雷は装填されている。
エルミーは自分で照準を合わせる。そのうえで。
その艦隊を見ながらだ。潜望鏡にあるボタンを押したのだった。
他の潜水艦達からも魚雷が放たれる。魚雷は敵艦隊に向けて一直線に進みそのうえで。
炸裂し次々と炎に変えていく。敵艦隊が一個エルミーの手により崩壊した。
太平洋軍は二つの戦域で順調に戦っていた。しかし。
主力はまだ動こうとしない。エイリス軍の将兵達はその彼等を見ていぶかしみだした。
「どういうつもりだ?」
「何を考えているんだ、奴等は」
「ここで攻めて来ないのか」
「まだ来ないというのか」
「それなら」
彼等は次第に攻めようと思いだした。だが、だった。
総督は攻撃命令を出さない。彼は動かなかった。
そのうえでだ。彼はこう言うのだった。
「動かないでいればいいからね。我慢していれば正規軍がベトナムからマレーに入るから」
例え独立されていてもだ。そうしてだというのだ。
「太平洋軍を破ってくれるよ。僕達はここで待っていればいいんだ」
「ネルソン提督が彼等を倒してくれるのをですか」
「それをですか」
「うん。待っていればいいんだ」
総督は落ち着いた声で言う。
「このままね」
「そうですか。では我々はこのまま」
「守りますか」
「そうしますか」
エイリス軍の将兵達は総督の言葉に頷きだ。そしてだった。
ここは守るのだった。戦局は主な戦域では睨み合いになっていた。
その状況を見てだ。福原が東郷に言ってきた。
「このまま戦局が長引けばです」
「ベトナムから敵の主力が来るな」
「はい、そうなれば厄介ですが」
「心配しなくていい。そろそろだ」
「そろそろ?」
「今ハワイ方面は落ち着いている」
それでだというのだ。ここで。
「それでちょっと動かしておいた」
「ハワイ方面からですか」
「ハワイ、正確に言えばラバウルからだ」
その星域からだというのだ。
「動かしておいた。もうすぐ来る」
「ラバウルからこの四国までですと」
どれだけかかるかとだ。福原は言った。
「二月ですがしかし先月動いた艦隊は」
「ははは、例外はあるものさ」
「例外?」
「こうした時にはおあつらえ向きの奴がいる」
「それは一体」
「だからそろそろだ。来るぞ」
東郷は余裕のある笑みで福原にまた言った。
「その時だ。攻めるのはな」
「そうですか」
福原は首を傾げさせていた。彼女のその前でだ。
エイリス軍は守りを固め続けていた。その彼等が急に浮き足立った。
「!?あれは」
「敵の後方に突如として軍が出て来たな」
平良もその状況を見て言う。
「あれは田中提督の艦隊か」
「田中提督ですか」
「そうだ。あの編成は間違いない」
平良は自軍の艦隊の編成を全て頭の中に入れていた。そのうえでの言葉だった。
「そういえば彼の艦隊はだ」
「そうでしたね。通常の艦隊の倍の速さの進軍速度でしたね」
田中の用兵は迅速だ。それ故だった。
「その田中提督をこちらに向かわせたのですか」
「その様だな」
「私達だけで攻めるのではなかったのですか」
「戦力の全てを使って攻める」
平良は戦争の常識の一つから話した。
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