| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝供書

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十三話 和睦の間にその七

「人が多く入ることも出来ず」
「その分話が出来ぬな」
「そして粗末ですと」
「格がな」
「それがどうしてもありますので」
「土佐一国を治めるならな」
 そして四国をというのだ。
「やはりな」
「それなりの城が必要かと」
「だからじゃな」
「私としてもです」
「高知によい城を築くことはか」
「よいことだとです」
 まさにというのだ。
「思います」
「左様か、ではな」
「はい、時が来ればですね」
「高知に城を築こう。そして」
 元親はさらに話した。
「城にはあるものを置きたい」
「あるものといいますと」
「天守閣じゃ」
「天守閣といいますと」
「言うなら櫓じゃ」
 元親は菜々にわかりやすく話した。
「それの大きなもので本丸にある」
「城のですか」
「そして城の象徴となってな」
 そしてというのだ。
「実に遠くまで見渡せる」
「そうしたものですか」
「何でも最近信貴山の松永殿の城にはじまり」
「他の方もですか」
「城に築かれておられるという」
「そしてその天守閣をですか」
「高知に城を築いたらな」
 その時はというのだ。
「本丸に置きたい」
「左様ですか」
「それも見事なものをな」
 元親は笑って話した。
「土佐ひいては四国の主に相応しい」
「そこまでの天守閣をですか」
「考えておる」
「そうですか、では」
「うむ、まずはな」
「土佐を一つにしますか」
「そうする、そしてお主はな」
 菜々にさらに言った。
「家を守ってもらいたい」
「承知しました」
 菜々は微笑みすぐに答えた。
「それではです」
「その様にしてくれるな」
「是非」
 また微笑んで答えた。
「その様に」
「宜しく頼むぞ、そしてな」
「そしてといいますと」
「家の中のことはそなたに任せたい」
「妻として」
「そうしてよいか」
「はい、家の中はです」
 菜々はここでも元親に応えた。
「わたくしがです」
「その様にしてくれるな」
「必ず」
「では頼むぞ」
「その様に」
「それでわしも万全に戦が出来てな」
 そしてというのだ。
「政もな」
「出来ますね」
「存分にな、だからな」
 それだけにというのだ。
「家のことは宜しく頼む」
「それでは」
 菜々は夫に応えた、そうした話をしてだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧