ヘタリア大帝国
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TURN38 獅子団その一
TURN38 獅子団
四国に艦隊を進める太平洋軍のところに二個艦隊が合流してきた。そして東郷の旗艦長門に二人の白い軍服の者が来た。
一人は鋭利な顔の青年であり日本海軍の白い軍服の上に黒いマントを羽織っている。そして頭には制帽があり腰には日本刀がある。
もう一人は長い黒髪を幾段にもさせた女だった。楚々とした外見は柳と白菊を合わせた様だ。黒い澄んだ瞳は真面目なものであり桜色の頬には奇麗な微笑がある。全体的に穏やかだがそれでいて確かな芯が感じられる。白い軍服に膝までのスカートだ。
この二人がだ。東郷に敬礼をしてからそれぞれ名乗った。
「平良英語和です」
「福原いずみです」
「ああ、宜しくな」
東郷は生真面目な感じの二人に彼のフランクさで返した。
「海軍長官の東郷だ」
「はい、ではこれからは」
平良がその東郷に応えて言う。
「再び日本に奉職させて頂きます」
「頼むな。それとだが」
東郷は二人に早速この話をした。
「二人にそれぞれ軍事顧問の話も来ている」
「俺の顧問になって欲しいんだぜ」
韓国がモニターに出てきて平良に言う。
「そうして欲しいんだぜ」
「韓国殿のですか」
「今度韓国軍も設立するんだぜ」
国家には軍が必要だ。特にこうした時代には。
それでだとだ。韓国は言うのである。
「その顧問、実質的に責任者になって欲しいんだぜ」
「ウリからもお願いするニダ」
韓国妹は東郷の傍にいた。当然日本や他の国家、提督達もだ。
「平良さんなら安心して任せられるニダ」
「それは少し」
「駄目ニダか?」
「私の様な若輩に務まるかどうか」
こうだ。謙遜して言うのである。
「ですからこのことは」
「引き受けてくれないニダか?」
「はい。私に韓国殿の顧問が務まるとは思えません」
謙遜はそのままの言葉だった。
「ですから」
「いや、平良さんでないと駄目ニダ」
「その通りなんだぜ」
「どうか引き受けて欲しいニダ」
「本当に頼むんだぜ」
二人は自分達に優しく公平な平良を人間としても好いていた。それでだ。
何とか顧問になってもらおうとする。その彼等の言葉を聞いてだった。
東郷がこう言ったのだった。
「後で正式に帝から辞令が下る」
「帝からですか」
「そうだ。これは福原提督もだが」
彼女も見ながらだ。東郷は話す。
「帝から正式に韓国台湾両国への軍事顧問就任の辞令が下る」
「私もですか」
「ああ、そうだ」
東郷は福原にも話した。
「だからだ。宜しく頼むな」
「わかりました。帝のお言葉ならば」
「喜んで受けさせて頂きます」
「では我々はこれからは軍事顧問としてもです」
「奉職致します」
「頼むな。諸君等にはこれから働いてもらわないといけない」
今の日本の状況ではこれは絶対のことだった。
「宜しくな。ただしな」
「ただし?」
「といいますと」
「これからエイリスの植民地の一つ四国を攻めるがな」
東郷が言うのはこのことだった。
「あそこはかなり緩やかにしてもだ」
「植民地の良民を虐げる不埒なエイリスの貴族共ですか」
「気持ちはわかるが連中をみだりに成敗しないことだ」
特にだ。平良を見ての言葉だ。
「理由はわかるな」
「反省しております」
東郷も多くは言わず平良も多くは言わなかった。
「あの不始末。自責の念に耐えません」
「わかっていてくれればいい。貴族達はその都度憲兵達で何とかする」
「それは任せろ」
山下もいた。山下は既にその手に剣を持っている。憲兵隊は陸軍の管轄なのだ。正義感が強いことで知られている連中だ。
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