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小豆洗い

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第四章

「姿が見えないっていっても」
「それ想像図か普通の人には見えなくてもね」
「見える人には見えるんですか」
「そういうことだと思うわ」
「そうですか」
「とにかく私達には見えないから」
「声だけ聞こえて」
 星夏はあらためて言った。
「それだけですか」
「ええ、そういうことでね」
 久理子は星夏に話した。
「わかってね」
「はい、そうした妖怪ですね」
「成程、妖精みたいですね」
 ミシェルもここでこう言った。
「これは」
「そうね、それはね」 
 実際にとだ、久理子も否定しなかった。
「欧州で言う妖精が日本の妖怪とも言えるわ」
「実際にですか」
「そうよ、じゃあね」
 久理子はミシェルにあらためて話した。
「今度はその世界屈指の妖怪スポットに案内するわ」
「八条大学ですね」
「私の母校でもあるのよ」 
 笑ってだ、ミシェルに話した。学部は違うが彼女と星夏は同じ大学の出身で会社の上司と部下であるだけでなく大学の先輩と後輩でもあるのだ。
「だからね」
「今度はですね」
「そこに案内させてもらうわ」
「宜しくお願いします」
「じゃあ次のお店に行きましょう」
 久理子はあらためて言った。
「今度は串カツのお店ね」
「串カツですか」
「そうよ、大阪名物なのよ」
 その串カツはとだ、久理子はミシェルに話した。
「今度はそれと焼酎を楽しみましょう」
「それでは」
「ええ、三人で行きましょう」
 こう言ってだ、久理子は二人を近くの串カツ屋に連れて行った。後ろからはまだ小豆洗いの声が聞こえていたが三人はもうその声から離れていた。


小豆洗い   完


                  2020・3・30 
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