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レーヴァティン

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第百四十七話 捕虜と外交その十

「それでピレネー山脈の方に守りを備えてな」
「主力は別の方に動かすのかしら」
「いや、結構大きな戦争で金も国力も使ったからな」
 だからだというのだ。
「暫く国力を回復させるな」
「政に専念するのね」
「東はすぐに攻めないな」 
 諸都市群やドナウ川南岸はというのだ。
「使者は送って降していってもな」
「軍は動かさないのね」
「それは暫く先さ」
 あくまでというのだ。
「本当にまた戦で国力使ったよ」
「そうね、今回も大軍を動かしたし戦闘もあったし」
 それでとだ、双葉も言ってきた。
「だからね」
「国力使ったのは事実だよな」
「紛れもなくね」
「だったらな」
 連合王国との戦が終わればというのだ。
「その後はな」
「暫くは政に専念して」
「国力を養うな」
「そうしていくのね」
「ああ、それでな」
「国力が回復したら」
「金も出来てな」
 そうしてというのだ。
「軍備も整ったらな」
「攻めるのね」
「そうするな」
「それまでは諸都市群やドナウ川南岸の領主達に使者を送って」
「降る様にしていくな」
「政として攻めてはいくのね」 
 双葉は久志の言葉を聞いてこう見た。
「そうなのね」
「ああ、軍は動かさなくてもな」
「それでも攻めてはいくのね」
「使者をどんどん送ってな」
 そのうえでというのだ。
「そうしていくな」
「軍を動かなくても」
「軍があるとな」
 確かな装備と訓練を備え数もある軍がというのだ。
「それだけで大きいだろ」
「ええ、無言の圧力になるわ」
「ましてや俺達は陸だけじゃないしな」
「確かな水軍もあるし」
「空だってな」
 こちらもというのだ。
「空船の数も多いしな」
「しかも質もいいわね」
「陸も湖も空もな」
 その全てがというのだ。
「確かな軍があるとな」
「これだけの圧力はないわね」
「しかも俺達は無駄な血も流さないし権益もな」
「守るわね」
「俺達の政には取り込むにしてもな」
「生きていくだけのものは確実にね」
「そりゃ封建的なものは廃していってるさ」
 このことは事実だというのだ。
「中欧集権体制目指してるしな」
「議会も置いてね」
「平民の力も強くしていってるさ」
「領邦国家は否定しているわね」
「旧態然とした商業組合とか農村の仕組みもな」
 こうしたものもというのだ。
「廃止してな」
「中世から近世にしていってるわね」
「ああ、だから貴族もな」
 もっと言えばギルド等もである。
「近代のそれにな」
「入れていっているわね」
「爵位はそのままでもな」
「給与で動く貴族ね」
「領地よりもな」
「領地は持っていても」
「地主位のものでな」 
 領主とは権限が全く違う、領主はその領地では君主であり中世の価値観では絶対者とみなされもしたが地主は違うのだ。 
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