【ネタ】アホの子ルイズちゃん
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第二話
前書き
この小説は、某二次小説の雰囲気を参考にしております。
こんにちは。私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
使い魔を召還したら疲れたので、部屋に戻って寝て起きたら朝でした。
寝る直前、使い魔が「俺がサイトになってる………だと……?」とか、「夢のハーレムktkr」とか言っててうるさかったから爆発させておいた。
色々手の掛かりそうな使い魔だけど、そこは飼い主の腕の見せ所だと思うんだ。
さて、今日も一日頑張ろう。
そんな感じで現在進行形で寝ている使い魔を無視し、着替えを済ませる。
普通、貴族は召使に着替えを手伝ってもらうらしいけど、恥ずかしくないのかな。
「ミス・ヴァリエール。召し物を受け取りに参りました」
ノックの音と共に部屋に入ってくるシエスタ。
トリステイン魔法学院に入学してすぐの頃、折角家から出たんだから頑張って自立しようと思い、家ではやらせてもらえなかった洗濯物を始めようと意気込んだのはいいんだけど、その時初めて出会ったシエスタに必死に引き留められたんだっけ。
「そういうのは私達の仕事です!」って洗濯物を取られて、私の自立作戦は一瞬にして終わってしまった。
事ある事に抵抗はしたけど、その話になるとシエスタが怖くなるから最近は控えている。
「シエスタ、本当に手伝わなくて大丈夫なの?」
洗濯は手荒れの原因なんだよ。
「お気持ちは嬉しいですが、貴族であるミスにこのような仕事をさせるのは体裁的にもよろしくないんです。―――っと、そちらの男性は?」
「昨日召還した使い魔」
「使い魔、ですか。なんともミス・ヴァリエールらしいと言いますか………」
爆発魔法しか使えない私だからこそ、人間を召還できたんだよー。
「そう言えば名前とか聞いてなかった。もう少しで起きるだろうから一緒に話を聞きましょう。多分平民だろうし、シエスタには色々お世話になるからね」
「はい、わかりました。ですが先に彼が起きてしまわれた場合、私を待たずに話を進めてもらって構いません。彼とは自然と関わりますし、自己紹介はその時にでもできますから」
「それもそっか。お仕事頑張ってね」
手を振ってシエスタを見送ると、またノックの音が鳴る。
「はぁい、ルイズ」
「あ、キュルケ」
入ってきたのは、キュルケ・アウグスタ・ フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。通称キュルケ。
私が知る限りでのおっぱいステータス上位ランカー。
ちいねえさまとタメを張ってるんじゃないかな。
お母様と姉さまは、ちいねえさまのおっぱいと自分のそれを交互に見比べる度に歯ぎしりしてた。
一時期ちいねえさまはお父様と知らない女との子ではないか、なんて理由で屋敷を半壊させたりしてた。必死だね。
「彼が貴方の召還した使い魔?」
「うん」
「まぁ、貴方なら何を召還しても不思議ではないと思ってたけど、まさか平民とはね………」
「凄いでしょ」
「いや、凄いけど!色んな意味で凄いけど、誇ることじゃないから!」
朝から元気だなぁ。
他の人と違うってだけでは認められない風潮は改善されていくべきだと思う。
そんな世知辛い世の中でも、私はたくましく生きています。
「まったく、平民じゃあ本来の使い魔としての常識が通用しないかもしれないのよ?もう少し危機感を持ったらどうなの?」
「でも、食費も掛からなさそうだよ?」
「貴方曲がりなりにも貴族なんでしょ?お金ぐらい気にするものでもないじゃない」
「お小遣いでやりくりするのって楽しいよね」
「え、仕送り金じゃなくてお小遣い?そういう解釈ってだけなのか、本当にそうなのか判断に困るんだけど」
お小遣いはお小遣いだよ、変なキュルケ。
そんなこともわからないなんて、きっとおっぱいに養分がいきすぎてるんだね。
ちいねえさまもほわほわしてるし、おっぱい大きい人はどこか抜けてるのかな。
あ、でもシエスタは凄いしっかりしてるね。
きっと貴族という身分にあやかっているからそうなるんだ。
試しに今度一緒にシエスタに洗濯物を手伝うお願いをしてみよう。
「ん………あれ、確か俺―――って、特盛り!」
いきなり目を覚ましたかと思えば、キュルケの特盛りに大いに反応する使い魔。
男の子は朝が元気ってお母様の話は本当だったみたい。
「おはよう、使い魔君」
「あ、うん。おはよう―――じゃなくて、何でキュ―――貴方はここに?」
「私はこの子―――貴方のご主人様であるルイズの様子を見にね。私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。キュルケでいいわよ」
使い魔がこっちを見ている。
あ、自己紹介忘れてた。
「私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。貴方のお名前は?」
「え?俺は―――平賀才人、でいいんだよな」
「ヒラガ・サイトね。変な名前」
「俺のところではそれが普通なんだよ」
「まぁいいわ。サイト、貴方私の使い魔になったから、そういうことでよろしく」
「え、いや、それはわかっているけど―――あっさりしすぎじゃないか?」
そうでもないと思うけど。
ペットにいちいち「貴方は私のペットよ」って言うのもおかしな話じゃないかな。
「サイト、だっけ。この子はこういう子なのよ」
サイトが「俺の知ってるルイズと違う………」とかぼそぼそ言ってる。
私以外のルイズって何だろう。
この世には同じ顔が三人いるらしいし、私の知らないルイズと会っていたのかも。
「そうだ、使い魔の仕事を教えておくね」
教えた結果、視界共有はできず、秘薬の知識はなく、護衛ならそこそこ自身があるとのこと。
視界共有はプライバシーの侵害になるし、どうせ秘薬作れないからデメリットにはならないね。
「戦えるって、メイジじゃないでしょう貴方」
「俺は武器を扱うのは得意の筈なんだよ。だから魔法がなくてもそこそこいけると思うぞ」
「ふ~ん」
キュルケも疑り深いなぁ。
でも、剣とかで戦ってる姿は見てみたいかも。
お母様開発のヴァリエール式鍛錬法で体術には自信があるけど、剣は振ったことない。
興味がない訳じゃないけど、二足のわらじを履くのは器用貧乏の証だと思うの。
ひとつを極めてこそ、ってものもあるだろうし、私はそれを目指すよ。
あれ、でも魔法と体術って時点で二足のわらじか。
「それは後で見せてもらうとして、ご飯食べようご飯」
「そうね、だけどこの分だともう食事は始まっているわよ」
「大丈夫、厨房ならいつでも空いてるから」
「またあそこ、ね。貴方と一緒にいると、貴族らしさが私の中からどんどん失せていく気分よ」
キュルケが脱力しながら息を吐く。
溜息なんて吐いてたら、幸せが逃げるよ。
それに、ご飯は美味しいんだから何も問題ないと思うんだけど。
「サイト、ついてきなさい」
「あ、あぁ」
戸惑うサイトの手を引き、厨房へと向かう。
厨房に入ると、シエスタが待っていましたと言わんばかりに笑顔で迎え入れてくれた。
「ミス・ヴァリエール。それにミス・ツェルプストーと使い魔さん、ようこそいらっしゃいました」
「またお邪魔するわよ」
「お、お邪魔します………」
慣れた応対でキュルケが、おっかなびっくりでサイトが挨拶をする。
「シエスタ、お洗濯終わった?」
「はい。いつも通り、食事の支度を終えた後に戻しておきます」
流石シエスタ。
あれだけ短時間で済ませるとは、プロだね。
「使い魔さん、初めまして。私メイドのシエスタと申します」
「あ、平賀才人です」
「ミス・ヴァリエールに事前に食事を提供するように申し使っております。ささ、こちらへ」
そこには三人分の暖かみのある食事が並んでいた。
いわゆる賄いという奴だ。
「私は突然の訪問だったのに、よく用意していたわね」
「ミス・ツェルプストーもアルヴィーズの食堂に姿を見せておりませんでしたし、いつものようにミス・ヴァリエールと一緒にいると確信しておりました」
「………やっぱり、私とルイズってセット的な目で見られてるのかしら?」
「――――――」
「せめてなんか言って!」
キュルケとシエスタが何か話している。
ご飯冷めちゃうから、私は食べよう。
サイトは私が寝ていたせいで昨日はご飯抜き状態だったのもあり、がっついて食べている。
貴族の社交場ではマナーにうるさい人が多いけど、やっぱりここは気楽でいいね。
お母様も「こういうのは肩肘張って嫌になる」って嘆いてたし、やっぱりご飯は楽しく食べるべきだと思う。
「な、なぁルイズ―――さん」
「何?」
「いつもこんな感じなのか?ここ」
「シエスタとキュルケのやり取りのこと?」
「それもあるけど、なんて言うか―――トリステインだと貴族と平民の確執が強かった筈だよな?なのにここにいるみんなは和気藹々としている。それこそ身分の差なんて最初からなかったかのように」
「うーん………最初からこんなもんだったよ」
「いえ、それはないですから」
シエスタが会話に混ざってくる。
「貴族様達と私達平民の関係は、未だに酷いものです。ですが、ミス・ヴァリエールは違います。初めて会ったときも、まるで貴族らしくない立ち居振る舞いで私達に接してきてこちらが困惑したぐらいです」
「そうそう、ルイズ嬢ちゃんは貴族の鏡ってやつよ!」
大声と共に現れたマルトーさん。
魔法学院に大量に住まう貴族の料理を作る人達のリーダーを担っている、はっきり言って凄い人。
あと、鈴の音を聞くと地獄の料理長になりそうなイメージ。
「シエスタから話は聞いてる。お前がルイズ嬢ちゃんに召還された平民だってな」
「あ、はい」
「事故のようなものとはいえ、召還した相手がルイズ嬢ちゃんだったのが幸いだったな。他の貴族だったら奴隷当然の扱いを強いられていただろうし、それに比べて嬢ちゃんなら分け隔て無く接してくれるだろうさ」
「そうですね、ミス・ヴァリエールは素晴らしいお方ですから」
みんながこっちを見ている。
賄いのシチューで顔が汚れちゃっているのかな、ごしごし。
「私は元々ゲルマニア人ってこともあって、身分差にはそこまでこだわりはなかったつもりだけど、そもそもルイズと関わっているとそんなのどうでもよくなってくるのよね」
「嬢ちゃんは賄いの食事だって美味そうに食ってくれるし、何よりも俺達料理人が作る料理は魔法だとも言ってくれた。くぅ~っ!俺ぁあんときの言葉を思い出しただけで涙が出ちまいそうでさぁ!」
そんなに話題に上げるようなことかなぁ。
こんなに美味しい飯を作れるって、誰でも出来ることじゃないと思う。
少なくとも、貴族として生まれたことでおまけでついてくる力より、努力で得た自分だけの能力の方がよっぽど凄い。
フードファイター・タバサのお陰で少しはマシなんだろうけど、食堂に出される料理は大抵お残しとして捨てられているとのこと。
見栄えを気にして無駄に料理を作って、結果残しているって本末転倒な気がするけどなぁ。
「とにかく、坊主はこれから食事時になったらここに来な。美味い飯を食わせてやるからよ」
「ありがとうございます、マルトーさん」
「いいってことよ。ルイズ嬢ちゃんには色々世話になってるしな」
豪快な笑い声が厨房に響く。
厨房はいつも通り平和だった。
※余談1
シュヴルーズ先生の授業でサイトに魔法の説明をしていたら、錬金をしてみろと指名されたけど、周りのみんなに必死に止められたから結局何もせずにすんだ。
前に出て実技をするのって緊張するから、やらないことになってよかった。
※余談2
お昼どき、お礼と称してサイトが配膳の仕事を手伝ったときに、ギーシュの痴情の縺れに関わったらしく、決闘騒ぎになった。
結果は、サイトの圧勝。
どこからかくすねていたらしいナイフで、ワルキューレをばっさばっさ薙ぎ倒していたらしい。
弱いなぁ、ギーシュ。
前も私のヴァリエール式体術で一発で落ちちゃってたし、それは軍人の家系としてどうかと思う。
後書き
この小説でのキャラはこんな感じ。
ルイズ
ヴァリエール家の三女。
基本的に他人とはズレた思考をしており、その在り方のお陰でトリステイン貴族らしからぬどころか、貴族らしくない立ち居振る舞いをする。
原作のようなプライドの塊ではなく、自分が魔法を使えないことに対し劣等感を持っていない。
むしろ、自分の魔法が他とは違うことを理解しており、そういうものなんだと自己完結している。
平民に対してのマイナスイメージは毛ほども持っていない。みんな違ってみんないい。
使い魔として召還された平賀才人にも、特に悪い印象は持っていない。食費が浮くのが嬉しいとのこと。
カリーヌ直伝ヴァリエール式体術のおかげで、どこぞの薔薇貴族よりも戦闘力はある。
平賀才人
原作通り―――と思いきや、ただの転生者。いや、憑依か?
意外と礼儀正しく、丁寧語が目立つ。しばらくすれば砕けるだろうけど。
ゼロの使い魔という作品を知っており、これを期にハーレムを作ることが目標。
ルイズが原作とは違うことに戸惑いつつも、未来に思いを馳せる。
密かにゲームで使えるような技が使えないかと考えている。
キュルケ
ルイズの保護者1。
当初は家柄の確執から色々突っかかっていたが、当の本人があまりにもアレなせいで、今では毒気が抜かれている。
むしろそういう繋がりから、周囲の人間からはセット(保護者)という認識が出来ているせいで、原作に比べ男が寄りついていない。おかんキュルケ。
ギーシュとの決闘騒ぎ以降才人に目をつけるようになるが、間違いなくコッパゲ涙目な結果になるかと。
タバサ
直接登場はしていない。
ルイズからフードファイターと呼ばれている。
ルイズとは地味に仲が良い。
シエスタ
ルイズの保護者2
ルイズが洗濯をしようとしていたところに出くわし、それを期に付き合いが始まる。
ルイズがあんな性格だから、彼女に対しては結構強く出ている。おかんシエスタ。
貴族は相変わらず苦手だけど、ルイズを中心とした貴族相手には普通に接している。
ギーシュ
噛ませ犬。
マルトー
ルイズを嬢ちゃんと気軽に呼ぶ料理長。
自分の料理を魔法と称してくれたルイズに本当の貴族というものを見出している。
カリーヌ
直接登場はしていない。
ルイズの母親。
ほぼ間違いなくルイズと似た性格をしているだろう。
ヴァリエール公爵はどういう経緯で付き合ったのやら。
ヴァリエール式体術の開祖。
因みにトレーニング内容はマンティコア隊も真っ青なハードワークだったりする。
それを平然と思い返しているルイズは地味に最強じゃなかろうか。
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