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治った目で

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第三章

「そうしたものよ」
「そうよね、人でも猫でもね」
「誰でもね」
 それこそというのだ。
「誰かを助ける人じゃないと」
「助けてもらえないわね」
「だからね」
「リーザも助けるべきで」
「こうしてね」
 実際にというのだ。
「助けているのよ」
「そういうことね」
「じゃあいいわね」
「ええ、リーザはね」
「何があっても助けましょう」
 こう言ってだ、そしてだった。
 美穂はリーザのまだ開かない目に目薬をあて続けた、そして目薬がなくなった時にだった。
 目を開いた、その目はリカと同じ青だった。美穂はリーザのその青い目を見て好美に言った。
「お母さん、リーザの目が開いたわ」
「そうなったのね」
「今ね」
「そうなのね」
「ええ、青い奇麗な目よ」
「そうね」
 好美もリーザのその目を見た、それで言った。
「本当にね」
「よかったわ、治るってわかっていても」
「実際に治らないとね」
「不安だったから」
 それで仕方なかったのだ、美穂にしても。
「本当に治ってね」
「よかったわね」
「ええ」
 母の言葉に満面の笑みで頷いた。
「よかったわ」
「そうよね」
「ニャア」
 ここでリーザは鳴いた、すると。
 リコとミーコが彼女の傍に来て彼女の身体のあちこちを舐め回す、これまでのスキンシップ以上に優しい感じだ。
 その様子を見て美穂は言った。
「リカもミーコも嬉しいのね」
「ええ、リーザの目が治って」
「そうよね、じゃあね」
 美穂は母にあらためて言った。
「これからね」
「カラー外してあげるのね」
「治ったから」
 その目がというのだ。
「あと暫く時間置いて」
「そうしてね」
「カラー外してあげましょう」
 リーザのカラーを見た、それはまだ付けられている。だがリーザの青い目を見つつ美穂は言った。自分を見ているその目を前にして。


治った目で   完


               2020・3・25 
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