レーヴァティン
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第百四十六話 マドリードへ向けてその二
「マドリードに重装歩兵が集まっているらしいよ」
「十万の重装歩兵か」
「もっと言えば主力が槍を持った重装歩兵で」
淳二は久志にその十万の軍勢について細かいことを言い加えた。
「そこに銃兵や術者、砲兵に騎兵だよ。騎兵は一万数千でね」
「後の八万五千が他の兵種か」
「六万五千が歩兵でね、銃兵や術者が一万五千で」
「後が砲兵か」
「そうなってるよ、そこに確かな輜重隊があるよ」
「そうか、それで騎兵も重装備か」
「剣じゃなくて槍や銃で戦う兵種だよ」
そうした騎兵達だというのだ。
「彼等はね」
「成程な、銃騎兵か」
「こっちの世界じゃ少ないね」
「そっちか、銃火器は多めか」
「結構ね、ただね」
「俺達よりはだな」
「銃も術も砲も少ないよ」
淳二はこのことも話した。
「割合的に」
「そこが狙い目か」
「あとな」
今度は美奈代が話してきた。
「この国は大軍同士の戦やと独特の方陣使うで」
「方陣か」
「そや、それのことは知ってるやろ」
「兵法についてはな、あれで来るか」
「それでこの国の方陣はテルシオや」
「兵を百列横隊を十五列位縦にしてその周りを一重銃兵や術者で囲んで斜め四隅に縦横十人合わせて百人の銃兵か術者の攻撃塔みたいなの置くな」
「それやで」
「あれを使って来るか」
「それで騎兵もや」
美奈代はこちらの話もした。
「二十人か三十人一列に横に並べてな」
「それを何列も縦に並べて一列ごとに一斉射撃行わせてその列を後ろに下がらせてまた次の列が攻撃に出る」
「その戦術、カラコールで来るで」
「それがこの国の戦術か」
「正直これで王国との戦にも負けてへん」
「ピレネー山脈を挟んだあの国とか」
「そや、どっちの戦術も強いで」
「そうなんだな」
「そやからな」
それ故にというのだ。
「用心することやで」
「わかった、じゃあな」
「この二つの戦術への対策をやな」
「立ててな」
このことも行なってというのだ、出陣の用意等以外に対しても。
「マドリードに向かうな」
「そういうことでな」
美奈代は久志に笑みで応えた、そしてだった。
久志は出陣の用意が整い剛達が戻ると美奈代にセビーリャを芳直に湖の守りを任せたうえで他の仲間達と共に出陣した。
出陣しつつまずはマドリードに陸路で向かうにあたって重要な街の一つであるリナレスに向かった、その途中までの街や村そして領主達は多くが既に久志達に降っていたので順調に進めたが。
肝心のリナレスが降らない、久志はその理由をすぐに聞いた。
「マドリードからです」
「大軍が来ていてか」
「はい、既にアルカサールに入り」
順一が久志に話した。
「そこからです」
「こっちに向かってるんだな」
「左様です、もうリナレスまでの道の半ばまでに」
「そして、だよな」
久志は今度は自分から言った。
「そのアルカサールからか」
「さらにです」
「こっちに向かってきてるんだな」
「左様です、そして」
「決戦を挑むつもりか」
「その動きを見せています、空船もです」
この戦力もとだ、順一は久志に話した。
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