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アルゼンチン帝国召喚

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第二十四話「フィルアデス大陸北方戦争・Ⅰ」

第二十四話「フィルアデス大陸北方戦争・Ⅰ」
1640/2/10ナチス・アトランタ第三帝国~帝都ニューベルリン~
ナチス・アトランタ第三帝国はかつての世界ではどの陣営にも属さず独自路線を歩んでいた。そして、この異世界でもその方針は変わっていない。旧オチデ王国王都ワタオをニューベルリンと改めたヴォルフガング・ヒトラーは大々的にスピーチを行い最後にこう締めくくった。

「まずはこのオチデ王国を中心にフィルアデス大陸北部を領有する」

ナチス・アトランタ第三帝国総統ヴォルフガング・ヒトラーはそう宣言し自国の軍勢を国境線に張り付けた。トーパ王国とその自治領であるネーツ公国は極東国家連合に加盟している。盟主であるアルゼンチン帝国との不要な戦争を避けるためナチス・アトランタ第三帝国はそれ以外のフィルアデス大陸北部の国々に宣戦布告した。
これを受けフィルアデス大陸最北端の国家チラプナ王国が音頭を取り対ナチス・アトランタ第三帝国戦線を構築した。各国は連合軍でナチス・アトランタ第三帝国占領中のオチデ王国を取り囲んだ。

「司令!オチデ王国を完全に包囲しました!」
「よし、明日には総攻撃を仕掛けるぞ。今日は英気を養うように」

オチデ王国西方のダルヤ王国将軍アルマースは西部方面連合軍司令として二十万の軍勢を率いていた。大半がダルヤ王国軍だが国境を接していないゴルド公国とチラプナ王国から派遣されてきた軍勢も含まれている。因みに北部にはパーカ王国を主力とする二十万、南部にはアイア共和国を主力とする十五万、東部の海には北部諸国の艦隊2000隻が海上封鎖していた。
アルマースは明日に向けて英気を養っている軍を見て満足げに笑みを浮かべた。明日になれば戦争が開始される。敵の規模が分からない現状では何とも言えないが少なくとも敵の規模は十万から二十万という事が分かっている。オチデ王国は北部諸国の中では一番軍事力が低く奇襲とこの位の軍勢なら難なく全土を占領できるだろう。

「ナチス・アトランタ第三帝国か……。一体どんな国なのか……」

フィルアデス大陸は最近激動の時を迎えている。パーパルディア皇国の滅亡にグラメウス大陸で魔王の復活とトーパ王国への侵攻など。国民の中には古の魔法帝国が復活する前触れでは、と噂する者もいて不安な空気が漂っていた時にこのオチデ王国の占領と宣戦布告である。アルマースはナチス・アトランタ第三帝国を倒しオチデ王国を奪還する事で国民の士気を上げようと考えていた。

ふと、前線の奥、ナチス・アトランタ第三帝国の方の山で何かが光ったように見えた。ナチス・アトランタ第三帝国は日を一切付けず静かであった。まるでそこに誰もいないかのように。
そこまで考えた時連合軍の陣地で複数の爆発が起こる。

「な、なんだ!?敵襲か!?」
「ああぁぁぁぁぁぁっ!!!!う、腕が!俺の腕が!」
「くそっ、何も見えねぇ!」
「まさか魔導砲か!?」

陣地は一瞬にして阿鼻叫喚の嵐となる。アルマースは必死に落ち着かせようとするがナチス・アトランタ第三帝国の方から聞きなれ音が聞こえてくる。
夜空にうっすらと何かが飛んでいるのが分かる。ワイバーンとは違いばばばばばっ!と凄い音を出している。
その何かは両脇から何かを射出しこちらへと放ってくる。それらは何か当たると爆発を起こし更なる被害を出していく。更に前線から銃声が聞こえてくる。どうやら敵は暗闇に乗じて近づいてきていたようだ。

「くっ!これではまともな応戦など出来るはずがない!撤退だ!撤退しろ!」

アルマースはそう叫び自らも前線を離脱する。西部方面連合軍は一体どのくらい生き残れるのか。そう考えながら馬を使わずに背を低くしながら走る。馬で逃げては敵に見つかる可能性が高くなるからだ。
結局、夜明けが続くまで攻撃は続いた。あの後はナチス・アトランタ第三帝国のジェット戦闘機の攻撃も加わり苛烈な攻撃が行われた。夜が明けると一面はクレーターと連合軍の死体で自ネイは埋め尽くされていた。西部方面連合軍の被害は十五万を超え後方の砦まで撤退できたのは五万にも満たなかった。

「これでは反撃どころか防衛も難しいな……」

逃げ切る事に成功したアルマースは前線に偵察を出すも誰一人として戻らず敵の情報をほとんど知る事は出来なかった。唯一分かったのは自分たちでは戦いにすらならないという絶望的な事のみだった。
しかし、他戦線はもっと悲惨であった。アイア共和国はナチス・アトランタ第三帝国の戦車部隊に戦線が崩壊しまともな防衛が出来ず驚異的なスピードで領土を奪われていた。
パーカ王国軍も野砲の砲撃と戦闘機の攻撃を受け壊滅し第二前線に撤退する事となった。この時点で連合軍の死者は三十五万を超え連合軍の前線にいた軍勢の半数以上が壊滅するのであった。
これを受け海上封鎖をしていた連合軍艦隊は沿岸で防衛するナチス・アトランタ第三帝国海軍と戦闘を行い沿岸部から侵攻する事を決定するのであった。
ロウリア王国の船団4000隻以上に比べれば半数以下だがそれでも大規模な船団はゆっくりと進み始めるのであった。
 
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