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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十二話 周泰、都に忍び込むのことその一

                          第八十二話  周泰、都に忍び込むのこと
 その黒いフードとマントの者がフードを取り払った。その顔を見てだ。
 誰もが、劉備と彼女の周りの面々以外は。思わず声をあげてしまった。
「大将軍!?」
「生きておられたのですか!?」
「張譲に粛清されたのでは」
「違ったのですか」
「こうして生きておる」
 その女何進はこう驚く一同に対して述べる。
「ちゃんとな」
「幽霊ではないのう」
 袁術は真剣に見ている。
「確かに大将軍じゃな」
「しかし。どうして生きておられるのでしょうか」
 張勲もだ。この時代にはこう言うのだった。
「大将軍は張譲に暗殺されたと思いましたが」
「何とか逃れたのじゃ」
 こう言うのであった。
「それで華陀達に助けられたのじゃ」
「ああ、あの赤い髪の医者ね」
 曹操が言う。
「今度馬鹿なこと言ったら本気で首刎ねるわ」
「一体何がありまして?」
 袁紹がその曹操に対して怪訝な顔で問うた。
「貴女まさかあのべ・・・・・・」
「それは言わない約束でしょ」
 曹操は憤怒の気をみなぎらせて袁紹に言う。
「そういう貴女もだし」
「た、確かにそうですわね」
「全く。どうして同じ悩みを抱え続けるのかしら」
「これも何かの縁ですわね」
「そうね」
「はて。何の話じゃ?」
 何進はそんな二人の言葉に首を捻る。しかしであった。
 何はともあれだ。彼女は言うのであった。
「とにかくじゃ。わらわは生き長らえて劉備に保護されておったのじゃ」
「そうだったのね」
 孫策もその話には目をしばたかせて述べた。
「何はともあれ助かって何よりだわ」
「うむ。それで華陀に言われてじゃ」
 また彼であった。
「ここに参ったのじゃ」
「何かよくわかりませんが」
 孫権も首を捻って述べた。
「ここに来られたのは何かしらの事情があってのことなのですね」
「うむ。そなた達は洛陽についてはよく知らぬな」
「まあそれは」
「残念だけれど」
 袁紹も曹操もだ。難しい顔になって答える。
「わたくし達都のことは」
「長い間勤めていたけれどあの地の生まれではないし」
 実はこの中に洛陽生まれの者はいない。
「残念ですけれど」
「詳しくはないわ」
「わらわは洛陽の生まれでそこで肉屋をやっておったのじゃ」
 つまりだ。生粋の都人だというのだ。
「そして宮中にも大将軍として様々な造営に携わってきた」
「つまり細かい場所まで御存知なのですね」
「その通りじゃ」
 こう劉備にも答えるのだった。
「それが役に立つとはのう」
「わかりました。ではお願いします」
「うむ。それではだ」
 こうして何進も協力することになった。しかしである。
 やはり劉備と彼女の周りの者以外がだ。首を捻って言うのであった。
「大将軍が生きておられるのはわかりましたけれど」
「あの、それでもです」
「そのお耳は一体」
「どうされたのですか?」 
 そのだ。猫耳を見て言うのであった。
「大将軍の耳は猫の耳?」
「まさか将軍は猫好きだったとか?」
「いや、大嫌いであられた筈ですよ」
「それがどうして」
「嗜好が変わられた?」
「どうなのでしょうか」
 こうそれぞれ話す。とりわけだ。
 またしても袁紹と曹操がだ。あれこれと話すのだった。
 
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