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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十話 陳宮、決意するのことその一

                         第八十話  陳宮、決意するのこと
 袁術はだ。馬車の中で御者を務めている張勲に対して言ってきた。
「のう七乃」
「はい、何でしょうか」
「今のところ敵は出ておらんな」
 こうだ。馬車の中から身を乗り出して言うのだ。
「それでなのじゃが」
「蜂蜜水なら後ですよ」
 張勲は袁術に対してすぐに釘を刺した。
「おやつの時間じゃないですから」
「むう、そうではない」
 それを言われるとだった。袁術はむくれた顔で返した。
「また違う話じゃ」
「蜂蜜水ではあにのですか?」
「歌のことじゃ」
 言うのはこのことだった。
「歌じゃ。そのことじゃ」
「歌われるんですか?」
「うむ。凛も呼んでじゃ」
 ここでも彼女の名前を出すのだった。
「それでまた三人でじゃ」
「そうですね。いいですね」
「そうじゃろう。それにじゃ」
 袁術の話は続く。
「張三姉妹も呼ばぬか?」
「あの三姉妹も呼ぶんですか」
「それと揚州の大小の姉妹もおるしのう」
 人材は歌の方面でも豊富であった。
「どうじゃ?皆で楽しくやるか?」
「いいですね。それじゃあ」
「うむ、それではな」
「あと。少し思うんですけれど」
 張勲から言ってきた。
「劉備さんのところの魏延さんですけれど」
「ああ、あの黒い奴じゃな」
「あの人もどうやら」
「そうじゃな。あれはかなり歌が上手いぞ」
 袁術にもわかることだった。
「わらわ達と同じだけのう」
「そうですね。それもかなり」
「うむ、ではもう一人入れようぞ」
 話を何時の間にか決めてしまっている。
「四人で歌おうぞ」
「戦いに勝ってからですね」
「勝ちたいのう」
「戦うからにはですね」
「うむ、勝つのじゃ」
 戦いはだ。勝利を目指すものになっていた。そしてだった。
 その中でだ。袁術はまた言う。
「そして勝って歌うのじゃ」
「そうしましょう。それとですね」
「今度は何じゃ」
「凛ちゃんですけれど」
 張勲も彼女の名前を出すのだった。
「やっぱり。可愛いですよね」
「わらわは大好きじゃ」
「私もです」
「待て、凛はわらわのものじゃぞ」
 曹操の配下であるがだ。この二人は取り合っているのだった。
「そのことを忘れるな」
「あら、厳しいですね」
「厳しいも何も凛とわらわは固い絆で結ばれている」
「ですからそれは私もですよ」
「いいや、わらわとの仲に比べればじゃ」
 袁術はあくまで言う。
「七乃とのそれはまだまだじゃ」
「だって私達もうできてますから」
「できておらんではないか、だからわらわ達はじゃ」
 こうだ。あくまで言い張る袁術だった。彼等は平和だった。
 しかしだ。都ではだ。やはり不穏な空気が漂っていた。
 董白がだ。曇った顔で宮廷の者達に話していた。
「こんな状況でもなのね」
「はい、宮殿の造営をです」
「せよとのことです」
「そんな余裕ないわ」
 董白はその曇った顔で言った。
「生きるか死ぬかの戦争がはじまるっていうのに」
「ですがそれでもです」
「董卓様は」
「絶対に姉様じゃないわ」
 董白は言い切った。
「姉様はそんなこと命じられないわ」
「ですが」
「董卓様のお名前で出された命です」
「それではです」
「やはり」
「その姉様は何処におられるのよ」
 董白はきつい声でそのことを問い返した。
 
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